映画史上唯一の“養鶏サスペンス”『殺しを呼ぶ卵【最長版】』、異様さ燃え盛るポスター&予告解禁
ジャン=ルイ・トランティニャン主演のイタリア映画『殺しを呼ぶ卵【最長版】』(1968)より、ポスタービジュアルと予告編が解禁された。
【動画】『殺しを呼ぶ卵【最長版】』予告編
本作は、1968年に公開されて以降、50年以上に渡り知る人ぞ知る作品だった猟奇サスペンス。欲望渦巻く犯罪ドラマを倒錯嗜好と残酷趣味で毒々しく彩るだけでなく、資本主義社会の非情、企業の非人間性を暴き、同時期のパゾリーニ、アントニオーニ、エリオ・ペトリ監督作にも通じる社会派メッセージを鮮明に打ち出した。
ローマ郊外の巨大養鶏場。社長のマルコは業界の名士として知られていたが、経営の実権と財産を握る妻アンナへの苛立ちを日々募らせていた。彼は同居するアンナの10代の姪ガブリを愛人にするだけでなく、妻に対する憎しみを女性へのサディズムで発散するのだった。マルコ、アンナ、ガブリ──3人それぞれの隠された欲望が暴かれる時、事態は思いもよらない展開を迎える。
解禁された予告編は、「映画史上唯一の養鶏サスペンス」という惹句と共に、大量のニワトリを飼育する巨大養鶏場から始まる。続いて陽気なボサノヴァ・サウンドに乗せて登場人物が紹介される。養鶏場の社長である主人公マルコ役には、2022年6月に死去した名優ジャン=ルイ・トランティニャン。社長夫人アンナ役には、イタリア美人の代名詞として一世を風靡したジーナ・ロロブリジーダ。夫人の姪ガブリ役に当時18才のブロンド・ビューティ、エヴァ・オーリン。彼らは裕福で幸せそうな家族に見える。
だが、次の場面では一転、不吉な音楽と共に、怪しい研究者、怒った労働者の集団、ナイフ、血まみれの鏡などがカットバックで映し出される。そして「愛欲」「陰謀」「猟奇」「突然変異」といった謎めいた文字…。この予告だけで作品の全容を把握することは難しいが、高い芸術性と不穏さを感じさせる映像だ。
また、併せて解禁となったポスタービジュアルは、事故を起こして炎に包まれた車を背景に、意識朦朧とした様子でこちらに迫り来る血まみれの女性と、地面に倒れている男性の構図が鮮烈なインパクトを残す。
映画『殺しを呼ぶ卵【最長版】』は、12月2日より新宿シネマカリテほか全国順次公開。