第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリ作品『最悪な子どもたち』予告編解禁
第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリを受賞した映画『最悪な子どもたち』より、予告編が解禁された。
【動画】4人の“問題児”が現実とフィクションを行き来する 『最悪な子どもたち』予告編
本作は、ある夏の日、フランス北部の荒れた地区を舞台にした映画が企画され、地元の少年少女を集めた公開オーディションが開かれることから始まる物語。選ばれたのは、異性との噂が絶えないリリ、怒りをコントロールできないライアン、心を閉ざしたマイリス、出所したばかりのジェシー、という4人のティーンエイジャーたち。出来上がったシナリオは、彼ら自身をモデルにした物語だった。なぜ問題児ばかりが主役なのか? 監督の狙いとは? 住民たちが訝(いぶか)しむなか、波乱に満ちた撮影が始まり、予想外の展開が訪れる―。
監督は、これまでキャスティングディレクターや演技コーチとして数千人以上の若者と接し、「なぜ映画というジャンルが、過酷な環境で生きる子どもたちに惹かれカメラを向けようとするのか?」という問いを持っていたリーズ・アコカとロマーヌ・ゲレ。2人にとって本作が長編デビュー作となる。
映画に登場する主人公の4人は、実際に映画の舞台となる北フランスの近くの学校や児童養護施設でのオーディションに参加し、選ばれた演技未経験の子どもたち。彼らは「映画の登場人物」を演じることで「自分自身」と向き合うことに。はじめての体験に格闘し、違う世界に飛びこむことで、彼らのなかの何かが少しずつ変わっていく。子どもたちが演技の才能を開花させるシーンは圧巻で、役と重なるキャスト本人の出演経緯も相まって、観る者の心をとらえて離さない作品に仕上がっている。
予告編は、主人公に選ばれたリリ、ライアン、マイリス、ジェシーの4人の個性豊かなティーンエイジャーたちが、地元の映画撮影に挑む姿をとらえている。ライアンが自転車で道を通るシーンの撮影中、監督から「カット」が掛かっても止まらないライアンに現場が慌てる様子や、撮影を楽しんでいるリリが地元の同級生たちにからかわれる様子、「リリとのベットシーンがある!」と言ってはしゃぐジェシーの姿。そして、まだ幼い子供たちに本気の喧嘩をするようにけしかける監督。子供たちの喧嘩は演技を越えて止まらなくなってしまい、現場は大混乱に。
映像にはまた、映画の舞台となる北フランスの地元住民たちの声も収めている。「映画の主人公たちが全員『最悪な子どもたち』なのは何故なのか」と訝(いぶか)しむ住民に対して、映画スタッフの1人は「何百人の中から選ばれた子たちよ」と諭す。そんな中、波乱に満ちた映画撮影は進んでいく。最後は「感情を露わにしていいんだよ」と伝える映画監督に対して、主人公のライアンが「僕は泣かない」と言い張る姿で終了。果たして、映画の中で彼はどのような表情を見せるのか。現実とフィクションを行き来する演技未経験の子どもたちの奇跡の瞬間が垣間見られる、本編への期待が高まる予告編となっている。
映画『最悪な子どもたち』は、12月9日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。