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『FLEE フリー』日本版予告 青年が明かす“難民”としての過酷な半生と、未来への覚悟

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映画『FLEE フリー』場面写真
映画『FLEE フリー』場面写真(C)Final Cut for Real ApS,Sun Creature Studio,Vivement Lundi!,Mostfilm,Mer Film ARTE France, Copenhagen Film Fund,Ryot Films,Vice Studios,VPRO 2021 All rights reserved

 本年度アカデミー賞にて史上初となる国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞の3部門同時ノミネートという快挙を成し遂げたドキュメンタリー映画『FLEE フリー』より、日本版予告編が解禁された。

【動画】『FLEE フリー』本予告

 本作は、ひとりの青年が20年の時を経て語る祖国からの決死の脱出劇をアニメーションで映像化した、デンマークほか合作によるドキュメンタリー作品。昨年のサンダンス映画祭でワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門のグランプリ、アヌシー国際アニメーション映画祭でも最高賞となるクリスタル賞ほか3部門を受賞するなど、4月12日現在、各国の映画祭で82受賞136部門ノミネートという圧倒的な評価を獲得している。

 アフガニスタンで生まれ育ったアミンは幼いある日、父がタリバンに連行されたまま戻らず、残った家族と共に命懸けで祖国を脱出した。やがて家族とも離れ離れになり、数年後たった一人でデンマークへと亡命した彼は、30代半ばとなり研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。だが、彼には恋人にも話していない、20年以上も抱え続けていた秘密があった。あまりに壮絶で心を揺さぶられずにはいられない過酷な半生を、親友である映画監督の前で、彼は静かに語り始める…。

 日本版予告編は、主人公アミンが誰にも明かしたことのなかった自身の過去を、長年の親友である映画監督(本作の監督ヨナス・ポヘール・ラスムセン)に対して初めて語り始める様子や、その言葉により回想される幼少期からの過酷な経験、結婚を控えた恋人の男性にさえ過去を話すことができていないという現在の苦悩などがつづられたもの。一方で、アミンの「変わるべき時だ」「これが僕の物語の始まりだ」という、自身のトラウマと向き合った上で一歩踏み出そうとする強い覚悟がにじむ言葉も収めており、本作が持つ“未来への希望”も感じさせる映像となっている。

 また映像には、歴代のアカデミー賞監督達による本作への絶賛コメントも収録。『ROMA ローマ』のアルフォンソ・キュアロン監督は「人を立ち止まらせ、考えさせる。この映画は愛で出来ているのだ」、本作を2021年のベスト映画の1本にも選出した『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督は「今年見た映画の中で、最も感動した作品。涙が出た」とコメントを寄せている。

 アミンがデンマークに亡命を果たした直後の16歳の頃からの旧友だというラスムセン監督は、若い頃に好奇心からアミンに過去について尋ねたが、当時のアミンは何も語ろうとしなかったという。それから約20年の時を経て、アミンは心境の変化もあり、本作の製作に同意。ラスムセン監督は、アミン本人の声と記憶を通してこれまで誰にも語られなかった彼の物語を聞きたいと考え、その心のペースに寄り添いながら約4年もの長い時間をかけて断続的にインタビューを敢行した。

 ラスムセン監督は、当時の撮影手法について「ラジオ・ドキュメンタリー制作で長年培ってきたインタビューの手法を用いました。取材対象に、横たわって目を閉じ、かつて目にした光景や匂い、感触を思い出してもらいます。そうすることで、記憶がより強く直接的なものになり、まるで今まさに展開していることのように感じられるのです」と説明。その上で、“初めて話す”という行為が持つエネルギーを重視し、事前に聞いた内容を改めて語ってもらう“再現”も一切行っていないと明かしている。

 映画『FLEE フリー』は、6月10日より全国公開。

映画『FLEE フリー』本予告

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