河瀬直美監督最新作『たしかにあった幻』メインビジュアル2種解禁! 尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏ら実力派キャストの出演も発表
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河瀬直美監督最新作『たしかにあった幻』より、メインビジュアル2種が解禁。併せて全キャストも発表され、尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏、小島聖、岡本玲、利重剛、中嶋朋子らの出演が明らかとなった。
【写真】“医療”と“神秘”が組み合わさった『たしかにあった幻』もう一つのメインビジュアル
本作は“愛のかたち”と“命のつながり”をモチーフに、日本の失踪者と心臓移植の現実を重ねて描く、時を超えて運命が交差する珠玉の人間ドラマ。
フランスから来日したコリーは、神戸の臓器移植医療センターで働きながら、小児移植医療の促進に取り組んでいた。しかし西欧とは異なる日本の死生観や倫理観の壁は思った以上に厚く、医療現場の体制の改善や意識改革の困難さにもどかしい思いを抱えていた。そんなコリーの心の支えは、屋久島で運命的に出会った恋人の迅。しかし彼は、自身の誕生日でもある7月7日の七夕に突然、姿を消してしまう。
1年後、迅が失踪するはるか前に彼の家族からも捜索願が出されていたことを知ったコリーは、迅の実家である岐阜へと向かう。そこで明かされた事実で、コリーと迅の出逢いが宿命的だったことがわかり愕然とするコリー。一方、心臓疾患を抱えながら入院していた少女・瞳の病状が急変し…。
河瀨監督にとって6年ぶりとなる劇映画の最新作で、オリジナル脚本としては8年ぶりとなる本作。テーマは二つ。一つは、先進国の中でドナー数が最下位という日本の臓器移植医療について。もう一つは、年間約8万人にのぼる日本の行方不明者問題だ。
主人公コリーを演じたのは、『ファントム・スレッド』(2017)、『蜘蛛の巣を払う女』(2018)などで知られるルクセンブルク出身のヴィッキー・クリープス。コリーが屋久島で運命的に出会う謎めいた青年・迅には、『爆弾』『そこにきみはいて』(2025)など公開作が相次ぎ、連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合)にも出演中の寛一郎。
この度、2種類のメインビジュアルが解禁。1点目には、主人公コリーが、光差し込む森の中の水辺で手を耳に逆さにあてている姿が。そうしていつも聴いている音が違う方向の音を拾う瞬間。全く違った感覚が鼓膜に響き始め、新しい扉を開いた彼女の穏やかな表情を捉えた、未来への希望を感じさせるビジュアルだ。
2点目には、コリーが心臓疾患を抱える子供の手を握る場面と、神の島と呼ばれる世界遺産・屋久島の原生林の神秘を捉えた場面が並ぶ。“医療”と“神秘”のイメージ写真を組み合わせ、それらもまた繋がりを持ち始めるという物語の多層的な構造を具現化している。
併せて、全キャストも発表。『萌の朱雀』(1997)で河瀨監督に見出された尾野真千子が最愛の息子を失い、一周忌を迎えた今も罪悪感に苛まれるめぐみ役。河瀨監督の短編『狛‐Koma』(2009)や『主人公は君だ!』に出演してきた北村一輝が、元捜査一課の刑事で、とある事件をきっかけに現在は弁当屋として過ごす亮二役。
ドナーとなる少年の父親には、近年の河瀨作品に欠かせない永瀬正敏、母親に早織。心臓病を患う少年・久志の母親である由美に岡本玲。同じく小児病棟に入院中の少女、瞳の母親・裕子に松尾翠。人手不足が深刻な移植コーディネーターの浜野に小島聖。臓器移植医療を担当する小児科医・平坂に平原テツ。迅の父親・英三に利重剛、母親・幸江には中嶋朋子。そして、河瀨監督がオーディションで見出した子役2人、久志役の中村旺士郎、瞳役の中野翠咲のリアリティある演技にも注目だ。
撮影には、『光』と『Vision』(2018)で河瀨監督の右腕をつとめた写真家の百々新と、河瀨監督のドキュメンタリー『東京2020オリンピック』(2022)の撮影統括を担当した鈴木雅也が参加。音楽は、本作が初の映画音楽となりパリを拠点とするピアニスト/作曲家の中野公揮。編集は、『殯の森』以降これまでの河瀨監督の劇映画全てを手がけてきたティナ・バスがパリでの作業全般を担当した。
本作は、フランス・ベルギー・ルクセンブルク・日本の合作。劇中で日本の移植医療関係者たちが交わすディスカッションや、心臓移植手術の現場をとらえたシーンは、実際に小児臓器移植に携わる人々の協力のもと、役者と現役医師や看護師、映画スタッフが入り混じってドキュメンタリーのように撮影された。
さらに世界遺産にも登録された屋久島の、1000年以上生きてきた屋久杉が織りなす光景は、自身が生まれ育った奈良の森や奄美大島の海をはじめとする自然の神秘と一体のフィルモグラフィーを築いてきた河瀨監督だけに、生命の源たる息吹を放っている。それはまるで地球の記憶のごとく、見るものの魂と響きあってこの世界に提示されてゆく。
映画『たしかにあった幻』は、2026年2月6日より全国公開。

