大泉洋の魅力満載!『しあわせのパン』のスタッフが贈るハートフルドラマの裏側

北海道が生んだ人気俳優・大泉洋の新たな魅力を満載した映画『ぶどうのなみだ』のブルーレイ&DVDが遂に登場。本編のマジな大泉と、特典映像のお茶目な大泉、A面B面の大泉を美味しい料理とワインと共に召し上がれ!(文:坂田正樹)

本作は、映画『しあわせのパン』の製作スタッフと大泉洋が再びタッグを組んだ待望の北海道企画第2弾。前作の洞爺湖・月浦にたたずむ「パンカフェ」から、舞台を空知(そらち)地方の「ワイナリー」に移し、四季折々の美しい風景に彩られながら、思わず空を見上げたくなる、ちょっぴりビターで豊潤な家族の絆を映し出す。監督・脚本は『しあわせのパン』に続き三島有紀子が務め、共演には、本作が映画初出演となるシンガーソングライターの安藤裕子、『寄生獣』『WOOD JOB! 神去なあなあ日常』など若手演技派NO.1の染谷将太、さらには田口トモロヲ、前野朋哉、りりィ、きたろう、大杉漣、江波杏子ら、味のある演技派が脇を固めている。

北海道・空知。亡き父親が残した葡萄の樹と小麦畑でワイナリーを営むひと回り年の離れた兄弟アオ(大泉)とロク(染谷)。かつて音楽家になるために家族を捨てた兄のアオは、突発性難聴によって夢破れ、今は故郷に戻りワイン作りに励んでいる。彼の理想は「黒いダイヤ」と呼ばれる葡萄「ピノ・ノワール」の醸造だが、失敗を繰り返すばかり。一方、弟のロクは、頑な兄の態度に反発しながらも、小麦を育てる傍ら、ワイン作りをサポートしていた。そんなある日、キャンピングカーに乗った勝気な女性エリカ(安藤)が突然2人の前に現れる。不思議な輝きを放つ彼女は、アオとロクの静かな暮らしに新しい風を吹き込んでいくが…。

前作『しあわせのパン』の寡黙で優しい夫役で話題となった大泉が、今回はさらにストイックで一途に理想のワインづくりに励む不器用な男を好演。ヒロインを務めた安藤は、母への愛憎を胸に秘めた複雑なエリカの心情を見事に表現した。兄を見守る朴訥とした弟ロクを自然体で演じた染谷、規則に縛られない駐在員役・田口、ひょうきんな郵便配達人役・前野らの安定感に加え、北海道の大地のようなアオとロクの父親役の大杉、大自然の中で愛を育む床屋店主役のきたろうと独身熟女役のりりィ、エリカを捨てた母親役の江波など、大物俳優たちの名演が感動をさらに盛り上げている。

ワインと料理も本作の主役の一つ。オールロケを敢行した空知の雄大な自然を背景に、アオが何度も失敗を重ねながら作り上げてきた「ピノ・ノワール」の赤ワインを飲みながら、地産地消のおいしい創作料理に舌つづみ! 飲んで食べるシーンもこの映画の最大の見どころだ。季節の野菜を盛り付けたアオとロクの素朴な夕食や、エリカの丘に集まって食べた収穫祭の料理など、劇中、何種類も登場する料理の数々は、観ているだけでドキドキ、ワクワクが止まらない。辛いことがあった日も、うれしいことがあった日も、一日の終わりに乾杯すれば、明日への希望が湧いてくる。

ワイン作りにひたむきなアオは、前作『しあわせのパン』以上に寡黙で笑顔もほとんど無い。メイキング映像では、大泉が三島監督と役づくりについて熱いディスカッションを交わし、時には納得がいかず思い悩む真剣な顔が映し出される。大泉いわく、「三島監督は、唯一、僕の顔をきれいに撮ってくれる」そうだが、一度飲み過ぎた翌朝、現場に行ったら、誰も気付かないレベルなのに、三島監督から「顔がむくんでるね」と指摘された時は正直驚いたという。

また、精悍さが必要な役のため、大泉は三島監督と話し合い、撮影中、ダイエットすることを決意する。ランチに出された揚げ物やお菓子に激しく葛藤する大泉は、ややイライラしながら「俺はストイックだぁ!」と雄叫びを上げる場面も。さらに、映画の公開イベントでは、芸人顔負けのハイテンションで、悲哀に満ちたアオのキャラはどこへやら? 特典映像ではそんな大泉のA面B面がたっぷりと堪能できる。