『ヒロアカ』敵(ヴィラン)はなぜ支持される? 内山昂輝&下野紘が語る“連合”の矜持と信念

インタビュー
2024年5月3日 17:00
『ヒロアカ』敵(ヴィラン)はなぜ支持される? 内山昂輝&下野紘が語る“連合”の矜持と信念
(左から)下野紘、内山昂輝  クランクイン! 写真:上野留加

 堀越耕平による大人気漫画『僕のヒーローアカデミア』のテレビアニメ第7期が、5月4日(土)から放送開始。ヒーローと敵(ヴィラン)の最終決戦がついに始まり、毎話、衝撃展開が立て続く必見のシーズンとなっている。クランクイン!トレンドでは、ヒーローに立ちはだかる敵(ヴィラン)を演じた死柄木弔役の内山昂輝、荼毘/轟燈矢役の下野紘の対談を実施。両者がエンカウントしてからどのように関係性を築いてきたのか――名エピソードを振り返りつつ、“ここに至るまでの連なり”を語っていただいた。(取材・文=SYO/写真=上野留加)


■敵(ヴィラン)はなぜ支持される?

――荼毘の初登場は第2期第31話「「ヒーロー殺しステイン」その余波」で、死柄木と言葉を交わしたのは第37-38話「爆豪勝己:オリジン」「エンカウンター」です。初対面では衝突していた両者ですが、改めて振り返っていかがですか?

下野:僕の中では言うほど「衝突!」という意識はありませんでした。あくまで主従の形は取りたくないし、自分は自分で行動したいという思いが荼毘の中にあるだけで「お前ボスじゃねぇよ」とは思っていない気がします。荼毘も時々「なぁ、ボス」と冗談めいた感じで言いますしね。そういった意味では、目的を達するために敵(ヴィラン)連合にいると都合がいいから組しているだけで、死柄木を認めていないわけでもないし特段強い感情はなかったのかも、と思っていました。

内山昂輝
内山:序盤は特にヒーローが中心で描かれていたため、敵(ヴィラン)側の出番には波があって、その間、死柄木や荼毘が何をしていたかもすべてが描かれていたわけではありません。少しずつメンバーが増えて敵(ヴィラン)連合の話が多くなっていった中でそれぞれのキャラクターがより見えていき、関係性が深くなっていったのかなと思っています。

我々敵(ヴィラン)側はそれぞれ我が強くて「みんなで協力しよう! 一致団結だ!」という感じでもないですしね。その中でも特に荼毘は謎めいた存在で、だんだん秘密が明かされていくキャラクターですから、当初は目的も性格もまるで読めませんでした。もちろん、死柄木にもそうした要素はありますが、荼毘はよりその印象が強かったです。

下野:死柄木の場合は、途中で過去編が描かれますが、荼毘は本当に何も描かれないので、当初はなんで敵(ヴィラン)連合に組したのかも分からなくて演じるのが本当に難しかったです。

荼毘/轟燈矢 (C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
内山:原作サイドから「秘密ですが、実は後々こういった展開を用意していて…」みたいに教えてもらえることもなかったんですか?

下野:全くなかった! 「今は荼毘で通している」とミステリアスに登場したものの、「彼は今後どういう風になるんですか?」とディレクターさんに聞いたら「ちょっと分からないです」と。あの頃は、収録があるたびに「なんかちょっとでもないですか」と聞いていましたが、俺には伏せられていて…。

内山:難しいですよね。知った方がやりやすいのか、自分も知らない方がミステリアス要素を強められるのか…。連載中の漫画は大体どのキャラクターにもそういった要素がありますが、特にジャンプ作品は話が進んでいくと過去が描かれたり、「実はこういうつながりがあって」と明かされたりする展開が面白いですよね。

下野:とはいえ、もう少し教えていただけたら(笑)。本当にどうしようもなくて「つかみどころがない…」と思いながら苦労して演じていました。

――となると、やはり荼毘の正体が判明する第6期第124話「ダビダンス」以降は、演じ方もまた変わったのでしょうか。

下野:原作を読んでいたので、早く「ダビダンス」がやりたくてやりたくて…。「4期とか5期とか言っている場合じゃない! 頼む、文化祭もそうだけれど早くこっちをやらせてくれ!」と思っていました(笑)。積み重ねないといけないのは分かっていたのですが、ずっと家で気持ちをたぎらせていましたね。だからこそ逆に、「「ダビダンス」ですべてをさらけ出そう」という熱量に持って行けたのかなと思うと、文化祭もあって良かったです(笑)。

内山:そうですね。あの人たちにも楽しい思いをさせてあげないと。

下野:一回持ち上げて落とす方が、ダメージが大きいしね。

内山:そうそう。すべて敵(ヴィラン)側の作戦です。

――思考が完全に死柄木と荼毘のそれですね(笑)。2021年に開催されたイベント「敵(ヴィラン)連合総会」も大盛況でしたが、お二人はヒロアカの敵(ヴィラン)が支持される理由はどこにあるとお考えでしょう?

内山:自分が読者や視聴者目線だったら「あいつら!」となるのが普通だし、嫌われるのが敵(ヴィラン)の役割だとは思います。それによって皆さんが「あいつらを倒したい」という気持ちをたぎらせていただくことで、後々の展開に生きてくる部分があるため、敵(ヴィラン)を演じる上では「好かれよう」「愛されるキャラクターを目指そう」という方向性にはなりません。嫌われようとは思わないけど、作品を盛り上げるためにはそういう対象になってもやぶさかではない――という感覚なので、人気なのは不思議ですね。

下野:俺は、敵(ヴィラン)が人気な理由も分かるな。ヒーローが頑張って戦ったり敵(ヴィラン)が人を傷つけたり社会的な問題を起こしたりする部分はあるけど、じゃあ「なぜそんな行動を起こしているのか」を『ヒロアカ』はものすごくしっかり描いています。もともとは超人社会に適応しようと思ったけれどできなくて、「そういう人もいるんだね、そういう意見もあるんだね」と認めてくれる存在が周りにいなかったから、そうなってしまった。トゥワイスやトガちゃんもそうですが、誰も救けてくれず孤独だったから自分たちで何かしら行動を起こして変えていくしかない――という結論に至ったということが分かるから、人気になったのではないかと思います。敵(ヴィラン)には敵(ヴィラン)の信念や矜持(きょうじ)がある、とちゃんと伝わってくるんですよね。

トガヒミコ (C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
内山:どのキャラクターにも過去や背景が描かれていて、知っていくとボタンのかけ違いに気づきますよね。彼らがやったことは許されることではないけれど、人生のある場面で違う出会いがあったら、家庭環境がこうじゃなかったら、もしかしたらヒーロー側で個性を発揮していたかもしれない――という運命の分かれ道が響く人には響くのかもしれません。

下野:第6期116話「One‘s Justice」のトゥワイスがいなくなる辺りの描かれ方がすごかったよね。あくまで俺が演じた印象だけど、トゥワイス自身が良いやつだからこそ、彼を止めようとしているヒーロー側が敵(ヴィラン)みたいに見えてしまって…『ヒロアカ』がすごいのは、こうした逆転現象が起こることです。

内山:敵(ヴィラン)側に感情移入させる作りになっていますよね。

下野:そうそう。敵(ヴィラン)連合の中でもトガちゃんとトゥワイスのやり取りがほっこりするものとして描かれていた上で、「ヒーローがこんなことしやがって」となるような展開になっていくから。確かに、トゥワイス自身がそれだけ驚異的な力を持っていたからヒーローは止めなきゃいけなかったのだろうけれど、「ほかにもっとやりようはなかったのか!?」と思わせるという意味で、本当に面白い作りになっていると感じます。

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