『すぱっち』町田啓太の丁寧な役作りがすごい 過去と現在の“些細な変化”に注目
幸せのカタチ=“スーパーリッチ”を追い求める女社長・氷河衛(江口のりこ)のジェットコースターのような半生を描くテレビドラマ『SUPER RICH』(フジテレビ系/毎週木曜22時)。本作は、仕事一筋で生きてきた衛が、貧乏な専門学生・春野優(赤楚衛二)と出会うことで、新たな価値観を見出していく物語だ。10月21日(木)に放送された第2話は、衛の前に一ノ瀬亮(戸次重幸)が現れたことで、大きな修羅場に。“チェリまほ”こと『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京)ファン待望の、優&宮村空(町田啓太)のやり取りにも大きな反響が集まった。(文=菜本かな) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意ください
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■『きみはペット』を想起させる第2話
亮が金を持ち逃げしたことで、スリースターブックスは大混乱に陥っていた。幹部たちは、「社員を切るべき」「警察に被害届を出そう」と意見を出すが、衛は気が進まない様子。亮のことを同志として信頼してきたからこそ、何かの間違いだという“希望”を残しておきたかったのだろう。そうでもしないと、これまで彼と重ねてきた日々が、全て“うそ”に思えてしまうから。そんな衛の葛藤を見破ったのは、優だった。
「ひょっとして、怖いんじゃないですか? 一ノ瀬さんに、お前のことずっとだますつもりだったとか言われるのが、怖いんじゃないですか? 衛さん、絶対直接聞いた方がいいですよ。一ノ瀬さんが、どういうつもりだったのか」
衛と会社の仲間たち (C)フジテレビ
その言葉で、衛はずっと目を背けてきた“真実”と向き合うようになる。そして、裏切った人間よりも、今一緒に戦ってくれている社員を大切にしようと改心した。ずっと亮ファーストで生きてきた彼女にとっては、大きな変化だろう。MEDIA社の取締役である島谷聡美(松嶋菜々子)が、業務提携という名の“乗っ取り”を持ちかけても、「社員を守るのが、社長の仕事」と断言し、自らの立場を危うくしてまで“社員ファースト”を守る誠意を見せた。
その後、衛は亮と再会を果たしたのだが、彼が“金”の話ばかりをすることにいら立ち、「お前は何も分かってない!」とつかみかかって蹴りを入れる。衛が言いたいのは、金のことではなく、“心”の問題だったのだ。だが、亮がケガを負っていて抵抗できなかったこともあり、衛は警察に連行されてしまう。一番信頼していた同志に裏切られ、会社も未曾有の危機を迎えている。そして、警察沙汰にまで…。ストレスフルな衛にとって、一種の“癒やし”となっているのが優の存在だろう。
亮を追いかけてケガをした優を家に招き入れ、お風呂に入れて、洋服を洗ってあげる…。キャリアウーマン×捨てられた青年の恋路を描き、国内外でもドラマ化されたコミック『きみはペット』(講談社)のような展開に、「令和の“きみはペット”?」「これは…きみはペットか…?」「きみはペット展開じゃん」との声がSNS上で多く上がっていた。確かに、疲れ果てて子犬のように眠っている優に、毛布をかけてあげた時の衛は幸せそうで。恋愛に発展していくかは分からないが、波乱万丈な日々を送る衛の心の支えになっていくことは間違いなさそうだ。
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