時代劇初心者が『室町無頼』を見てみたら…めちゃくちゃ面白かった! 大泉洋×長尾謙杜コンビも最高
P R:東映

真田広之が主演とプロデュースを務めた戦国スペクタクル・ドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』が第82回ゴールデン・グローブ賞4冠に輝く快挙を成し遂げ、インディーズ映画『侍タイムスリッパー』が異例の大ヒットを果たすなど、日本の時代劇が世界を巻き込んで一大ブームを巻き起こしている。そんな中、スクリーンにお目見えしたのが大泉洋主演の映画『室町無頼』。普段あまり時代劇を見ないし、分かるかな…と不安もありつつ、「スカッとするアクション」という評に背中を押されて見てみたところ、王道の少年漫画のような展開満載。「時代劇だから」という理由で尻込みするにはもったいない大快作だった。
『室町無頼』公式サイト >■分かりやすいストーリー展開で、一気に映画の世界へ没入!
舞台となるのは、今から約550年前の室町時代。大飢饉と疫病によって路上に飢えた人や死体があちこちに重なる一方、政府はなんの策も施さずに享楽の日々を送り、貧富の差が拡大した時代だという。そんな矛盾だらけの時代に颯爽と現れるのが、大泉演じる蓮田兵衛。ならず者たちを束ねた兵衛は、民衆の怒りや悲しみを背負って巨大な権力に挑んでいくーー。監督は『22年目の告白 -私が殺人犯です-』といったエンタメ大作や、社会派ドラマ『あんのこと』でも高い評価を受けた入江悠が務めた。
蓮田兵衛(大泉洋)
時代劇を見る際に「歴史に詳しくないし、時代背景が分からないので楽しめないかもしれない」という心配がよぎる人も多いはず。何を隠そう、自分自身そういうタイプだが、本作は「兵衛というヒーローのような男が、剣と仲間を武器にして無謀な戦いに突き進む」というシンプルなストーリー。しかも吸引力あふれる仕掛けやアクションに満ちていて、まったく飽きさせないのがスゴイ。砂嵐が吹き付けるどこまでも乾き切った大地を、真っ黒に汚れた人々が地を這うようにして必死に生きている姿をとらえた冒頭から「なんだ、この惨状は…」と驚くようにして一気に映画の世界に入り込み、観客も一緒になってラストまで駆け抜けるような作品だ。
最大の仕掛けは、キャラクターが極めて魅力的なこと。飄々(ひょうひょう)として軽やかな兵衛は、ひとたび剣を握ればズバッと敵を倒してしまうような剣豪。“弱きを助け強きをくじく”を体現しているようなキャラクターでもあり、何度「カッコいい…」と心の中でつぶやいたことか。常に彼が秘めているのは「苦しんでいる人のため、仲間のため」という熱い思い。剣もお金も、そのために使う男だ。兵衛がニヤリとすれば新しいことが起きそうで、見ているこちらも胸が踊る。
蓮田兵衛(大泉洋)&才蔵(長尾謙杜)
そんな兵衛に憧れを募らせていくのが、孤児だった少年の才蔵(長尾謙杜)。ボロボロの姿で登場する才蔵を目にすると、「なにわ男子」としてキラキラしたステージに立っている長尾だとはまったく思えない。貧しく、痛めつけられ、世の中に絶望していた才蔵は、兵衛と出会い「あなたのようになりたい」と生きる希望を見つけていく。「カエル」と名付けて、才蔵を振り回す兵衛。「兵衛どのぉ〜」と困り果てた顔でちょこちょことその後を付いていく才蔵。ユーモアのにじむ師弟関係が最高に面白く、大泉と長尾によるコンビネーションも抜群だ。
■“仲間集め”や厳しい修行の果てに訪れる、ド迫力アクション
「無能な幕府を相手に戦いに挑もう」と密かに作戦を練っていた兵衛は、腕自慢の“仲間集め”を始める。兵衛はその一人として才蔵の芽吹きを見込み、自身の師匠でもある老人(柄本明)のもとに彼を送り込む。ヨボヨボの老人が実は強いという設定は、『ドラゴンボール』の亀仙人を筆頭に少年心を大いにくすぐるもの。『鬼滅の刃』も修行シーンがしっかりと描かれているからこそ、その後の戦いに説得力があるが、死に物狂いの特訓で成長を遂げていく才蔵からも、王道少年漫画のようなワクワク感をたっぷりと味わえる。
蓮田兵衛(大泉洋)&骨皮道賢(堤真一)
考えてみれば『鬼滅の刃』を時代劇だと思って鑑賞している人はあまりいないように感じるが、本作もそれと同じように時代を超えて人々の思い、戦いに共鳴していくような没入感がある。修行を終えて“六尺棒”という長い棒の使い手になる才蔵の勇姿には、必ずや目頭が熱くなるはずだ。また少年漫画に欠かせないのは“ライバルにして親友”という関係性だが、本作はそこもきっちりと押さえている。兵衛の旧知の仲である骨皮道賢(堤真一)は幕府側に入り込み、今では兵衛と敵対する間柄。どちらも芳王子(松本若菜)という美女に思いを寄せているという点も、大いにドキドキとさせられる。
そして本作の醍醐味と言えるのが、「どうかしている」と感じるほどの熱狂に満ちたアクション。クライマックスでは兵衛の仲間となったならず者たちが、それぞれの武器を手にして死闘を繰り広げる。剣豪同士である兵衛&道賢の激突、六尺棒を手に空高く舞う才蔵ら、気迫あふれる表情と戦いぶりに興奮すること間違いナシ! 簡単に言ってしまえば、こうして見どころをあげていても映画を思い出して体が熱くなってくるほど、めちゃくちゃ面白い。何も考えずにキャラクターの魅力と迫力のアクションにシビれる1作だと、太鼓判を押したい。
苦しい時代だと諦めずに立ち上がっていく兵衛たちの姿には、今の時代にも必要な力がみなぎっている。なんと兵衛と道賢は、実在した人物だという。兵衛たちのような人がいたからこそ未来は築かれてきたのだと思うと、背筋を伸ばしたくなると共に映画にさらなる感動と深い余韻が残る。
映画『室町無頼』は絶賛上映中。
(C) 2016 垣根涼介/新潮社 (C) 2025「室町無頼」製作委員会
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