イ・ビョンホン主演で日本でも大ヒットとなった映画を連続ドラマ化した『王になった男』が日本に上陸し、大きな話題を呼んでいる。王の影武者となった男の数奇な運命を描く壮大な史劇ーー。“第4次韓流ブーム”が到来し、注目作が目白押しの韓流ドラマの中でも、“王になった男”の成長ストーリー、ドロドロの宮廷劇、禁断のラブロマンスと、見応えたっぷりの本作。とりわけ一人二役に挑んだ主演のヨ・ジングの“演技力”は必見だ。そこでジングのインタビューを交え、本作の見どころをご紹介!
王座をめぐり激化する権力争いで混乱する朝鮮中期を舞台に、王イ・ホンが自分の命を狙う勢力から逃れるため、自分とそっくりの道化師を身代わりにするという映画のストーリーはそのままだが、映画版では描かれなかった、王イ・ホンと道化師ハソン、王妃ソウンのラブロマンスが明らかとなるのが、ドラマ版の大きな見どころの一つ。
ハソンは正義感あふれる青年で、人懐っこい笑顔の持ち主。王として暮らす中で次第に王妃に恋心を抱くが、それは到底かなわぬ禁断の恋…。一方、別人とは知らず、突然優しくなった王(実はハソン)に戸惑いつつも惹かれていく王妃。「好きになってはいけない人」と胸を焦がすハソンの姿がなんとも切なく、秘密と嘘に包まれた彼らの愛の行方が気になる!
王イ・ホンと道化師ハソンを一人二役で演じるのは、2012年の大ヒットドラマ『太陽を抱く月』で、子役ながら強烈な存在感を発揮したヨ・ジング。小学校を舞台にした映画『僕が9歳だったころ』
(2004)のヒロインでも知られるイ・セヨンが、王妃ソウンに扮する。
“子役スターのエース”として活躍した2人が見事に“実力派若手俳優”へと成長し、大人の恋を紡いだ形だ。幼い頃から演技に磨きをかけてきた彼らとあって、ハソンと王妃の揺れ動く心情を繊細な芝居とともに表現しており、高まる恋心にキュンキュンさせられること間違いナシ! ホタルの飛び交う橋、2人きりで過ごす書庫など、彼らが距離を縮めていく背景もロマンチックなシーン満載だ。
『運命のように君を愛してる』、『カネの花〜愛を閉ざした男〜』のキム・ヒウォン監督が手掛けた本作は、ラブロマンスだけでなく、陰謀渦巻くドロドロの宮廷劇も目が離せない。不正、裏切り、復讐など権力を手に入れようとする者たちの思惑が交差する中、真っ直ぐな心を持ったハソンが王として成長していくなど、息もつかせぬ怒涛の展開が味わえる。
また王となったハソンを守ろうとする側近をキム・サンギョンが演じているほか、敵側となる悪役に扮するベテラン勢の迫力も圧巻。役者陣の熱演と巧みなストーリー展開で重厚かつスリリングな史劇として完成しており、韓国で同時間帯1位の視聴率を獲得したのも納得!
映画版の『王になった男』は僕も大好きな作品だったので、オファーを受けたときは、僕が演じてもいいのか、ちゃんと演じられるのか…と最初は確信が持てなくて、ものすごく悩みました。でも実は、映画版を見た時にいつか一人二役を演じたいと思っていたんです。俳優にとっては魅力的な役柄なので、若いうちに挑戦した方がいいだろうし、年を重ねればもっと挑戦しづらくなる。そう思って勇気を出しました。
一人二役を演じる上で、一番気を使ったのは2人が同時に映るシーン。一つの顔で2人を演じるのでどうやって違いを出すか…それが悩みでした。目つきで違いを出すために鏡を見ながら、いろいろと試行錯誤をしたんです。
僕にとって本作は、“成長”を感じられた作品。ストーリー自体がハソンの成長を主軸にしていますが、ハソンが王になり成長していく過程で僕も成長したと思います。
この作品をやる前はどう演じるかについて、迷いがあった。でも、本作を通じて自分に対する自信が芽生え、今になってやっとスタートラインに立てたような気がしています。みなさんにもハソンを通じて傷を癒し、イ・ホンを通じて……彼に共感するのは無理でしょうが(笑)、彼のような悪役を通じて一種の痛快さを感じていただけたらうれしいです。
ヨ・ジングは、1997年8月生まれの23歳。8歳の頃、韓国のトップスターが共演した映画『サッド・ムービー』(2005)でデビューした。以降、映画『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』(2008)、ドラマ『イルジメ〜一枝梅』(2008)など数々の映画・ドラマで子役として華々しいキャリアを積み、最高視聴率46.1%を記録した2012年の大ヒットドラマ『太陽を抱く月』でキム・スヒョン演じる主人公の子供時代を熱演し、子役とは思えない演技力で注目を集めた。
近年は『絶対彼氏。<完全版>』、『ホテルデルーナ〜月明かりの恋人〜』ですっかり男らしくなった姿を見せるなど、スター俳優として目覚ましい活躍を見せているジング。王と道化師という、同じ顔を持った男を一人二役で演じた『王になった男』は、そんな彼の演技力を堪能するにはぴったりの1作だ。
王イ・ホンは、冷酷で残虐な狂気の男。道化師ハソンは陽気で優しく、正義感にあふれた男。 イ・ホンとハソンでは、まとう空気感まで違うのがスゴイ! 入れ替わり後にはハソンの悲哀がにじみ出てきたり、イ・ホンの抱える闇が明らかとなるなど、2人のドラマ性を演じ切ったジングの演技力は鳥肌モノだ。普段、時代劇はあまり観ないという人にもおすすめしたい秀作となっている。