映像作家・佐渡恵理が創るSFラブストーリー『The Breath of the Blue Whale』 美しい画作りへのこだわりも明かす
P R: MIRRORLIAR FILMS PROJECT
クリエイターの発掘・育成を目的に、映画製作のきっかけや魅力を届けるために生まれた短編映画制作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)』。1月16日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国の劇場で2週間限定で上映されるシーズン8までに、著名クリエイターから一般公募まで、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した57本の短編映画が劇場公開。今回クランクインでは、シーズン8を彩る6作品の監督にインタビューを実施。第2回目は、映像作家の佐渡恵理に初監督作『The Breath of the Blue Whale』への思いや見どころを語ってもらった。
■MEGUMIとの出会い、初監督を務める心境
──佐渡監督は、プロデューサーのMEGUMIさんともともとどのような関係性だったのでしょうか。
ロンドンの大学で同級生だった映画監督・木村太一くんの紹介です。彼はMEGUMIさんと一緒に「FUJIKO」という映画を作っているのですが、MEGUMIさんから「『MIRRORLIAR FILMS』の企画で組む監督を探している」と聞いた太一くんが、私のことを話してくれました。
──では、今回が“はじめまして”だったんですね。佐渡監督は映像作家として、主に広告やアーティストのMVなどを手がけていますが、映画を撮ってみたいという思いはもともとお持ちでしたか?
普段は15秒、30秒の広告を作っているんですが、2、3年前にあるファッションブランドの映像を作ったときに、6分くらいの尺になってしまったんです。どうしても縮められずにいたら、クライアントが「そのまま流しましょう」と気に入ってくださって。そのときに「伝えたいことを伝えるためには、やっぱり長い尺じゃないと難しいな」と感じて、そこからショートフィルムの企画や脚本を1年に1本くらいのペースで作っていました。そのタイミングでMEGUMIさんからお話をいただいたので、すごくうれしかったですね。
──映画はもともとお好きですか?
観ることはもちろん好きで、今はアート系のフィルムやアニメーション、ストップモーション作品をよく観ます。10代の頃は映画の美術セットを作る人に憧れていたので、ロンドンの大学に進学しました。
──『The Breath of the Blue Whale』は、人々が脳内で会話できるようになった近未来を舞台にしたラブストーリーです。最初にMEGUMIさんと、どのように作品の方向性を決めていきましたか。
MEGUMIさんは「ラブストーリーをやりたい」とおっしゃっていて、私はセリフがないものをやりたくて。岡山へシナハンに行き、ストーリーを具体化していく中で、MEGUMIさんが「セリフがない理由をしっかり決めたい」とおっしゃったので、脳内のチップで会話をする設定のSFラブストーリーにしました。
──セリフがない作品にしたかったのはなぜでしょう?
映画にセリフがないものは全然ありますし、そのほうが自分に合っていると思いました。 また、セリフがない事で生まれる空気感だったり、ダイレクトに言葉でストーリーを伝えるのではなく、余白がある事で心地のいい距離感が鑑賞者と産まれると考えています。 捉えられそうで、捉えられない、絶妙な距離感のある演出がしたかったからです。
■「完全に美しいものでなければいけない」画作りへのこだわり
──主人公のマリは、最初はAIが用意した選択肢をもとに人とコミュニケーションを取りますが、次第に自分の感情を表現することに向き合っていきます。AIが急速に普及する現代にタイムリーなテーマで、「自分の頭で考え、表現すること」の大切さを考えさせられました。
私の中では「作品を観てこう感じてほしい」という希望は特になく、観た方それぞれの視点で受け取ってもらえたらうれしいです。とにかく私が捉えたかったのは、最後にマリが唯一のセリフを言うシーン。 いろんなことを考えるけど言葉にできない葛藤があって、溜めて溜めて、最後に感情が勝って一言を放つ場面を撮りたかった。 シーンとした静けさの中で、鯨が呼吸するために水面に飛び出してくる瞬間、ダイナミックだけど時が止まったようなスローモーションのイメージを原始的な形で表現したかったです。 そこまでの展開は伏線だと言ってもいいくらい。マリ役のNANAMI(KEYES)さんは普段はモデルさんで演技未経験だったのですが、 こちらの思いをお話しして、頑張って取り組んでいただきました。
──マリと濱尾ノリタカさん演じるシンの、不器用なやりとりにも引き込まれました。
NANAMIさんはひと目見た瞬間から、感情があるのかないのかわからない雰囲気がマリのイメージにぴったりだったんです。演技に慣れていない感じが逆にマリに合うと思ったので、「そのままでいてくれれば」と伝えました。 そして濱尾さんは、安定感たっぷりに現場を引っ張ってくださり、映画全体の事を考えて、いろいろと提案もしてくれましたね。有隣荘で撮影した2人の初対面シーンでは、 シンがコーヒーを何杯も飲むシーンで濱尾さんが本当に全部飲んでくれて、「もう目がバキバキです」と言っていました(笑)。
──空のコーヒーカップが机にたくさん並んでいる光景が可愛らしかったです(笑)。そんなふうに、静謐なムードの中にクスッとできる描写が時折挟まれることも印象的でした。
緊張してコーヒーを何杯も飲んでしまうシンのお茶目なキャラクターを表現したシーンになっています。
──岡山での撮影はいかがでしたか?
シナハンで5、6回訪れて、プライベートでも遊びに行ったんです。地元の方々がとても優しかったし、倉敷はどこを撮っても絵になる場所だと思いました。私は海が好きなので、瀬戸内海の美しさに魅了されましたね。オフィスのシーンは、マルゴデリという海が見えるカフェにセットを組ませていただいたのですが、岡山出身のMEGUMIさんも「こんなところがあったんだ」とおっしゃっていました。
──どのシーンも映像の美しさが印象的でした。全体を通して、佐渡監督が特にこだわった部分はどこですか。
私は明確な理由がない限り、短編の場合は特に、「画は完全に美しいものでなければいけない」と思っているんです。なのでいつも広告で一緒にやっているスタッフに集まってもらって、機材も同じものを使い、グレーディングも細かく調整しました。
この映画はセリフがないので、画作りが最も大事というか。画に説得力があって鑑賞者がずっと見ていたいと思えるようにする事は必要だと感じていました。 また岡山の人々が見た時に「こんなすてきな場所だったんだ」と思って欲しかったので、 その場所が最も美しく見える時間帯を狙って撮ったり、その場所の良さを最大限引き出せるようなライティングを工夫して撮影しました。
──普段手がけるショートフィルムや広告との違い、面白さはどのあたりに感じましたか?
違いはよくわかりません(笑)! ただ、私はよくVimeoでショートフィルムを観るんですけど、作品を映画館で上映することの意義を、正直そこまでわかっていなかったんです。でも今回、完成した『The Breath of the Blue Whale』をスクリーンで観たら、すごくいい相乗効果が生まれていると感じたんですよね。セリフがなく効果音のみだからこそとてもよく見えたし、配信では伝えきれない部分を、劇場で体感してもらえることを実感しました。よく耳にする「ぜひ映画館でご覧ください!」というフレーズの真意が、初めてわかったかもしれないです。
もちろん、広告は劇場用に作るわけではないので、その部分が大きな違いだとは思います。本当の意味で強く実体験した部分です、やってみて初めてわかる事だと思いました。 映画の撮影の即興性と広告の計算された画作りの両方のいいところをミックスできるものがショートフィルムの一つの魅力だと個人的には思っています。
──今後も映画を撮ってみたいですか?
また挑戦したいとは思います。「だからと言って気易にできるものでもない」という気持ちも正直あります。『The Breath of the Blue Whale』は、シナハンに行ったのが1年以上前なんですよね。それだけの時間を1つの作品に懸ける時間って、やっぱりすごくありがたい事だし貴重だなと。企画をあれこれ考えている時間は楽しすぎるので、今後も企画を作り続けると思います!
『MIRRORLIAR FILMS Season8』は、1月16日より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国の劇場で2週間限定上映。
(C)2025 MIRRORLIAR FILMS PROJECT
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