キスやセックスで人の生気を吸う力を持った美しきヒロイン、ボウの探偵業をアクションたっぷりに1話完結スタイルで描きながら、ボウの出生の秘密、過酷な運命をつづっていくダークファンタジー『ロスト・ガール』が遂に解禁。シーズン5まで続いた作品だけあって、その面白さは言うまでもなく、中毒要素も満載!! その気になる中身とは?(文:安保有希子)
“フェイ”と呼ばれる特殊能力を持った“人間ではない者たち”と、女私立探偵が戦いを繰り広げるダークファンタジー『ロスト・ガール』が、同ジャンルの『GRIMM/グリム』『スーパーナチュラル』に続き、日本上陸を果たした。視聴率が悪ければ即打ち切りの厳しい米TV業界において、本作は熱狂的なファンを多数獲得。また、前述2作品同様、人気ドラマが集結するポップカルチャーの祭典“コミコン”には、サンディエゴを筆頭に、ニューヨーク、ダラス、スーパー・メガフェストなどに出席、各所でファンを沸かせてきた。ファイナル後も『ロスト・ガール』を惜しむ声が止まないのは、愛されてきた証拠でもある。
キスやセックスで人を死なせてしまう特殊能力を持つボウは、自分がフェイという太古から生存する進化形生物の“サキュバス”だと知り、フェイの情報を得ようと、人間の相棒ケンジーとともに私立探偵業をスタート。ボウへの依頼は、吸血鬼や狼人間など、多くのフェイが登場する王道的ダークファンタジーだ。
しかし、本作はそれ以外の要素も多く含んでいる。例えば、オープニングでは、これまでの物語を振り返る際、実写からコミック風の映像に一転、アメコミの世界観をほうふつとさせる。また、アクションシーンでは、派手な立ち回りをする一方で、アキレス腱や膝の裏といった急所を突いてから止めを刺しと、その姿はまるでモンスターを狩るゲームのハンターのようだ。
『ロスト・ガール』の特徴は、その見やすさと分かりやすさだ。まず、登場するフェイは、基本的に光と闇にわかれているため、2つを選別でき頭がこんがらがることはない。さらに、1話完結のため、都度、人間に危害を加えるフェイが現れるも、こちらはボウが対処にあたり、善と悪のストーリーが展開し理解しやすい。さらに、本作を見進めていくと、ボウが着物のモチーフにしたかのような赤いガウンをまとい、日本では妖怪としてお馴染みの“カッパ”が、なんと日本のフェイとして登場! こういった点で日本が垣間見えるので、より親しみやすく感じられるだろう。
特殊能力を有する異能者。フェイには光と闇があり、1000年以上も前から一触即発状態に陥っているが、本気を出すと人間を滅ぼしてしまうため、現在は一応の平和を保っている。基本的に、フェイは光と闇のどちらかに属している。
人の生気を食糧とするフェイのこと。ひとたび生気を吸い始めると、周りの状況が見えなくなるため、食事を邪魔されると、味方であっても攻撃しようとする。また、フェイの生気は満足度が高く、サキュバスが受けた傷を治す効果もある。
光と闇、両方のフェイが集まる、フェイの避難場所。そのため、ここは中立的立場を貫いており、もちろん光と闇の喧嘩は禁止。また、ボウやダイソンの仲間ということで、ケンジーは人間だが出入りを許可されている。オーナーはトリック。
ダークファンタジー系ドラマの主人公といえば、『GRIMM/グリム』しかり、『SUPERNATURAL』しかり、その多くが男性だ。だが、『ロスト・ガール』の主人公ボウは女性。生気を吸う以外に、自分の意のままに人を操ることもでき、なんと、ガチンコのファイトも大得意! また、美しさも別格だけに、戦うシーンも、男性とセックスで体力を回復させるシーンも、好みの女性と絡むシーンも、いつだって妖艶そのもの。その一方で、産みの両親に捨てられたという過去が、彼女に一抹の影を落とし、その謎を知っているようなフェイが物語を盛り上げる。女性が主人公でも抜群に面白いどころか、中毒要素抜群なので、どっぷりハマってもらいたい。
類まれなる美貌と、数奇な運命を背負ったボウ。そんな彼女を取り巻くのが、刑事として人間やフェイの事件を捜査するダイソン、詐欺や泥棒業で生計を立てていた人間のケンジーなど、個性的な美男美女たちだ。一筋縄ではいかない彼らが、悪と戦うボウをサポートし、命に代えてでもボウを守ろうとする。その姿に感動を覚えつつ、彼ら自身が友情を紡いでいく姿も秀逸。『ロスト・ガール』人気の一翼を担っていたのもうなずけるはずだ。
義理の両親に人間として育てられたサキュバスのフェイ。実の両親はなぜ生まれてすぐに自分を捨てたのか、その出生の秘密を探ろうと私立探偵を始める。美しく、機転が利くが、人助けに没頭し過ぎて全体像が見えなくなることも。バイセクシャル。
泥棒や詐欺で生計を立てていたが、ボウに命を助けられたことで彼女の相棒となる。コスプレをしての潜入捜査、身内や仲間を使っての情報収集など、特殊能力はないが、生きる力には長けている。ユーモアに富み、誰からも愛されている。
光のフェイで狼人間。戦士として生きてきたが、現代では刑事となり、フェイと人間の事件を捜査している。イケメンだけあって女性から好かれることは多いが、基本的にはボウ一筋。ボウが傷ついた際には、“ケア”と称して自身の生気を与えている。
美しい歌声で人々を操るセイレーンで、ダイソンの相棒として刑事課で働いている。実は、光のフェイ名門一族の跡取りだが、そんなことは気にも留めず、陽気でフランクなイケメン。ケンジーと仲が良く、常にからかい合うっている。