有村架純、“2021年の顔”となるほどの活躍っぷり 『コントが始まる』『るろ剣』話題作続く
現在放送中の土曜ドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系/毎週土曜22時)は、菅田将暉と仲野太賀、神木隆之介の3人が演じるお笑いトリオ「マクベス」と、有村架純と古川琴音演じる姉妹を軸にした青春群像劇だ。昨今ひとつひとつの枝葉となるエピソードを描きながら、1クール通した大きな幹となるトピックを紐解いていくタイプのドラマが多いなかで、本作はあくまでも登場人物の歩んできた/歩む時間に重きを置きながら、その連続性を以って「連続ドラマ」を成立させていく。描く内容もさることながら、その描き方もまた安易に時代の流れに迎合することのない普遍性を携え、まぎれもなく今年を代表するドラマといってもいいだろう。(文=久保田和馬)
【写真】面倒な“泥酔キャラ”まで演じる有村架純
■有村演じる里穂子はニュートラルな存在
ファミレスで働く中浜里穂子を演じる有村架純 (C)日本テレビ
主人公格の登場人物たちは、誰ひとりとして欠けることなく魅力的に描かれているが、そのなかでも特に重要な位置にあるのは有村演じる中浜里穂子であろう。マクベスの熱狂的なファンであり、彼らが毎夜のように足を運ぶファミレスの店員である彼女。第1話で初めてマクベスのライブを見に行くと、そこで彼らは解散を発表。その帰り道で高岩春斗(菅田)に呼び止められたことをきっかけに、マクベスをより近くで見守り、一緒に思い出を共有していくことになるのである。つまり誰よりもマクベスの芸人としての魅力を知り、各エピソードで描かれる彼らの歴史にときめく存在という、最も視聴者に近いキャラクターというわけだ。
泥酔する中浜里穂子を演じた有村架純 『コントが始まる』第6話より (C)日本テレビ
根っからの優等生タイプでありながら、ひとたび酔っ払えば公園のベンチで眠って春斗に絡んでみたり(第1話)、はたまたブランコに乗りながら「アルプスの少女ハイジ」を高らかに歌い上げたり(第6話)と面倒なキャラに変化。また、会社を辞めて恋人にもフラれた際には完全にスイッチがオフになり、妹のつむぎ(古川)に救出されるまで家に引きこもっていたという過去を持つ。生真面目で大人しそうな外面と、逆境にうまく対処することのできない危うさを持った内面というのは、マクベスという“夢を追い破れた”昔ながらの若者像の典型と、つむぎという空虚な日々を送るいかにも現代的な若者像の間にある、どの世代でも共感し得るニュートラルな存在といえよう。
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