映画顔負けの圧倒的なスケールが話題の海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ 第一章:七王国戦記』は、夏と冬が不規則に訪れる七王国を舞台に、陰謀や策略が渦巻く人間ドラマと激しいバイオレンスをドラマティックに描いたスペクタクル・アクション巨編だ。しかし、壮大過ぎるがゆえ、登場人物が把握しづらかったり、物語がこんがらがってしまったりと難解な一面も。そこで、ドラマをよりディープに楽しめるよう、物語や登場人物のポイントを押さえていこう。(文:安保有紀子)

全世界で売上1500万部を突破したジョージ・R・R・マーティンのベストセラー小説「氷と炎の歌」シリーズを基にした、スペクタクル・アクション巨編「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズ。とてつもなく壮大な物語ゆえ、実写化は困難と言われていたが、『ROME/ローマ』や『SEX and the CITY』を手がけたHBOが完全映像化。その製作費、なんと80億円!! さらに、ピーク時のスタッフの総数583人、作成された甲冑の総数150個兜の数は130個ドラマのために制作された“ドスラク語”の単語の概数3000語撮影総日数は170日等、大作映画かと見まがう数字が並ぶ。

また、170日の撮影総日数のうち、テレビシリーズでは異例中の異例、モロッコ、イギリス、アイルランドなど、世界各国でロケを敢行し、北アイルランドのベルファストでは133日、マルタ共和国での撮影は37日間にも及んだ。もちろん、破格のスケールゆえ、CGは使われているのだが、それも必要最小限におさえ、現実世界のリアルがかもし出す雰囲気を重視。場所によって様々な顔を見せる壮観な景色は、物語のもう1つの主役とも言えよう。このように、映画顔負けの破格のクオリティ、ぜひ自身の目で確かめてほしい。あまりの完成度の高さに驚くこと請け合いだ。

アクション巨編だけあって、ゲーム・オブ・スローンズ 第一章:七王国戦記』の見どころのひとつは、もちろん戦い、そう、バイオレンスである。となると、メインは必然的に男性に。だが、同シリーズには女性キャラクターも多く出演している。彼女たちが関係してくるのはラブ、“愛”の物語なのだ。

国盗りの時代、女性は政略結婚の道具に過ぎず、愛のある結婚生活が送れるかは、自分の気持ち次第、運に拠るところも大きかった。例えば、ターガリエン家の王女デナーリスは、騎馬民族ドスラク人の王ドロゴに嫁いだものの、文化の違いに馴染めずにいた。だが、自分からドスラク人の言葉を学習し、王の妻として威厳を持ち始める。一方、スターク家の長女サンサは、鉄の玉座の後継者候補ジョフリーと婚約し、当初は愛していると彼の肩ばかり持っていたが、冷酷な本性が見えてくると後悔の表情が。このように、明暗が分かれる政略結婚のほか、王である夫との仲が冷え切り、双子の弟と姦通を続ける女王、夫を失い、6歳の病弱な息子に異常な愛情を示す女王など、様々な愛の形が描かれる。もちろん、これら愛は添え物ではなく、本筋にも関わってくる重要な愛であることもお忘れなく。

銃や爆薬を使わず、剣や槍、騎馬戦で勝負をするのが、「ゲーム・オブ・スローンズ」での戦い方。特に敵対する国との戦いは容赦がなく、喉や足、腹を突き刺す程度はかわいいもの。ナイフで目玉を貫いて頭蓋骨を貫通させ、首は勢いよくバッサリとはねる。また、御前試合の一騎打ちで負けた際は、馬の首だってバッサリ。しかも、そういった残酷ともとれるシーンをぼかさずにきっちりと撮り、剣と剣での戦いは、スローや早回しでかっこよく、“いかにも”な感じにはせず、剣と剣のぶつかり合いがきちんと見える、リアルを重要視した仕上がりに。もちろん、大いに興奮させてくれる。そして、実戦だけがバイオレンスでなく、兄弟間による後継争い、どの王に付けば自分の地位が安泰か、王の小評議会や側近たちの腹の探り合い等、七王国は知力面でも戦いに満ちているのだ。

壮大なストーリーゆえ、セリフのあるキャラクターだけでも総勢162人と、登場するキャラクターは桁外れに多く、さらに、伏線として別の王家の物語が挟まれたり、個々のキャラクターが掘り下げられたり等、事前に登場人物の関係性をある程度知っておかないと、頭が混乱してしまう。

まず押さえておきたいのが、最高権力の象徴である“鉄の玉座”に座る七王国を統治する王、バラシオン家のロバート・バラシオンだ。しかし、バラシオン家は裕福ではないため、七王国で最も豊かなラニスター家からセーサイを王妃として迎え、バラシオン家とラニスター家は親戚関係に。当然、ラニスター家の長男ジェイミーと次男ティリオンも、相応の権力を持つようになった。一方、スターク家の王エダード・スタークとロバート王は兄弟のような親密な関係を築いており、エダードは王の右腕の宰相職“王の手”として活躍している。彼は“ネッド”の愛称で呼ばれることも多いので、エダード=ネッド、ここはしっかり記憶しておいてほしい。

ロバート王が存命のうちは、3家の関係は良好であったが、スターク家の次男ブランが、セーサイ王妃の秘密を知ったこともあって、死亡後の関係は徐々に悪化していく。そして、もう1つ重要な王家が、ロバート王によって一族のほとんどが殺されたターガリエン家。王子のヴィセーリスは、妹であり王女のデナーリスを騎馬民族ドスラク人の王に嫁がせ、虎視眈々と王座奪還を狙っている。また、エダード王の私生児ゆえ、家を出て巨大な氷の壁を警備する“ナイト・ウィッチ”になったジョン、王の小評議会のメンバーで信用ならない人物、“スパイダー”ことヴァリスと、“リトル・フィンガー”と呼ばれるベイリッシュ、彼らの立ち位置と名前を押さえておけば、「ゲーム・オブ・スローンズ」の世界に戸惑うことなく入れるだろう。