若きドラマーと伝説の鬼教師の魂のぶつかり合いを描き、世界中をシビれさせた『セッション』いよいよレンタル&セルで登場する。4人の映画ライターが語る本作の衝撃度を紹介すると共に、映画史に残るキャラクターとなった鬼教師のキャスティングを日本人俳優で考える、ツイッター企画もスタート!あなたなら誰を選びますか?

名門音楽大学に入学したドラマーのニーマンは、伝説の鬼教師フレッチャーのバンドにスカウトされる。彼に認められれば、偉大な音楽家になるという夢と野心が叶ったも同然と喜ぶニーマン。だがニーマンを待っていたのは、異常なまでの完璧さを求めるフレッチャーの狂気のレッスンだった。果たしてフレッチャーはニーマンを栄光へと導くのか、それとも叩き潰すのか? 鬼教師を圧倒的な迫力で演じきったJ・K・シモンズは、本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞。ニーマンに扮したマイルズ・テラーも負けず劣らずの熱演でシモンズに食らいつき、究極の師弟関係を見事に体現した。ラスト9分19秒における二人の火花散るセッションは、圧巻の一言だ。

究極の師弟関係を体現!

1987年、アメリカ、ペンシルベニア州生まれ。ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の『ラビット・ホール』(10)でスクリーンデビューを果たし、注目される。その後、SF大作『ダイバージェント』(14)に出演。最も期待される若手俳優となり、今後もエマ・ワトソンと共演する『La La Land』(15)など話題作が控えている。

1955年、アメリカ、ミシガン州生まれ。モンタナ大学で作曲を学んだ後、俳優活動開始。『スパイダーマン』三部作(02/04/07)で演じた編集長役で広く知られている。ジェイソン・ライトマン監督作品の常連で『JUNO/ジュノ』(07)、『マイレージ・マイライフ』(09)などに出演。熟練のバイプレイヤーとして評価されている。

「精神的に疲れた……」劇場の灯りが付くと、後ろのおじさんがこちらの気持ちを代弁するように漏らした。3D映画を上回るド迫力。本編開始とともにフレッチャー教授の強制授業がスタート。フレッチャー教授がいれば3Dメガネなんて要らない。そもそもフレッチャー氏、ガタイがよすぎる。黒のTシャツからはみ出す二の腕、自己主張する胸板は格闘技のコーチでも通りそうなほど。「デブ野郎」「低能」「クズ」――罵詈雑言もバリエーションが豊富で、かの名作『フルメタル・ジャケット』のハートマン軍曹を思わせる。そう、『セッション』とはそんなフレッチャー教授を鑑賞する映画。いま日本にはフレッチャーが足りない。フレッチャーがいれば日本が変わる(いい方か悪い方にかは分からないけど)。

音楽は格闘技のようだ。しばし放心した後、そう痛感した。鬼教師フレッチャーの望む完璧な演奏を目指し、ドラマーのニーマンは血のにじむ、いや、吹き出るような努力をするのだが、その過程が壮絶だ。かわいい彼女を捨ててまでドラムに没頭するニーマン。「君と会う余裕なんてない」と言い放つ姿に、女性陣ならば「こんな彼氏やってらんない」と憎らしく感じるはず。しかし圧巻のラスト。魂の語らいともいうべき二人のセッションで、私達は一線を越えた者にしか味わうことのできない、シビれるような快感を目撃する。彼らが見せる微笑みに、戦うことで激しく共鳴するジョーと力石の握手を思い出す。当事者になったり、恋人にするのはごめんだが、彼らが死にもの狂いで辿り着く“至高の世界”を映画で体験できるなんて、何とも贅沢なひと時ではないか。

『セッション』というタイトルで、音楽のジャンルはジャズで、夢を追う若い学生ドラマーが鬼教師とぶつかり合う物語――とくれば、まぁ95%くらいの確率で「師弟愛と音楽の魅力を描いた感動大作」になると思うじゃないですか。ところが本作はぜんぜんそんな綺麗なもんじゃないし、お涙ちょうだいな“いい話”でもない。才能とエゴがぶつかり合って生まれたドロドロした狂気を煮詰めて作ったジャムみたいな映画です(音楽だけに)。全体的な色味がホラー映画みたいだし、後半の展開は「監督の頭、どうなってるんだよ」って思うくらいスリリングだし、油断していると恐怖すら感じるかもしれない。でも、そうだよな、上位1%しか生き残れない世界で、才能が集まって上を目指しギラギラしている場ってこういうことなんだよなぁ。これはぜひ「何者かになりたい人」に見てもらいたいですね。

シゴキに耐えて夢を掴む。そんな単純な映画ではなかった。弱者は去れ、天狗は潰す、甘ったるい友情や救いの女神など邪魔なだけ、最高の音楽を生み出すためなら、全てを捨て去り、全てをさらけ出せ! 音楽教師フレッチャーは、ぬるま湯感覚のニーマンを完膚なきまでに叩きのめす。褒めたら最後、才能は退化する。フレッチャーの哲学は、暴力と指導の微妙なラインでニーマンの闘争本能を覚醒させる。それにしても、シゴキの手を緩めないフレッチャーは、ただの冷血漢なのか? 少なくとも“愛ある厳しさ”なんていうスポ根精神は存在しない。唯一言えるのは、二人の魂が本気でぶつかり合ったとき、我々は奇跡のセッションを目撃する。カーネギーに響きわたるラスト9分19秒の攻防は、どんな師弟愛よりも眩しく圧巻だ。

圧倒的な存在感で鬼教師役を演じオスカーに輝いたJ・K・シモンズ。もし同じ役を日本人俳優で演じるなら誰がピッタリ?ハッシュタグ(#セッション鬼教師)をつけて、みんなで理想のキャスティングをツイートしよう!ツイートしてくれた人の中から抽選で本作のサントラ&非売品プレスシートを10名様にプレゼント。
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