2012年にアメリカでスタートし、150話を超えるエピソードが放送された大ヒット海外ドラマ『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』が遂に“完結”を迎える。ファイナルの名にふさわしく、最強の敵が現れホームズを打ちのめす出来事が起こり、最後には大どんでん返し…と、衝撃の展開の連続! 全13話、濃密な物語となったファイナル・シーズンの見どころを紹介していこう。
ロンドンからニューヨークに住まいを移した名探偵シャーロック・ホームズは、薬物依存症のリハビリをしながら、ニューヨーク市警の顧問として働くことに。そこへ、ホームズの父に雇われた元外科医の女性、ジョーン・ワトソンがホームズのリハビリ付添人として引っ越して来る。
最初こそ、ワトソンを追い返そうと、彼女と距離を取るホームズだったが、一緒に事件を追い、彼女の優秀さを知るにつれ、失礼な言動や態度が減り、徐々に気持ちが変わっていく。この絆が生まれていく過程と、ホームズの変化が前半の見どことの1つ。
また、シーズン2ではホームズと犬猿の仲の兄マイクロフトが登場し、ワトソンといい雰囲気に…。2人の親密な様子にホームズがプチやきもちを焼いたり、些細なことで兄弟喧嘩をしたりもするが、兄弟の愛を感じられるシーンは涙なしに見られない。そして、シーズン3ではホームズに新しい(女性の)助手キティが加わり、ワトソンとの関係が複雑に…恋愛要素も見どころのシーズンとなっている。
シーズン4を象徴する存在は、ロンドンからやって来たホームズの父親モーランドだ。仲が良い親子とは言えないものの、頭脳明晰なホームズと権力を有するモーランドがタッグを組めば、最強&最高のパートナーだと判明。また、随所でホームズへの愛情が感じられ、家族愛が見どころのシーズンとなった。
シーズン5では、コンビ結成5年目を前に、仕事を変えたがっているワトソンが話題の中心に。人を罰するのではなく、人を救う仕事が恋しくなってしまったワトソン。その本心を知ったホームズが取った行動とは?
一方、頭を殴られたことをきっかけに、幻覚が見えるようになってしまったホームズ。シーズン6で脳震盪後症候群(PCS)という病気だったと判明する。ワトソンから紹介された名医の元に通うが、服薬で依存症再発を心配したホームズは依存症回復プログラムの集会に通い、マイケルという男性に出会う。ここから怒涛の展開を見せ、ラスト2話はシリーズ最大の衝撃! 予想もしない展開をお楽しみに。
ホームズ役のジョニー・リー・ミラーはアクションたっぷりの第4話を手掛け、派手なシーンも演出できることを証明。その一方で、わだかまりを残したまま、凶弾に倒れたグレッグソン警部とホームズとの病室でのやり取りは、これまでの2人の関係を知っているだけに泣かずにはいられない名シーンに。静かで淡々とだが、感情を揺さぶる演出は見事だった。
また、ワトソン役のルーシー・リューは第11話を担当。ラスト間際のエピソードとあって、ストーリーは目まぐるしく変わるが、ルーシーは見事に対応。さらに、ホームズをどん底へ叩き落とす出来事も描かれ、ここに彼女の才能が光る。“あえて見せない”演出で、視聴者の心に深く刻むことに成功した。このセンス、さすがの一言だ。
これまでのシーズンも豪華ゲスト俳優の出演が話題になってきたが、ファイナル・シーズンのゲストもすごい! 米ABCの報道番組『グッド・モーニング・アメリカ』で司会を務めていたジョアン・ランデンや、『新スター・トレック』のダニエル・デイビス、『グッド・ファイト 華麗なる逆転』のヘレン・ヨークら豪華ゲストが登場する。
中でも注目なのが、『GOTHAM/ゴッサム』のテオ・ギャラバン役でおなじみのジェームズ・フレインだ。彼が演じるオーディン・ライヘンバッハは、ホームズと同じく天才で、モーランドよりも富と権力を持つ。そんな相手がホームズに二重三重の罠を仕掛けてくる。ラストにふさわしい強敵だ!
ライヘンバッハは、原作「シャーロック・ホームズ」の短編「最後の事件」でホームズが落ちて亡くなったとされる“ライヘンバッハの滝”と同じ名前ということにも注目!
ホームズ役の日本語吹替を担当するのが、『ポケットモンスター』シリーズのコジロウ役や、『銀魂』の坂本辰馬役などで知られる三木眞一郎。ハンサムな声質からクールな役柄に定評があり、理路整然と犯人を追い詰めていくホームズは、まさにハマり役。
そして、『攻殻機動隊』シリーズの草薙素子役などで有名な田中敦子が、ホームズとコンビを組むワトソンを担当。強さと優しさを兼ね備えた、凛とした声質は、暖かくホームズを見守りながらも、時に鋭く切り込んでいくワトソンにぴったり。
そんな2人が繰り出す絶妙なやり取りは耳心地が良く、最高の一時だった。中でも、最終話のラスト5分は永久保存版のやり取りだ。
ハリウッドの第一線で活躍し続け、2019年には、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムの星を獲得※したルーシー・リュー。『チャーリーズ・エンジェル』のアレックス役や『キル・ビル』のオーレン役など、日本では女優業のイメージが強いが、アメリカでは監督、プロデューサーとしても評価されていたり、チャリティ活動や権利運動にも積極的に参加している。
(※ハリウッドの殿堂入り)
またプライベートでは、代理母出産で息子ロックウェル・ロイド・リューが2015年に誕生。ルーシーの公式インスタグラムには、愛情たっぷりに育てている様子が度々アップされている。
一見、順風満帆に見えるルーシーだが、アジア系であることを理由に差別に苦しんできた過去を持つ。しかし、女性だから、アジア系だから…といったステレオタイプを実力で打破し現在の地位を確立。その生き方に感銘を受ける人は多く、世界中の女性から支持を集めている。
そんな彼女が、初の女性ワトソンを演じた『エレメンタリー』では、シーズンを通してワトソンの衣装にも注目が集まった。“シンプル”にまとめられたワトソンのスタイルは、ニューヨークで働く女性たちの注目の的となり、着こなしを真似する人が続出。日本でも多くのメディアで取り上げられた。
女優、クリエイターなど、様々な顔を持つルーシー・リュー。新たなドラマへの出演、プロデュースも続々発表されており、今後の活躍からも目が離せない。