有村架純、“2021年の顔”となるほどの活躍っぷり 『コントが始まる』『るろ剣』話題作続く

特集・レポート
2021年6月5日 08:00

■国民的女優にのし上げた大きな要因は?

 有村といえば、2017年に放送された連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK総合)で一気に国民的女優の仲間入りを果たしたが、それ以前からも若手女優のなかでも群を抜いた表現力の持ち主として知られてきた。デビュー当時は他の若手女優と同じように現代的な清廉性に傾いた役柄が多く、出世作となった『あまちゃん』(NHK総合)では小泉今日子の若き日を演じて80年代アイドルらしい古風さをものにする。そして『ストロボ・エッジ』で少女漫画の王道ヒロインになったかと思えば、その直後に公開された『映画 ビリギャル』では対照的なギャルメイクにも挑戦。どんな役者にも必ずといっていいほど“イメージ”というものはついて回るが、有村の場合はそれを常に更新しながら経験を積み重ね、独自の新たなイメージを着実に開花させていくのだ。

 その開花させたものとは、“複雑な過去を抱えながらも、なんとか前を向き、周囲を動かしていく芯の強い女性”という太陽のような確固たるポジティブなイメージに他ならない。それぞれの“複雑な過去”の詳細こそ違っていても、ドラマでは『そして、生きる』(WOWOW)や『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)、映画では『コーヒーが冷めないうちに』や『かぞくいろ‐ RAILWAYS わたしたちの出発‐』と、近年の出演作の多くがこれに当てはまる。いずれも不安や孤独感にあふれた現代を生きる視聴者の境遇に寄り添いながら、一緒に足並みをそろえてくれる存在として希望を与えつづけてくれる。それこそが有村を国民的女優にのし上げた大きな要因というわけだ。

有村架純 『コントが始まる』第7話より (C)日本テレビ
 もちろん今回の『コントが始まる』で演じる里穂子も、その延長線上にある。仕事や恋愛もうまくいかず“推し”に生きる活力を見出すけれど、その“推し”さえまもなく解散してしまい、一緒に暮らしてきた妹も独り立ちをしてしまう。取り残された気分を味わいながら、第7話では自分も新たなスタートを見つけようと就職活動を始める。弱さを抱え、頑張りすぎて壊れてしまう危惧がありながらも周囲と影響しあいながら少しずつ進んでいく。これまでの作品で見せていたような“引っ張っていく”感じこそないが、それは多くの人がゴールの見えない不安感に押しつぶされている現在にはかえってうまくフィットしている。里穂子という役柄を通して、このドラマはひとつのアンサーを導いてくれることだろう。

 この『コントが始まる』だけでなく、今年の上半期にはヒロインを務めた『花束みたいな恋をした』が大ヒットを記録し、現在公開されている『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』では重要なキャラクターである雪代巴役を演じた有村。まちがいなく“2021年の顔”となるほどの活躍を見せ、下半期にも『太陽の子』などの話題作が控えている。これはもう、いま以上の大きな飛躍を期待せずにいられようか。

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久保田和馬(ライター)

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