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又吉直樹主演『変哲の竜』は実体験から着想 “余白”で見せる大橋裕之ワールドに注目

映画

P R: MIRRORLIAR FILMS PROJECT

『変哲の竜』場面写真
『変哲の竜』場面写真(C)2024 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

 クリエイターの発掘・育成を目的に、映画製作のきっかけや魅力を届けるために生まれた短編映画制作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)』。Season1~4では、俳優や映画監督、漫画家、ミュージシャンなど総勢36名のクリエイターたちが、個性的な短編映画を発表した。そんなプロジェクトも新たなステージを迎え、Season 5~8は新たに一般公募作品も加わるなど、さらにバラエティに富んだ短編映画が集まった。今回クランクイン!では、シーズン5を彩る6作品の監督、キャストたちにリレー形式でインタビューを実施。第4回目は『変哲の竜』を監督した漫画家の大橋裕之さんに映画のことを、そして『たてこもり』で監督を務めた竹中直人さんに、本作の感想を伺った。

■漫画家・大橋裕之初の商業映画監督作品



 ある日の昼間、誰もいない公園で竜(又吉直樹)が文庫本を読んでいると、懐かしいにおいが鼻を突く。小学校時代の友人、正樹(山田孝之)の家の部屋のにおいだとひらめいた竜は、においを確かめるため、正樹の家を20年ぶりに訪れる。竜は懐かしの二階の部屋にひとり座り込み、「におい」を吸い込む。一方その頃、正樹の妻の今日子(伊藤沙莉)と正樹が何やら言い争いをはじめたようで――。
■大橋ワールドを体現したメインキャスト

――どんな形で「ミラーライアーフィルムズ」への参加オファーを受けたのですか?

大橋監督:最初にお話をいただいたのは、僕が描いた漫画の『ゾッキ』を映画化している最中ぐらいに、伊藤主税プロデューサーから「一本撮ってみませんか?」と声を掛けていただいたんです。それで「僕で良かったら」みたいな形で。数年前ですかね。

――『変哲の竜』という物語はどうやって発想されていったのですか?

大橋監督:僕はネタが浮かんだら忘れないようにメモをとるのですが、それを見返していたとき、漫画よりも映像の方がやりやすいというと言葉が正しいか分かりませんが、適しているのかなと思ったお話だったんです。


――「におい」から始まるお話でしたが、どんなときに発想されたのですか?

大橋監督:最初の部分は僕の実体験というか、不意に懐かしいにおいに出会って「これは同級生の家のにおいに似ているな」と思ったんです。そのとき何十年ぶりに電話をして、家まで確認に行ったら、すごく迷惑なんだろうな…と思って(笑)。僕は実際やりませんでしたが、その先を描いてみようかなと。

――又吉さんが絶妙な間で竜を演じていましたが、大橋監督がキャスティングもされたのですか?

大橋監督:脚本を書く前の段階から、又吉くんだけは頭のなかにありましたね。その後、伊藤プロデューサーに「こういう話にしたいんです」と言ったら、配役についてダメ元でもいいのでイメージする人がいたら言ってくださいと言われて、二人で話しているときに、山田孝之さんと伊藤沙莉さんの名前が出たんです。まさか出ていただけるとは思っていませんでしたが、3人は当て書きでイメージを作りました。


――今回劇場で公開される作品を手掛けてみていかがでしたか?

大橋監督:これまで遊びみたいな短編は撮ったことが3回ぐらいあったのですが、予算がついて、スタッフの方がちゃんといて……というのは初めてだったので、最初は本当にどうしていいのか分からず、竹中さんにもいろいろ伺ったんです。スタートやカットのかけ方すら分からなかったので(笑)。でも普段一人で仕事をしているので、いろいろな方が関わって一つの作品を作るというのは、大変でしたが楽しかったです。

――漫画のコマ割りと、映画のカット割りというのはやっぱり違う感覚なのですか?

大橋監督:そうですね。やっぱり生身の人間が映っているというのも違いますし、漫画は自分のペースで読めるのですが、映画は流されていくので、間の撮り方というのは、結構意識しました。


――ご自分で描かれた漫画を、自身で監督してみたいという思いは?

大橋監督:それはあまりないかもしれませんね。

――竹中監督は、『変哲の竜』をご覧になってどんな感想を持ちましたか?

竹中監督:又吉さんの芝居に感動しちゃいました。スクリーン映えしていてびっくりしました。それでいてしっかり大橋さんの世界観だったし。役者さんとちょっと違う世界の人だと、より大橋さんの世界が広がるなと思いました。僕はもっと大橋さんの作品を撮ってみたいです。『ゾッキ』の続編もやってみたい (笑)。

――6作品がオムニバスとして上映されますが『変哲の竜』の見どころをお願いします。

大橋監督:漫画でも無駄なコマを1、2コマ入れたりするのですが、映画もあまりカット割りをせず、間を大切にした部分もあるので、又吉くんの演技を含めて、作品の余白みたいなものを楽しんでいただければと思っています。

『MIRRORLIAR FILMS Season5』は、5月31日(金)より2週間限定公開。


『MIRRORLIAR FILMS Season5』予告映像

取材・文:磯部正和、クランクイン!編集部

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