【解説/みどころ】
巨匠・成瀬巳喜男監督の初期の代表作。同名原作は林の未完の絶筆で、倦怠期にある夫婦がささいな出来事から次第に亀裂を深めていく様を描いており、脚色にあたっては、家を出た妻が夫のもとに戻り、平凡だが心安まる生活に幸福を見いだすという結末が補足されている。成瀬演出は、劇的で明快な主題を持つ物語を語るのではなく、日常生活のキメ細かい描写や、俳優たちの持ち味を最大限に引き出す手腕に高い評価が与えられているが、この作品にはまさにその真骨頂が見いだせる。ささやかで慎ましい夫婦の生活の匂いを感じさせる住居、妻を演じる原節子の微妙な表情の変化やたたずまい、それを受ける夫役の上原謙の抑えた芝居など、あらゆる要素が成瀬独特の作品世界を構成して圧巻である。名撮影監督・玉井正夫が初めて成瀬とコンビを組んだことでも重要な作品。
- キャスト
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上原謙/
原節子/
杉村春子/
島崎雪子/
杉葉子/
風見章子/
山村聰/
花井蘭子/
- スタッフ
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監督:
成瀬巳喜男
脚本:
井手俊郎
田中澄江
原作:
林芙美子
- 上映時間・制作年
- 97分/1951年
- 制作国
- 日本
- 配給
- 東宝
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