イタリアの巨匠・タヴィアーニ兄弟の弟、パオロが兄亡き後初めて発表 映画『遺灰は語る』公開決定
第72回ベルリン国際映画祭にて国際映画批評家連盟賞を受賞した、イタリアの名匠タヴィアーニ兄弟の弟パオロ・タヴィアーニ監督作『Leonora Addio(原題)』が、邦題を『遺灰は語る』として6月23日より公開されることが決定。モノクロとカラーの場面写真2点と、撮影現場でキャストと笑顔を見せる監督の写真が解禁された。
【写真】パオロ・タヴィアーニ監督
日本でも大ヒットした名作『グッドモーニング・バビロン!』(1987)などで世界の映画ファンに愛されるイタリアのタヴィアーニ兄弟。カンヌ映画祭パルムドールに輝いた『父/パードレ・パドローネ』(1977)や『カオス・シチリア物語』(1984)、ベルリン映画祭金熊賞受賞作の『塀の中のジュリアス・シーザー』(2012)など、これまで数々の傑作を発表してきた。
本作は、2018年に兄ヴィットリオが88歳で死去した後、現在91歳の弟パオロが初めて一人で監督した作品。あるノーベル文学賞作家の遺灰をローマからシチリアへと運ぶトラブルだらけの長い旅を通して、ユーモアと悲劇、時代と人生、愛と別れを描き出す。
1934年にノーベル文学賞を受賞した文豪ルイジ・ピランデッロ。彼は死に際に、「自身の灰は故郷シチリアに」と遺言を残す。しかし時の独裁者ムッソリーニは、彼の遺灰を、その名誉を利用するためローマに留めおいた。
戦後、ようやく彼の遺灰が入った壺が、ローマからシチリアへと帰還することに。その重要な務めを命じられたシチリア島の特使は、アメリカ軍の飛行機に搭乗拒否されたり、壷がどこかへ消えたり、次から次へとトラブルに見舞われる。果たして、遺灰は無事にシチリアに届けられるのか。
タヴィアーニ監督らしい熱情とユーモア、美しいモノクロ映像と鮮烈なカラー映像を織り交ぜて描かれた波乱万丈の“遺灰”の旅は、イタリアの近現代史をも映し出す。そして、映画の最後にはエピローグとして、ピランデッロの遺作『釘』を映像化した短編で締めくくられる。90歳を超えた名匠パオロ・タヴィアーニが贈る、運命を見つめた感動のドラマに期待したい。
映画『遺灰は語る』は、6月23日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開 。