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『白鍵と黒鍵の間に』から感じる“凄まじい音楽の力” 『ラ・ラ・ランド』『BLUE GIANT』に続く“ジャズ×映画”の快作

映画

提供:ポニーキャニオン

映画『白鍵と黒鍵の間に』Blu-ray&DVD絶賛発売中!
映画『白鍵と黒鍵の間に』Blu-ray&DVD絶賛発売中! (C)2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会

 映画とジャズの歴史は古い。最初に音がついた映画は1927年(ほぼ100年前!)の『ジャズ・シンガー』だとされているし、天才トランペッターのマイルス・ディヴィスらが映写するフィルムに合わせて演奏したという『死刑台のエレベーター』から、アカデミー賞に輝いたミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』まで、ジャズは時代とともに形を変えながら映画とのベストマッチングを見せてきた。最近では人気コミックのアニメ映画化『BLUE GIANT』の音楽をジャズ・ピアニストの上原ひろみが担当し(劇中のピアノ演奏も)、映画、アニメ、音楽のすべてのファンを魅了してみせた。『白鍵と黒鍵の間に』も日本から生まれた「ジャズの映画」だ。舞台は昭和末期の銀座の高級クラブ。クラブの専属の人気ピアニスト南と、ジャズ・ピアニスト志望の博が、あるヤクザの親分のためにしか弾いてはいけない禁断の曲「ゴッドファーザー 愛のテーマ」をめぐる珍騒動に巻き込まれる狂騒の一夜を描いている。

■ジャズが染み出すような快作&怪作

 この映画では、即興から生まれるジャズの変幻自在さに呼応するように、どこまでが現実か幻想かわからない奇妙な物語が展開する。もともと映画の原作になったエッセイを書いたのは現役のジャズ・ピアニスト、南博。実際に昭和の時代に銀座のクラブで演奏した経歴を持ち、後に単身アメリカに渡ってジャズマンとしての腕を磨いた人物だ。そしてこの名前からわかるように、主人公の南と博は原作者、南博の分身であり、劇中でも池松壮亮が一人二役で演じているのだ。


 野心あふれる博は、場末のキャバレーでくすぶっている現実に嫌気がさして華やかな銀座でのサクセスを目指す。かたや南はカネには困らないが、毎晩毎晩酔ったクラブ客のリクエストに応じる日々にウンザリして、密かにこの日を最後にクラブを辞めてアメリカに旅立とうとしている。つまりこの映画では、まだ駆け出しの南博と、プロのミュージシャンになった南博が、同じ場所、同じ時間に存在しているのである。

 ある意味ではSFであり、ファンタジーともいえる設定だが、南と博がそれぞれにほかのミュージシャンと関わり、彼らが一緒に演奏している姿を見、奏でる音を聴いていると、この入り組んだタイムトラベルみたいな世界をすんなり受け入れられるのだから不思議なもの。キャリアが長かろうが短かろうが、年齢性別国籍が違っていようが、一緒に演奏できるのが音楽の醍醐味であり、そのゆらぎから生まれる“ジャズらしさ”に魅せられて、つい煙に巻かれてしまうのだ。


 ややこしい人間関係もそれぞれの複雑な心の内も、鳴り響く音楽のゆらぎに取り込まれて、われわれ観客は時間と空間がゆらいでいることにすら納得させられてしまう。さらにいえば、終盤では3つ目の時空に突入する豪快な展開が待ち受けているし、森田剛が演じる出所したばかりのヤクザの復讐劇も同時進行するし、暴言を恐れずにいえばこの映画はハチャメチャだしデタラメだしおよそ理屈では説明ができない。しかしそれもみんな「ジャズ!」のひとことで解決してしまう気がするのだから、音楽の力って凄まじい。

 「音楽映画」の条件は、登場人物がミュージシャンだったり、劇中で歌ったり演奏したりすればいいわけではない。まるで映像が音楽とセッションしていたり、作品全体が音楽そのものに思えたり、つまりは映画と音楽がひとつに融合しているからこそ音楽映画ではないか。そして『白鍵と黒鍵の間に』は、ジャズ・ミュージシャンの物語であるのと同じくらい以上に、映画自体からジャズが染み出すような怪作にして快作なのである。

『白鍵と黒鍵の間に』販売情報


<Blu-ray>
価格:7480円(税込)/品番:PCXP-51030
本編94分+映像特典111分(予定)/Blu-ray1枚+CD1枚

■仕様・特典
◯初回限定特典
・特製収納ボックス仕様
◯映像特典
・メイキング
・インタビュー映像集(池松壮亮/仲里依紗/森田剛/高橋和也)
・舞台挨拶映像(2023年9月4日プレミア上映会/2023年10月6日公開初日)
・予告映像集(特報/本予告/特別映像4種)

◯封入特典
・オリジナルサウンドトラック(UHQCD)
 ※劇伴&劇中歌&エンディング音楽収録

<収録楽曲>
01. メインテーマ
02. Etude No.5 Ges-Dur Op.10-5
03. みずうみの独奏
04. 一晩三年
05. East Of The Sun(And West Of The Moon)/リサ(クリスタル・ケイ)
06. Mack The Knife/リサ(クリスタル・ケイ)
07. ご来店とご案内の間に
08. Coming Now
09. Phone Call
10. 喫茶ボストン
11. As Time Goes By/曽根(川瀬陽太)
12. 二人三脚
13. Tain't Nobody's Bizness If I Do/リサ(クリスタル・ケイ)
14. バルコニー
15. Nobody Knows You When You're Down and Out/リサ(クリスタル・ケイ)
16. リクエストの涙
17. バルコニー2
18. 非常階段
19. ビルとビルの間に
20. 脱出
21. Nonchalant

<DVD>
価格:5280円(税込)/品番:PCBP-54618
本編94分+映像特典2分(予定)/DVD1枚

■仕様・特典
◯映像特典
・予告映像集(特報/本予告)
※商品仕様・収録内容は都合により変更になる可能性がございます。

【販売店舗別オリジナル特典】
<Amazon>L判ブロマイド 3枚セット
<楽天>2L判ブロマイド 2枚セット
<TSUTAYA>L判ブロマイド
<ポニーキャニオンショッピングクラブ>劇場B2ポスター
※全てBlu-ray/DVD共通
※特典は無くなり次第終了となります。

詳細はこちら >
配信情報 >

(C)2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会

文:村山章

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