『ブルーロック』は「自己啓発本でもある」 島崎信長&浦和希が語る“強烈なセリフ”の本質

インタビュー
2024年4月28日 11:00

■「そこに生きている凪」を演じている

――劇場版では凪たちの目線で、別角度からキャラクターを掘り下げていきます。凪や潔もそうですし、御影玲王や剣城斬鉄の新たな一面も見られますが、お二人が新鮮に感じた部分はありましたか?

浦:基本的に本編(テレビシリーズ)は潔視点で進みますが、そこで語られていなかった凪・玲王・斬鉄のパーソナルな部分をたくさん知ることができました。こういった積み上げがあり、仲良くなった上での「あの三人のコンビネーションだったんだ!」と納得できる作りになっていて、すごく楽しめました。

島崎:潔視点だと凪は謎の天才生物だけど、視点が変わると「みんなちゃんと人間なんだ」と思えるから面白いよね。

浦:そうですね。試合以外のシーンは潔のチームZが中心でしたから、本作で「他のチームもベッドの取り合いとかやってたんだ!」と思えました。

島崎:斬鉄の人間性も本当にいいんだよなぁ。

浦:真面目にやってるけど結局ボケているところがあって、愛らしいですよね。

島崎:玲王との関係性でいうと、本編で語られていない「このときお互いにこう思っていました」という心の内がモノローグで語られているのも重要なポイントです。「それを口に出してちゃんと言いな?」とは思いますが(笑)。

浦:本当にそう(笑)!

――凪と玲王は、お互いにその部分のコミュニケーションを取らなかったためにすれ違っていきますもんね。

浦:ちゃんと口に出して伝えることの大切さも、この映画から学べるんじゃないかと思います(笑)。

島崎:確かに(笑)。この二人のこの状況だったから、もしかしたら伝えなかったからこその成長があったかもしれませんが、普段だったら絶対ちゃんと伝えるべきだと思います(笑)。

島崎信長
――テレビシリーズと劇場版で潔と凪の演じ方自体は変わらないかと思いますが、新たに「乗せる」といったようなアプローチの違いはありましたか?

浦:おっしゃる通り、大まかな展開自体はテレビシリーズで一度やっているためその都度の気持ち自体は変わりませんが、今回の収録に際して石川俊介監督からいただいたオーダーが「凪視点から見た潔」でした。凪から見ると潔は得体のしれない生き物なので、それが際立つお芝居をくださいと。いままでの潔は焦燥感や切迫した感情に重きを置いて演じていましたが、今回は凪が見て「コイツちょっと強いぞ、底が知れないぞ」と思えるような“強さ”が前面に出るように演じさせていただきました。

島崎:先ほどのリアリティーのお話ではないですが、僕たちはその部分を大事にした上でオーダーに合わせて演じていく必要があります。『ブルーロック』は演出が入った「作品」で、実際に生きている姿をそのまま見せる、というものとは違いますから。今、浦くんが言ってくれた内容と全く同じで、僕はテレビシリーズのときに「潔から見た凪」を演じていました。具体的に言うと、本当なら凪ももうちょっと息が切れていたり疲れていたり、焦りや熱が出ているはずの局面でも、それを見せすぎないようにしていたんです。

「凪がそこに生きていたら」をそのまま表現すると、作品全体として凪が弱く見えたり、早い段階で人間味が見えすぎてしまったりして、作品として目指す方向とズレてしまいますから。今回は逆で、そうしたフィルターを取っ払って「そこに生きている凪」を演じています。テレビシリーズよりも息が切れているし、疲れたり焦ったりする凪が見られるかと思います。視点が変わるだけでこんなに表現されるものが変わるんだ、という部分をぜひ楽しんでいただきたいです。

島崎が演じる凪誠士郎 (C)金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会
――テレビシリーズと映画で、潔と凪がミラーリングの関係になっているのですね。その他、アフレコ時の印象に残ったエピソードはありますか?

浦:僕個人としては「凪の天才ぶりを見せつけられた…」とお芝居を通して感じました。今回、潔と凪が戦うシーンは(島崎)信長さんと一緒に録ることができたんです。テレビシリーズ時はいっぱいいっぱいになりながら、なんとか食らいついていく感じでしたが、劇場版では「成長した姿を信長さんに見せてやるぞ!」という気持ちで臨みました。

ただその中で、信長さんの血の通った“実在する”お芝居で凪の魅力がさらに引き出されていて「やばいやばいやばい、このままだとエピソード凪どころか『ブルーロック』」の主人公が凪になっちゃうんじゃないか」と圧倒されてしまって。でもその中でも、潔は凪視点の“強さ”を見せないといけないので、精いっぱい頑張りました。本当に強かったです。

島崎:いやいや! テレビシリーズからずっと浦くんはできる子だから大丈夫。

浦:とんでもないです! 本当に必死でした。

凪と玲王 (C)金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会
島崎:収録時のエピソードでいうと、浦くんと一緒に録ったときに玲王役の内田雄馬くんとはご一緒できなかったんですよね。でもそれで終わりではなく、浦くんとご一緒した日に凪のセリフ自体は全部録りましたが、玲王との掛け合い部分を後日に行われた雄馬くんの収録日に改めて録りたいというオファーをいただいて。そこにわざわざ時間をかけ、スケジュールを押さえて場を設けてくださったのがまずうれしいですし、それは「芝居が変わる」と期待してくださっているからこそと受け止めました。「別々で録っても変わらないでしょ」と思っていたらそうはしないでしょうから、「この子たちは一緒にやってもらったら変わる。少しでも良いものがほしい」というスタッフさんの熱意にすごく燃えました。

実際に雄馬くんと掛け合うと、一人で玲王を想像しながら演じるのとはやっぱり違うものが出てきました。凪が話していなくても、玲王の言葉や思っていることを聞いた上ではまた芝居も変わりましたし、それがラストの方の「ここどうしようかな」と悩んでいたセリフに生きてきたんです。雄馬くんと「やっぱり芝居ってこうだよね! 掛け合うと自然にこうなるよね」と二人でテンションが上がっていました。

浦:化学反応が生まれますよね。

島崎:そうそう。役者さんによってスタイルは違うかと思いますが、「芝居は掛け合い」とよく言うように、お互いが受け取って投げかけ合ってその場で変化していくのが僕はすごく好きなので、場を設けてくださって本当にありがたかったです。

(左から)浦和希&島崎信長
 アニメ映画『劇場版ブルーロック ‐EPISODE 凪‐』は、全国公開中。

※島崎信長の「崎」は「たつさき」が正式表記

2ページ(全2ページ中)

この記事の写真を見る

イチオシ!

ブルーロック

映画

アニメ

声優

島崎信長

浦和希

SYO(ライター)

インタビュー

あわせて読みたい

[ADVERTISEMENT]

公式アカウント

おすすめフォト

【行きたい】今読まれている記事

【欲しい】今読まれている記事

【イチオシ】今読まれている記事