『着飾る恋』横浜流星の“陽気な演技”に反響! 星野源主題歌に「またもや名曲」の声も
■7年の重さを感じさせる巧みな演出
こうじ (C)TBS
また、「塚原演出は趣深い」「塚原さん演出はずるい!」と、初回から演出に注目した声もSNSでは上がっていた。たった1時間を振り返ってみても、真柴が葉山祥吾(向井理)のネクタイを締める場面の高揚感や、羽瀬登場シーンの謎に包まれた空気、オリーブオイルが香ってきそうな駿の料理シーンなど、視聴者の心を引っ張っていく粋な演出は複数思い当たる。
特に素晴らしかったのが、やはり真柴の絶望シーンだろう。真柴が20歳のときに雑誌のインタビューで見かけてから憧れ続けていた葉山が、突然、代表取締役社長の座を退任したのだ。会社でも仲がうわさされるほど親密だった真柴と葉山。真柴は秘書よりも葉山を理解しており、行きつけの店や行動パターンまで把握していた…つもりだったのに。
何も言わずに忽然(こつぜん)と姿を消した葉山への真柴のショックは大きかった。お祭りムードの中進められる「el Arco Iris」初の路面店オープン当日。10万人のフォロワーを抱える真柴なだけあり、ファンからも声をかけられるが、落ち込みながらも対応するその姿は正面からは映されず、すべての事情を知る香子に近い視点から切り取られる。この時点で、視聴者たちは、わずか50分弱しか真柴のことを見ていないのに、巧みな演出により、7年も葉山の背を追っていた真柴の気持ちが痛いほど理解できるようになっている。“今はそっとしておこう”という気持ちは、後輩の茅野七海(山下美月)や秋葉亮(高橋文哉)のみならず、カメラワークからも感じられ、葉山を追いかける真柴の姿は、主に背中越しや引きの画で映し出される。傷ついた背中から広がる満開の桜はあまりにも残酷だった。
■星野源の主題歌を分割する手法も
さらに、塚原の演出といえば、主題歌のタイミングが絶妙なことでおなじみだ。『MIU404』での米津玄師の「感電」、『アンナチュラル』での米津の「Lemon」、『中学聖日記』でのUruの「プロローグ」、『Nのために』での家入レオの「Silly」などなど、書き出すとキリがないほど、ドラマを彩ってきた名曲は数知れず。
本作の主題歌を担当したのは星野源で、「不思議」というタイトルも含め初回放送で初解禁された。流れてきたのは、真柴が駿のカレーを食べたシーン。社長退任を聞かされて以来、カメラは様子を伺うように彼女を映し出してきたが、温かい手料理を食べたことで、張り詰めていた糸が切れたように泣き出す彼女をアップで捉えた重要な場面だった。
高音混じりの星野の声は、涙が止まらない真柴に寄り添うかのような優しさを持つ。かと思いきや場面は変わり、ソファで寝てしまった真柴をお姫様抱っこで駿が運ぶシーンに移る。部屋で寝かせようとした際、駿は体勢を崩し、真柴と顔を近づけることに。このジャストタイミングで流れたのが<“好き”を持った日々をありのままで文字にできるなら気が済むのにな>という部分。それは駿が真柴へ言葉にならない想いを感じたときの心情を表しているかのようにも聞こえ、流れるカットによって表情を変える「不思議」の魅力に、短い間ながらも引き込まれる瞬間であった。
さらに、ここだけでなく、一番最後に映し出された次回予告と駿の過去のシーンでも「不思議」が使われ、1話の中で2回に分けて、別のパートが流れる演出が行われた。放送直後の「星野源のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)で星野は「曲をなんて大事にかけてくださるんだろうと感動してしまった」と塚原に感謝する場面も。SNSでも「主題歌かかるタイミング神すぎた」「またもや名曲」とファンからも納得と称賛の声が上がっていた。ただ、同ラジオによると、「不思議」にまつわる歌詞は、第1話ではまだ出てきていないとのこと。第2話が放送される4月27日(火)の0時から本楽曲が配信リリースされるとのことで、フルで聞くとまた違った発見がありそうだ。