いじめ、受験戦争、ストリートチルドレン――アカデミー賞ノミネート『少年の君』予告解禁
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香港代表作品として第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた映画『少年の君』より、予告映像が解禁された。
【動画】チョウ・ドンユイ×イー・ヤンチェンシー『少年の君』予告
本作は、壮絶ないじめ、苛烈な受験戦争、ストリートチルドレンなど過酷な社会問題を背景に、優等生の少女と不良少年のピュアな魂の交錯を描くドラマ。中国国内ではほとんど宣伝が行われないまま公開されたにもかかわらず、250億円近い興行収入を叩き出す大ヒットを記録した。香港電影金像奨では、作品賞・監督賞・主演女優賞を含む8冠を達成したほか、これまで実に57の映画賞を獲得。ついには第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされるなど世界中で高評価を獲得した。
本作の監督を務めたのは、『インファナル・アフェア』シリーズへの出演で知られる俳優・監督のエリック・ツァンの息子で、デビュー作から高い評価を獲得してきた俊英デレク・ツァン。中国で「13億人の妹」の愛称で親しまれる人気女優チョウ・ドンユイと、国民的アイドルにして本作で演技派俳優としての地位を確立したイー・ヤンチェンシーを主演に迎え、スリリングかつ繊細な傑作を作り上げた。
進学校に通う高校3年生のチェン・ニェンは、大学進学のための全国統一入学試験を控え殺伐とする校内で、ひたすら参考書に向かい息を潜めて卒業までの日々をやり過ごしていた。そんな日々の中、同級生の女子がクラスメイトのいじめを苦に、校舎から飛び降り自らの命を絶った。少女の死体に無遠慮に向けられる生徒たちのスマホのレンズ。その異様な光景に耐えきれなくなったチェン・ニェンは、遺体にそっと自分の上着をかけてやる。
しかしそのことがきっかけで、激しいいじめの矛先はチェン・ニェンへと向かうようになってしまう。彼女の学費のため犯罪スレスレの商売に手を出している母親以外に身寄りはなく、頼る者もないチェン・ニェン。同級生たちの悪意が日増しに激しくなる中、下校途中の彼女は集団暴行を受けている少年シャオベイを目撃し、とっさの判断で彼を窮地から救う。辛く孤独な日々を送る優等生の少女と、ストリートに生きるしかなかった不良少年。二人の孤独な魂は、いつしか互いに引き合ってゆくのだが…。
予告映像は、チェン・ニェン(チョウ・ドンユイ)が、いじめが原因で自殺したクラスメイトに代わって新たないじめの標的にされてしまう痛々しいシーンから始まる。そんな中彼女は、学校にも行かず路上で喧嘩に明け暮れるシャオベイ(イー・ヤンチェンシー)を助け、孤独な二人のかけがえのない時間が始まっていく。
チェン・ニェンから優しく「痛い?」と聞かれ、初めて人に自分の心配をされたと思わず涙を流すシャオベイ。そんな彼とバイクに二人乗りをして幸せそうな表情を浮かべるチェン・ニェン。彼らは惹かれ合い、一緒にいるときにだけ唯一笑顔でいることができる。
映像にはそのほか、そんな二人を引き裂くような場面や、シャオベイが「俺には何もないけど、好きな子がいる」と訴える切ないシーンも。最後は「安心して前を歩け」と言って並んで歩こうとしないシャオベイと、「いつか一緒に並んで歩きたい」と語るチェン・ニェンが、道路を挟んで離れて歩くシーンで締めくくられる。果たして2人の「一緒に歩く」というささやかな願いは叶うのか。
映画『少年の君』は7月16日より全国公開。