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【レビュー】WBC世界制覇から1年! “侍戦士目線”で迫る「侍ジャパン」全勝優勝の裏側

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提供:Prime Video

『完全密着 侍ジャパン~WBC 全勝優勝の真実~』Prime Video にて独占配信中
『完全密着 侍ジャパン~WBC 全勝優勝の真実~』Prime Video にて独占配信中(C)2023 World Baseball Classic,Inc.(C)2023 SAMURAI JAPAN

 2023年3月22日に、アメリカ・フロリダ州のローンデポ・パークで行われた2023 WORLD BASEBALL CLASSIC決勝戦で侍ジャパンが劇的な優勝を果たしてから約1年、Prime Videoにて「侍ジャパン」完全密着ドキュメンタリー『完全密着 侍ジャパン~WBC 全勝優勝の真実~』が配信開始となった。2021年12月から2023年3月までの1年4ヵ月に渡る侍ジャパンメンバーたちの生々しい映像が、個人の視点で凝縮された全6話。感動のシーンが満載のWBCの舞台裏で起きていた選手や監督スタッフたちの思いや葛藤……フィクション以上に「現実はドラマチックだ」と思わされること間違いなしだ。

「侍ジャパン」完全密着ドキュメンタリー『完全密着 侍ジャパン~WBC 全勝優勝の真実~』公式サイト >

■栗山監督に「ダルビッシュジャパン」と言わしめた献身的な働き!

 2023年6月2日から期間限定で劇場公開され大ヒットを記録した、侍ジャパンの雄姿を追った完全密着ドキュメンタリー映画『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』。この映画は「侍ジャパン」のチームの裏側に迫るドキュメンタリーだったが、本作は選手、監督の目線で語り、彼らのチームに対する思いにフォーカスし「侍ジャパン」全勝優勝の裏側に迫った。第1話がダルビッシュ有、第2話がラーズ・ヌートバー、第3話が源田壮亮&中野拓夢、第4話が村上宗隆&周東佑京、第5話が大谷翔平、第6話が栗山英樹監督という全6話構成になっている。

 まず第1話で密着するのは、栗山監督に「ダルビッシュジャパンと言っても過言ではない」と言わしめたダルビッシュ。2012年からMLBに挑み、10年以上活躍しているメジャーリーガーであり今回の「侍ジャパン」最年長選手という立場ながら、2023年2月からスタートした宮崎キャンプに初日から参加。プレーだけではなく若手選手が多いチームの精神的支柱として奮闘した。

第1話より
 映像では、佐々木朗希、宮城大弥、戸郷翔征ら若い投手たちに、変化球の握り方や、トレーニング方法などを積極的にアドバイスし、まさに“兄貴分“として頼もしい存在である一方、中日ドランゴンズとの合同練習で岡林勇希にデッドボールを当ててしまい「動揺してしまった」とつぶやくシーンや、ブルペン捕手を務めた梶原有司、鶴岡慎也が「韓国戦前のダルビッシュは相当緊張していた」と語っていたように、最年長としてチームを背負うプレッシャーと戦っている姿も映し出される。

 そんなダルビッシュの献身的な姿に「ダルには負担をかけた」(吉井理人投手コーチ)「チームのため、野球のため、将来のため、ひたすら感謝しかない」(栗山監督)と賛辞を送るシーンも多々あり、改めて今回の「侍ジャパン」にとってダルビッシュがどれだけ大きな存在だったかが再認識できる第1話になっている。

第2話より
 そして第2話は、ダルビッシュ同様「侍ジャパン」に大きな勢いを与えたラーズ・ヌートバー視点の物語。代表発表の際、大きなサプライズとなった映像や、「たっちゃん」の愛称、「ペッパーミルパフォーマンス」誕生の瞬間などが収められており、いかにヌートバー旋風が日本国中に広がっていったかが追体験できる。

 第3話は源田壮亮&中野拓夢にフィーチャー。源田と言えば、堅実な守備と粘り強いバッティングでチームに貢献するバイプレイヤー。そんな源田の身に1次ラウンドの韓国戦で2塁ベースに帰塁の際、小指を骨折するアクシデント。これまで代表に呼ばれたことはあったが、レギュラーとして大会に臨んだことがなかった源田にとって、本大会への意気込みは並々ならぬものがあった。そんななかで、ケガにより離脱しなければいけないという状況、源田の思いを受けた中野の気持ちは、本大会のなかでも大きなドラマの一つと言えるほど感情移入できる場面だ。

■何度観ても感じる大谷翔平の恐るべきメンタル!

 第4話は、WBC大会中もっとも苦しんだ男・村上宗隆と、しびれる場面で“神走塁”を見せた周東佑京。村上と言えばWBCが行われた前年の2022年に、当時王貞治の持つホームラン記録55本を抜き、日本人最多ホームランを記録し、史上最年少でセ・リーグ3冠王を達成したスラッガー。栗山監督からも「背負ってもらう」と4番を任されるなど、大きな期待をかけられての「侍ジャパン」入りだった。しかし前半は大不振で、世論も逆風に。そこで迎えたWBC準決勝のメキシコ戦。4打席凡退のなか迎えた最終回で、劇的なサヨナラヒットを打つまでの苦悩や葛藤がつづられる。さらにサヨナラのホームを踏んだ周東の“自分の役割”をしっかりと全うするプロフェッショナルな心掛けは、日常を過ごす人たちの大きな気づきになる。

 第5話は、WBCでMVPを獲得した大谷翔平から見たドラマ。大会開催前の20分の会見で「勝ちたい」と6度も発した大谷。いまや「日本を代表する」ではなく「世界で一番有名な」野球選手と言っても過言ではない大谷がこだわる「勝利」。2023年3月3日に「侍ジャパン」に合流した日から、優勝を果たす3月22日までの19日間がダイナミックに活写されている。

第5話より
 まずは「おいくつですか?」と会う選手ごとに話しかける大谷の姿が写し出される。ダルビッシュ同様、若手からはなかなか話しかけづらい存在であるほど、選手が憧れる選手になっている大谷。そんな状況を打破すべく自ら積極的にコミュニケ―ションをとる姿は、チームに活力を与える。さらに合同練習でみせたフリーバッティング。村上や岡本和真という大砲たちも脱帽するしかないという圧倒的パワーでもチームを引っ張る。

 チームは7戦全勝というパーフェクトな形で優勝を果たしたが、そのなかには厳しい試合もあった。最も思い出されるのが準決勝のメキシコ戦。先発の佐々木が3点を奪われ厳しい展開のなか、吉田正尚の芸術的な3ランホームランで同点に追いついたものの、佐々木に次いで登板した山本由伸が直後に失点し劣勢ムードに。コーチ陣も「さすがに展開が悪い」と意気消沈するなか、大谷だけは「まだまだこれから」と一点の曇りもない表情で選手たちに声を掛ける。

 清水雅治コーチも、この大谷の表情に驚きを隠せなかったとインタビューで話していたが、どんな逆境でも「絶対に諦めない」というメンタリティは、ただただ観ている人に勇気と希望を与える。まさに太陽のような存在だ。そして決勝戦直前の円陣での「憧れるのはやめましょう」の一言、さらにエンゼルスで共に戦い尊敬し合う存在のマイク・トラウトとの最後の対決。二刀流という漫画の主人公のようなことを現実でやっている大谷だが「こんなドラマチックなことがあるのか」という幕切れに度肝を抜かれたことが、昨日のことのように思い出される。

第6話より
 最終の第6話は栗山英樹監督。ここでは今回の「侍ジャパン」選考メンバーのことや、大会を通して監督が「キーになる出来事」と定義したエピソード、抑えとして期待されていた栗林良吏の離脱、唯一迷ったという決断、準決勝メキシコ戦の第5打席に向かう村上に思ったこと、決勝アメリカ戦でのダルビッシュ、大谷の起用……などが赤裸々に語られている。

 全6話を観ていると、あれから1年もの時間が経ったとは思えないぐらい「昨日のこと感」が強い。結果が分かっていても、何度観ても興奮する……という、ある意味最強のドラマが何重にも詰まっている作品だ。

「侍ジャパン」完全密着ドキュメンタリー『完全密着 侍ジャパン~WBC 全勝優勝の真実~』は、Prime Videoで独占配信中。 
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(C)2023 World Baseball Classic, Inc. (C)2023 SAMURAI JAPAN

文:磯部正和/クランクイン!編集部

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