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主演・森七菜×長久允監督『炎上』 歌舞伎町の過酷さときらきらを独特の映像表現で描いた衝撃作<出演者コラム>

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映画『炎上』はU‐NEXTにて独占レンタル配信中!(C)2026映画「炎上」製作委員会

 『そうして私たちはプールに金魚を、』や『WE ARE LITTLE ZOMBIES』などでサンダンス映画祭を席巻し、その時代のティーンの在り方をリサーチに基づき使命的に映画にし続ける、ある種イタコのような稀有な存在である長久允監督。そんな長久監督が5年間ものリサーチを続けて撮影した映画『炎上』では、単独初主演である森七菜が、実家を飛び出してトー横界隈に出入りするようになる宗教2世の少女、「じゅじゅ」を演じています。グリッター的キラキラの画面と独特な演出、リアリティのある歌舞伎町の描き方が話題を呼び、SNSでも衝撃の声が絶えない本作。そんな『炎上』を、トー横キッズ・ハク役で出演した川上さわが配信開始に合わせて見どころを紹介します!

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■“自分ごと”としてのトー横の現実と日常

 あるカルト宗教の信者の家に生まれ、妹と共に親から虐待を受けている小林樹理恵(森七菜)は、ある日家を逃げ出し、トー横で暮らすことになる。そこではさまざまな理由を抱えた若者たちが暮らしており、彼ら彼女らは樹理恵に「じゅじゅ」という名前をつける。トー横での暮らしとそこで得た仕事に希望と夢を抱いたじゅじゅは、妹を実家から救い出すことを決意するが──そんな彼女が歌舞伎町を火の海にするまでの、150日間の物語。


 『炎上』は、トー横の悲劇のみをただ露悪的に描いているわけではありません。じゅじゅや三ツ葉(アオイヤマダ)、リス(曽田陵介)などトー横にいる人たちにはひとりひとり日常があり、楽しい時間や、日常的なさりげない会話などもたしかに存在しています。じゅじゅと三ツ葉が「ただただチワワを見る時間〜〜」と歌いながらペットショップでチワワを見たり、kami(一ノ瀬ワタル)の歌をみんなで聴いて泣いたり、フルフェイス(高村月)のテキーラ水鉄砲攻撃からみんなできゃーきゃー言いながら逃げたり。シリアスさと解決すべき構造の問題、日常の尊さと楽しさと同時に感じる恐怖、あの街にはすべてが同等にあって、そのすべてがうそではありません。

 登場するトー横キッズのみんなはグリッターのペンやアイシャドウのラメなど、キラキラしたものを好みます。現実に置かれている状況が厳しいものだから、という側面もありつつも、キッズのみんなは瞬間的にはただただかわいいものをかわいいと思って共有している。そういった個人の好みや性格、ひとりがひとりであるということが大事にされている映画であり、その個人の尊厳が構造によって損なわれているという映画であり、映画の中のキャラクターとして現実と断絶しているわけではなく、私たちと接続するひとりであるという、私たち全員の問題なのだ、という切実なメッセージが感じられます。


■登場人物の心情を表す多彩な演出

 長久允監督といえば、あらゆる映像技術を操り、映画表現の幅を広げていく演出方法に定評がありますが、本作も例に漏れず、主人公じゅじゅの心象を独創的な画面で表現しています。特徴的なのは「NeRF(ナーフ)」という3Dスキャン映像による俯瞰(ふかん)の表現です。じゅじゅが走馬灯のように過去を振り返るシーンで、かつていた場所が「NeRF」により、その場所がシルバニアファミリーの家のように360度全体を見渡せるようになり、じゅじゅが過去を振り返るときの記憶の温度の冷たさが、鑑賞者にも体感として伝わってきます。また、実録のようなインタビューシーンではスマートフォンのカメラを使用して、だれかがパッと撮影したような質感が出ていたり、フィルム写真のスチールやきらきらの文字を入れることで過去の思い出というレイヤーが生まれていたりして、さまざまな目線や位相から撮影が行われています。


 ちなみにフィルム写真は、毎日キャストに「写ルンです」とスマートフォンが2個ずつ配られて、全員でスチールとオフショットを撮っていました。長久監督や現場スタッフの方々のそういった工夫により、自然に撮影中もそれ以外も、キャストのみんなとグループとして仲が良くなることができた気がします。キャストは私含め演技経験の少ないキャストも多かったのですが、自然に和気あいあいと話していたり遊んだりしている様子を撮影できるよう、長久允監督がキャストと一緒になって手遊びをするなど、トー横キッズ役のみんなとはカメラの前でいることを忘れるようなグルーヴ感がありました。


■リスペクトを持って挑んだ歌舞伎町での撮影


 本作は大部分を新宿・歌舞伎町で撮影しており、キャストは新宿で寝泊まりするなど、リアリティを追求。長久允監督が5年間リサーチしたトー横広場での撮影は、本物の看板やネオン、音楽など、その場所の雰囲気や空気感をそのまま画面に映し出しています。また、衣装や小物、髪型、メイクにもこだわり、文化やファッションにリスペクトを持って再現を行っています。実際の歌舞伎町でのロケ撮影は、スタッフ・キャスト全員が重みを感じながら撮影しました。長久允監督から、どのような思いで、目的で、どのような映画を作りたいかということをキャストは事前に個別で説明を受けていたので、なぜ私たちが歌舞伎町でトー横キッズを演じるのか、どのような覚悟で挑むのか、ということについて撮影の合間にキャスト同士で話し合うこともありました。また、インティマシー・コーディネーターの方とも個別面談があり、安心して撮影に臨むことができました。

 虐待描写、性被害描写、オーバードーズなど過激な描写が多い映画ではありますが、トー横キッズに限らず、困難に直面している子どもたちに寄り添う、決してやさしい映画ではないですが現実へのやさしさの眼差しを忘れない映画です。フィクションでしか伝えられない物語として心に届くリアリティをぜひご鑑賞ください。


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ライター プロフィール

川上さわ
川上さわ

2002年岡山県うまれ。劇作家・演出家の松⽥正隆に師事。「ミスiD2021」アメイジングミスiD受賞。2024年に監督作『地獄のSE』が全国公開される。長久允監督作『炎上』にハク役で出演。


(C)2026映画「炎上」製作委員会

映画『炎上』予告編

文:川上さわ

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