『虐殺器官』山本幸治プロデューサーが思う、スタジオ倒産と現在のアニメ業界
「映画は、ある意味僕がやり残した聖域だった」と口にした山本は、「ずっと映画を作りたかったんです」とキッパリ。また、伊藤計劃氏の作品については「何度も議題に上がっていた」とこれまでにもアニメ化候補になっていたと明かす。だが「独特の世界観なので、当時のノイタミナにはピタッと合わないし、もしやるとしたら映画かな」という話しになっていたのだという。
ノイタミナを手掛けていたとはいえ、山本はツインエンジンとしてアニメ業界に新規参入したといっても過言ではない。昨今のアニメ業界では、本作が陥った現状を含め、制作が間に合わず放送から落ちたという作品に加え、スタジオやクリエイター、制作費用における金銭の工面など、業界にとってネガティブな報道が続く。その現状について山本は「これまでも変わらずにあったものが、表面化しやすくなっていますよね。それと僕らもそうかもしれませんが、アニメを作っていなかった業界からの参入という外側からの変化もあるのではと思っています」と持論を述べる。ゆえに、“今まで通りではない”と考えが生まれ「これまで閉鎖的だったものが、そうではなくなってきているので、その点でいえば良いことなのかなとも思っています。表面化していなかったことが異様なことだった」と続けた。
アニメ業界へ一石を投じ、その大海原へ航海を始めた矢先に巨大な氷山にぶつかるという、あまり経験したくはない出来事を乗り越えてきた山本。そんな彼が自信を持って送り出す『虐殺器官』は2月3日より公開。(取材・文・写真:ほりかごさおり)
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