圧倒的な没入感と中毒性で目利きのドラマファンからも高い支持を集める大ヒットクライムサスペンス<殺人分析班>シリーズ。第3弾『連続ドラマW 蝶の力学 殺人分析班』から早2年…青木崇高演じる鷹野秀昭を主人公とした最新作『連続ドラマW 邪神の天秤 公安分析班』がついに始動する。個々の作品ももちろん面白いけれど、同じ世界観を共有するユニバース作品を網羅していれば、もっと楽しめること間違いナシ! なぜこんなにも愛され、観る者を惹きつけているのか。過去作を振り返りながらその魅力に迫ります。
<殺人分析班>シリーズの原作は、作家・麻見和史の人気警察小説シリーズ『警視庁殺人分析班』。警視庁捜査一課十一係=殺人分析班の活躍を描く物語で、リアリティあふれるストーリーにサスペンス性とアクションを織り込み、警察小説の新規軸を打ち立てたシリーズだ。これまでに無鉄砲な刑事・如月塔子を主人公とした『石の繭 警視庁殺人分析班』、『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』、『蝶の力学 警視庁殺人分析班』の映像化が実現。2021年からは塔子の成長を見守ってきた刑事・鷹野を主人公にした『警視庁公安分析班』シリーズがスタート。『邪神の天秤 警視庁公安分析班』、『偽神の審判 警視庁公安分析班』が発売され、このほど『邪神の天秤』がドラマ化される。
数々の良質なドラマを世に送り出しているWOWOWドラマの中でも、人気を誇るシリーズとなった<殺人分析班>。2015年に映像化第1弾となる『連続ドラマW 石の繭 殺人分析班』が登場し、原作の世界観を忠実に再現した内容で視聴者の度肝を抜いた。これまでスピンオフも含め4作品が放送・配信され、このたび新たなユニバース作品として『連続ドラマW 邪神の天秤 公安分析班』が放送・配信となる。
猟奇的な殺人事件が毎回発生するが、地上波では許されないような描写にも果敢にトライしておりシリーズ全体から圧倒的な熱量が感じられる。そしてなんといっても、登場人物が魅力的! 正義感の強い新米刑事・如月塔子が殺人分析班のメンツと事件を追う中で成長していく過程も見応えがあり、危なっかしい一面も多かった彼女が、刑事としての覚悟と誇りを強くしていく姿を木村文乃がすばらしく演じている。『石の繭』『水晶の鼓動』『蝶の力学』とぐんぐん頼もしくなる塔子に注目だ。
そして、塔子の成長を見守る鷹野をはじめ、十一係のメンバーもそれぞれ血の通った人物として活写。彼らが警察組織の中で葛藤する姿もリアリティがあり、シリーズを観続けていると各キャラクターにどんどん愛着が湧いてくる。犯罪現場に残された奇妙な遺留品を手掛かりに、犯人像をプロファイリングしていく彼ら。真犯人に至るまでの謎解きはたまらなくスリリングで、迫力あふれる映像や音楽も緊迫感を盛り上げる。骨太な刑事ドラマ、登場人物の成長ストーリー、手に汗握るサスペンス性が揃っているのが本シリーズ。少しずつ明らかとなる事実もあり、全作品通して観ることで一層味わい深くなるシリーズとオススメしたい!
『連続ドラマW 石の繭 殺人分析班』
死体をセメントで固めた異様な事件が発生。新人刑事・塔子はトレミーと名乗る犯人を追跡するが、苦戦を強いられる…。大胆不敵な犯人の真の目的とは!?
『連続ドラマW 水晶の鼓動 殺人分析班』
“トレミー”の事件から1年。深紅に染まった部屋での猟奇殺人事件と連続爆破事件が発生。シリーズ史上最も、大胆かつ複雑な事件の全貌とは?
『WOWOWオリジナルドラマ 悪の波動 殺人分析班スピンオフ』
鮮烈なキャラ、トレミーを主人公にしたオリジナルドラマ。女性ばかりを狙った“首くくり殺人”が発生。猟奇殺人犯トレミーの原点が明らかになる。
『連続ドラマW 蝶の力学 殺人分析班』
切り裂かれた首に“青い花”が生けられた遺体が発見される。鷹野の異動が決定し、周りの期待に応えようする塔子。しかし、事件はさらに難航していく…
『連続ドラマW 邪神の天秤 公安分析班』
日本警察の中でもエリートとされる公安部に異動した鷹野。そんな中、爆破事件と与党大物議員の殺害事件が発生。鷹野は難事件の糸口をつかめるのか―?
日本中を震撼させた連続殺人犯トレミーの事件を解決に導いた如月塔子が、真っ赤に染まった部屋で起きた猟奇殺人事件に挑む。さらに猟奇殺人事件の捜査中に爆破事件が発生し、塔子たち警察は未曾有の危機に直面。なぜ殺人現場は赤く塗られていたのか、現場に残された“○×”の文字の意味とは――? 原作シリーズの中でも最も大胆かつ複雑な事件が描かれる。真犯人に辿り着くまでに物語は二転三転し、ゾクゾクするような展開満載! 意外な結末にも驚くこと必至で、本格クライムサスペンスを堪能できる。
前作『石の繭』は“真っ白”なセメントが事件の鍵を握っていたが、本作は被害者をはじめ、部屋全体を“真っ赤”に染め上げる衝撃シーンから幕を開ける。事件解決に乗り出すのは塔子らおなじみの十一係のメンバー。個性豊かな面々に管理官・手代木(勝村政信)、警部補・石倉(藤本隆宏)といった新メンバーも加入し、仲間としての絆をより強いものにしていく。彼らが意見を戦わせながら「犯人は? 動機は?」と筋読みをしていく場面は本作の大きな見どころ。家族との時間や寝る間も惜しんで事件解決に努める刑事たちの姿は実にリアルで、ぐいぐいと物語に惹きつけられる。この圧倒的な緊迫感、リアリティも本作が“クセになる”大きな要因だろう。
また前作では「すみません」と謝ることも多かった塔子だが、刑事という仕事への誇りを胸に確実に成長している様子が見て取れる。そんな中、彼女が抱えたトラウマも明らかとなり、次々とピンチに見舞われる塔子…。力強く立ち上がっていく彼女に勇気をもらえるような1作として完成した。
主人公は、警視庁捜査一課十一係から公安部に異動した鷹野秀昭にバトンタッチ。これまでのシリーズでは、塔子の指導的立場でコンビを組んできた鷹野。事件解決に注ぐ情熱はすさまじく、仕事もできる硬派な男だが、時折見せる塔子への優しさ、それを素直に伝えられない照れ屋な一面もgood。人気キャラクター投票では1位を獲得しているのも納得だ。公安部に異動しても、相変わらずトマトジュースが捜査のお供。新天地で難事件にぶち当たる鷹野の活躍をぜひ目撃したい!
舞台は捜査一課から、日本警察の中でもエリートとされている公安部へと変化。爆破事件の現場近くで与党大物議員の殺害事件が発生。遺体からは臓器が抜かれ、その付近には心臓と羽根を乗せた天秤が残されていた。猟奇事件現場に臨場した鷹野は古代エジプト神話を模した殺害方法に違和感を持ち、筋読みを始めるが、同僚たちからは「公安には公安のやり方がある」と一蹴されてしまう…。人間関係や信頼を積み上げて情報を集めていくという、捜査一課のやり方が公安では通じない。捜査の雰囲気、上司や同僚との関わり合い方もこれまでとはまったく違う。異質な存在となった鷹野が、どのように公安部で自分の居場所を見つけていくのかも見どころだ。
舞台が変わったことで、キャスト陣も新メンバーが参入。豪華な役者陣が顔を揃えた。公安部の同僚の氷室を演じるのは松雪泰子。鷹野とコンビを組むことになるも、彼の行動は「公安のやり方ではない」と冷たく言い放つデキる女。クールビューティーな役どころが松雪にぴったりとハマっており、鷹野&氷室の関係性からも目が離せない。またそのほかの公安部のメンバーにも筒井道隆、徳重聡、小市慢太郎など実力派がズラリ。どのキャラクターも一癖ありそう! そして捜査一課の係長で、十一係を見守る上官の早瀬(渡辺いっけい)も登場。シリーズではおなじみの存在を目にできるのも、ユニバース作品のうれしいところ。鷹野とどのようなやり取りが見られるのか、大いに楽しみだ。