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『恋は雨上がりのように』小松菜奈&大泉洋インタビュー

映画

女子高校生とおじさんの恋? それだけ聞くと少し変わった設定だが、その実、非常に爽やかな作品に仕上がった映画『恋は雨上がりのように』。眉月じゅんのベストセラーコミックを実写映画化した本作で、ファミレスの店長に恋をした、元陸上部の女子高校生・あきらを、原作の魅力そのままに小松菜奈が演じ、あきらに想われる中年おじさんの近藤を、大泉洋が周囲の空気全体を優しくする無二のオーラたっぷりに演じ、ダブル主演を務めている。初共演を果たした小松と大泉が、互いの印象や苦労したシーンの秘話、作品の魅力などを語り合った。

――人気コミックの実写化です。最初に原作を読まれたときの印象を教えてください。

小松:まず絵がすごくステキだと思いました。表紙の色使いもステキ。引き込まれましたし、内容も女子高生と45歳のファミレス店長の話って、なんだか面白そうだなと読み進めていくうちに、理屈じゃない恋ってこういうことなんだと思えました。すごく爽やかで、どんどん読みたいと思える原作だったので、出会えてよかったと思いました。

大泉:大人になってから、もうそんなに漫画は読まないんですけど、この原作はどんぴしゃ好きな漫画でしたね。私はね、昔からこういう、なんだかキュンキュンするやつが好きでね。

小松:えー!

大泉:好きなんですよ。気持ち悪いおじさんなんです(笑)。

小松:そんなことないですよ(苦笑)。

大泉:おじさんと女子高生という、そこはちょっと変わっていますけれど、でもある意味青春を感じる物語で。たとえば僕の世代だと『タッチ』とか『きまぐれオレンジロード』とかね。ドキドキして、キュンキュンするわけです。どこかそれに近いというかね。店長とあきらがどうなっていくのか気になって。

小松:そうですね。

大泉:面白くてやめられなかったですね。そこに爽やかな、陸上という要素も入ってきますし。恋のちょっとしたキュンキュンと、青春のキラキラのバランスがとっても良くて。久々に盛り上がった、好きな漫画でしたね。

――それぞれご自身が演じた役の好きなところを教えてください。

小松:すごく真っ直ぐで、人に対して堂々とぶつかっていくところが、見ていて気持ちいいし、いいなと思いました。それでいてまた不器用なところが可愛らしいし。守ってあげたくなる。でもその気持ちが顔に出なくて無表情で。そのギャップもいいし、私自身も顔に出ないことがあって、「怒ってる?」って聞かれることがよくあったんです。だから、「うわー、一緒だ」って。

大泉:近藤さんは、原作を読んでいても、実に温かいというか、優しくてね。いや、私も優しいんですよ、優しいんですけどね。私は近藤さんに比べると、ちょっと面倒くさがるし、ぼやいちゃう。近藤さんはぼやかないから。その辺が非常に魅力的ですね。

――初共演ですが、お互いの印象はいかがでしたか。

小松:ずっとご一緒したいと思っていたので、夢がかないました。テレビで見る大泉さんと本当に変わらなくて、気さくで面白くて、みんなが近寄りたくなるオーラがあるんです。大泉さんが現場にいるのといないのとでは、全然雰囲気が違う。そういう人ってなかなかいないと思います。明るくて優しくて、すごくステキな方だと思います。

大泉:小松さんもステキな人です。小松さんを見ていると、頑張らなきゃいけないなと思いました。文句を言わないんですよ。夏の設定ですけど、冬に撮っていますからね。寒いんです。でも、ザーザーの雨降らしのシーンなんかでも、楽しそうにしているんですね。小松さんが、常に明るく元気でいてくれるというのが、現場を明るく楽しいものにしてくれたと思いますよ。お芝居に対してもすごく真面目でしたし。

――いい雰囲気の現場だったようですが、小松さんはあきらを演じるにあたって、かなり悩まれたとも聞きました。

小松:はい。漫画特有のセリフや、突然告白に行く行動とか、分からない部分があったのですが、自分がちゃんと感じていないと観ている人に伝わらないので、監督と相談しながら、気持ちを作っていきました。

特に覚えているのは、店長が風邪をひいて、あきらが店長の家に行く場面です。なかなか感情が持っていけなくて。時間が掛かってしまって、「あぁ、自分待ちなんだ」とか考えて、どんどんハマってしまった。そのとき、大泉さんが、「休憩しよう」と言ってくださって。それから私にだけ聞こえる声で、あきらの心情だったり、場面の意図を一緒にたどってくれたんです。すごく楽になりましたし、そこから切り替えて頑張ろうって思えました。

――まさに劇中の近藤とあきらのようですね。

小松:はい。

大泉:小松さんは、絶対に逃げないんですよ。その心情になるまで逃げない。強いと思いましたね。難しいシーンなのはみんな分かっていたけど、本人は自分待ちになって実につらい思いをしているだろうなと感じました。僕はアドバイスでもなんでもなくて、逃げないで最後まで頑張っている姿を見てすごいと思っていました。

――そんな完成作をご覧になっていかがでしたか?

大泉:とにかく清々しい気持ちになりました。僕みたいなおじさんは、菜奈ちゃんや清野(菜名)さんが走っているだけでウルっときちゃうからね。観終わった後の清々しさが半端なかった。いやー、今日はいい一日だって思える。自分の若かった頃をなんとなく思い出したりしてね。僕らの世代は世代で、思うものがある作品ですね。

小松:爽やかだなって。二人の関係性やセリフのテンポの食い違いとかも絶妙でした。おじさんと女子高生の恋愛ものって聞くとちょっと変わっていますが、恋愛がもたらした夢に前向きになる気持ちとか、すごくステキなお話なんです。気持ちいい関係性で、店長だけでなく、みんながちゃんとお互いのことを思い合っている環境に、あきらがいるのが伝わってくる。主題歌も前向きになれるし、曲が終わる最後まで観たくなる映画だと思います。
(取材・文:望月ふみ 写真:高野広美)

『恋は雨上がりのように』
『恋は雨上がりのように』

眉月じゅんの人気コミックを原作に、『世界から猫が消えたなら』『帝一の國』などの永井聡がメガホンを取り、次第に心を通わせる主人公たちの姿を見つめた青春ラブストーリー。陸上短距離のスター選手だった橘あきら(小松)だが、アキレス腱を断裂してしまう。夢を持てなくなったあきらは、診察の帰りに入ったファミレスで、店長の近藤(大泉)から優しい声を掛けられ、その店でアルバイトすることに決める。近藤は28歳も年上で、バツイチの子持ちだった。しかしあきらの想いは日増しに大きくなり、ついに気持ちを打ち明ける。

映画『恋は雨上がりのように』は全国公開中。

小松菜奈
1996年生まれ、東京都出身。2008年に雑誌「ニコ☆プチ」でデビューを飾り、モデルとして活躍。14年公開の中島哲也監督『渇き。』にて役所広司演じる主人公の娘役に抜てきされて本格的な演技に挑戦し、高い注目を浴びる。『近キョリ恋愛』や『バクマン。』などを経て、『溺れるナイフ』(16)で映画初主演。同年、マーティン・スコセッシ監督『沈黙 ‐サイレンス‐』にてハリウッドデビューを果たす。ほか出演作は『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『坂道のアポロン』など。

大泉洋
1973年生まれ、北海道出身。演劇ユニット「TEAM NACS」所属。地元北海道でタレント活動を開始し人気を博す。05年に『救命病棟24時』にて全国ネットの連続ドラマに初出演し、知名度を上げた。NHK大河ドラマ『龍馬伝』『真田丸』、連続テレビ小説『まれ』などに出演。映画では『探偵はBARにいる』(11)『駆け込み女と駆け出し男』(15)、『探偵はBARにいる3』(17)にて日本アカデミー賞優秀主演男優賞に輝くなど、躍進を続け、2018年は『焼肉ドラゴン』ほかの待機作が控えている。

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