劇団四季『リトルマーメイド』“新たなパペット”に期待! デザインのトビー・オリエ氏「すごくエキサイティング」
劇団四季ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』が、8月26日に舞浜アンフィシアターにて開幕する。2013年に東京で日本初演を迎えて以来、8都市でのべ9公演が行われ、国内総公演回数は4052回、総入場者数は408万人にのぼる。首都圏での公演は2017年以来およそ10年ぶりとなる。公演を前にした7月21日、本作のパペットデザイン・ムーブメントを手掛けたトビー・オリエ氏と劇団四季の技術監督・古城博之氏の取材会が、舞浜アンフィシアターで行われた。
【写真】劇団四季の“小道具天才”による動きが楽しみ 『リトルマーメイド』のかわいいパペット
地上の世界に憧れる人魚姫アリエルが、人間の王子エリックに恋をする夢と冒険の物語。1989年製作のディズニー劇場版長編アニメーションを華やかに舞台化した本作は、様々な創意工夫をもって神秘的な海底の世界を鮮やかに描き出しており、特に、海を彩る魚たちを表現するパペットの数々は、この作品の大きな特徴の一つ。
今回、舞浜アンフィシアターで初めて上演するにあたり、同劇場特有の半円形ステージとすり鉢状の客席を最大限に利用するため、一部をアップデート。パペットを新規製作するなど、この劇場でしか観られない『リトルマーメイド』を作り上げている。
最初に登場したオリエ氏は、演出家、デザイナー、パペティア(人形遣い)としてロンドンを拠点に活動。ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』ヨーロッパ版からパペットデザイン・ムーブメントを手掛けており、劇団四季公演も2013年の日本初演から手掛けている。
「私はディズニーの『リトルマーメイド』が、最初にアニメーション映画として公開されたときから大ファンでした。当時は4歳で、今は41歳になりましたが、今でも大好きなアニメ映画のひとつです。初めて観たときに、別世界に連れていってもらえたという感覚になったことを覚えています。特に音楽といろいろなキャラクターたちに魅了されました。好奇心に溢れていて、自分が好きなこと関心事に対してすごく情熱を注いでいる主人公・アリエルのストーリーがすごく響いたんですね。子供のころ、サッカーとかスポーツをやるように勧められる雰囲気があった中で、パペットが大好きで作りたいと思っていたんですけど。それでいいんだ、人と違ってもいいんだと、『リトルマーメイド』を観て思えたんです」。
6歳のころから、パペットを作り始めていたという。「8歳のときに、アースラの人形を段ボールと布地で作ったりしました。ですから、ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』の装置・衣裳デザインのボブ・クローリーさんから、“パペットを作ってくれないか”と言われたときは、本当に夢が叶ったような思いでした」。
パペット製作の中でカギとなったのは、海の中の世界と地上の人間の世界の違いを描くこと。地上の世界は、アリエルの空想や憧れをそのまま形にしたかのごとく、まるで絵本から飛び出すような“二次元的ポップさ”で表現される。「それに対して海の中の世界は、質感があって立体的でカラフルで動きがある世界観を描きたいと思いました。パペットデザイナーとしては、水の中にいるようなパペットを表現しなければいけないので、パペットの動きやひれの動き方によって、水の抵抗感を感じるような動き方をするものを作りたいと考えました。そこで、人魚たちのひれなどシルクの布地を使って、水の中の流れを作る工夫をしています。そのいい例となっているのがエイのパペットです」。
エイのパペットの動きを劇団四季の小道具担当スタッフが披露し、オリエ氏が解説を続ける。「シンプルな旗のような構造で、針金のような金属で形は作っているのですが、パペティアがちょっとした動きを働きかけるだけで、流れのあるきれいな動きができるパペットになっています。劇団四季の小道具さんは本当に素晴らしい技術を持った方たちで、小道具天才と呼ばせてもらっています(笑)」。
「2013年に日本で開幕したときからのオリジナルパペットのタツノオトシゴは、けっこう固めの素材を使っていますが中は空洞になっているので軽いです。頭の部分、体、しっぽの部分を持てるような仕組みになっていて、関節が動くような形で、水の中での流れていくような動きを表現することができます」。
大規模なスケール感の劇場である舞浜アンフィシアターで再演するにあたり、特に非常に広くて弓なりになっている客席の構造をいかして、観客をもっと海の中に巻き込んで入り込んでもらうような、いろいろな工夫をしていると明かした。
「新しい内容としては、フライングパペットが登場します。ワイヤーで吊られているので、パペティアが操作するパペットではありません。それはすごくエキサイティングだなと思いましたが、私は人間が手で操作するパペットを専門としていますので、それができないとなったときに、様々な課題が生じました。フライングパペットに関しては、劇団四季の小道具天才チームと一緒に、いろいろな実験をしたり試作品を作ったり、zoomを介してたくさん重ねて現在に至ることができました。特に2つおすすめがあります。オープニングで出てくるシルバーフィッシュと呼んでいる魚の群れのパペットと、『恋してる』というナンバーで登場するハートフィッシュという魚のパペットがとても素敵ですよ。観客席の中を通りますので、お客様には作品の中に入り込んだかのような体験をしていただけると思います」。
今週から稽古に合流して、細部までしっかりと素晴らしい表現力で臨んでいる役者たちを目の当たりにして感じたことは。「アースラはものすごく怖いですし、いろいろな海の生き物が水の中にいるような流れを作ってくれていて、本当にこのプロダクションは今までで一番美しくて、一番インパクトのある作品になると思っています」。
続いて技術監督の古城博之氏が登場し、舞浜公演に向けたアップデートの内容について解説。「今回の装置ですけども、まずプロジェクトを発進する際に掲げたコンセプトは、“客席全体を海の世界へ”ということでスタートいたしました。舞浜アンフィシアターの円形の舞台ですとか、客席のすり鉢状の形状を最大限にいかしていこうという考えで、客席のアールの形状に合わせて、プロセ(舞台と客席を区切る額縁状の構造物『プロセニアム・アーチ』の略称)も少し前にせり出すような形で、絵本を見開いたような形状になっています。ページをめくりながら物語が進んでいくという、没入感が得られるのではないかと思っております。特徴になっているのが、プロセが二重構造になっていることです。一層目と二層目のプロセの間に追加されたのが、上手と下手に見えている海藻カーテンで、シーンによって出たりはけたりする演出を行います。また、一層目と二層目の間は花道のような形状になっていますので、そこを俳優が通り抜けたりします。舞浜公演では特別にフライングも追加しております。より近くに没入感を得られるように、二重構造になっているプロセの間を、アリエルがフライングを行う形に変更しております」。
新たな見どころのひとつが、客席のキャットウォークという通路の上空を魚が泳ぐ演出。「クリエーターの熱い発想が様々ありまして、いろいろなシーンで、新しくトビーさんにデザインしてもらったパペットが泳ぎまわるという演出になっております」。
取材会の最後に、新たに製作されたパペットの実演が行われた。客席の上空を優雅に泳ぐ魚の群れの姿に、思わずテンションが上がる。舞浜の地で新たに走り出す『リトルマーメイド』に期待が膨らむ。
劇団四季ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』は、8月26日に舞浜アンフィシアターにて開幕。
【公演概要】
劇団四季ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』舞浜公演
8月26日より開幕
■劇場
舞浜アンフィシアター
■出演候補キャスト
アリエル:谷原志音 立花梨花
エリック:武藤洸次 政所和行
アースラ:恒川愛 潮崎亜耶(「崎」は「たつさき」が正式表記)
トリトン:金久烈 田島享祐
セバスチャン:川口雄二 赤間清人
スカットル:丹下博喜 玉井晴章
フランダー:羽賀悠仁 梅村令悟