『ハリポタ』トム・フェルトンは、なぜこんなにも“いい人”なのか? 緊急来日した本人に聞いてみた
■優しい人柄は「母」のおかげ
「僕はドラコは境遇の犠牲者だと思っています。ハリーとドラコは同じコインの裏表のような存在です。ドラコは家族がいて、お金持ちで、権力も地位もある。一方でハリーはどれも持っていませんでした。でもお互いが、ほぼ鏡のように光と闇を写し合っているんです。ドラコは生まれた環境のせいでああいった振る舞いをすることを皆さん分かっているから、共感されるのかもしれません。あと日本のファンが好きな理由を付け加えるとしたら、ドラコが金髪で青い目を持っているからかも(笑)。さらに僕がとても良い俳優だからかもしれませんね」と笑う。
今年の秋には舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』のブロードウェイ公演でドラコ役を再演することが決まっているトム。人生のほとんどをドラコと歩み続けているトムだが、「もし『ハリー・ポッター』に出演していなかったらどんな人生だったか?」と聞くと悩みながらも「きっとなにかクリエイティブな仕事をしていると思います」と絞り出す。
「パソコンは苦手だし、テクノロジーも苦手、ビジネス的な仕事も苦手です。でも音楽や絵などに命を吹き込むような作業は得意です。だからそういった仕事をしていたかもしれません。僕が11歳か12歳の時に母がオーディションに連れて行ってくれたことは本当にラッキーでした。何年経っても『ハリー・ポッター』について話せるわけですから、心から感謝しています」と話す。
「ハリー・ポッター ショップ 原宿」オープンを記念し、緊急来日したトム・フェルトン
「1つ質問して良い? なんのキャラクターが好き?」と逆質問をしてきたり、ドラコだと答えると投げキッスをくれたりと、終始温かく取材に応えてくれたトム。さらに「ハリー・ポッター ショップ 原宿」のオープン記念イベントでも松島が触れていたが、トムは東日本大震災の際に義援金を寄付し、熊本地震の際に「ハリコン」で募金箱を設置するよう呼びかけるなど、震災復興支援も行ってきた。
いじわるなドラコ役で名を馳せたが、演じたトムはその真逆で実は“いい人”であることは周知の事実。そんなトムに「なぜそんなに人柄が良いのか」と投げかけたところ、「全然そんなことないんです」と謙虚に語り、母の影響が大きいことを明かした。
「母は僕に“自分らしくいること”を、父は“冗談を言うこと”を教えてくれました。母はある年は僕をバイオリン教室に通わせ、次の年はアイスホッケー、その次は歌、そして演技といろんなアクティビティーに連れて行ってくれたんです。兄が3人いる4人兄弟なのですが、母は僕たちがいろんなことに触れられるように2倍も頑張ってくれました。なので、そう思ってくださるのは、母のおかげなんです」
「僕が褒められるたびに思うのは、こうして人々の人生にたくさんの喜びをもたらす作品の一部になれて、本当に感謝しているということです。本や映画、ショップ、テーマパークを通じてたくさんの人々の人生に喜びを与える作品に少しだけ携われたのは本当にすごいことですし、心から感謝しています。『偉人の陰に偉大な母あり』という言葉がありますが、まさにそうだと思います」
同日に行われたイベントでは、ドラコの大ファンだという松島に「お会いした時に僕から愛をお渡ししました。次はその愛をバトンパスしてください」とリクエストしていたトム。トムの母から続く大きな愛を絶やさずに、今後もつないでいくのが『ハリー・ポッター』ファンにできる恩返しなのかもしれない。
(取材・文:阿部桜子)
「ハリー・ポッター ショップ 原宿」は、8月14日(木)からオープン。