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浅草九劇の新企画『浅草九劇界隈』#0レポート ギギ・川合凜、もあダむ・阿久津京介らが語る“俳優個人企画”のリアル

演劇

『浅草九劇界隈』#0「俳優個人企画界隈」にて
『浅草九劇界隈』#0「俳優個人企画界隈」にて クランクイン!

 浅草九劇界隈シリーズは俳優同士だからこそ聞けること、話せることを通して“俳優自身の言葉”にフォーカスするプロジェクト。「俳優仲間に聞いてみたいこと」をきっかけに集まり、語り合う本企画では、「聞きたい」という素朴な熱意から始まる対話を、浅草九劇から新しい熱源として生み出し発信していくことを目指している。そんな浅草九劇界隈プロジェクトの#0として、9月22日に、「俳優個人企画界隈」を実施した。俳優が主体となって立ち上げる〈個人企画〉に焦点を当てたトークイベントで、個人企画に関する経験、課題、想いを登壇者同士で共有し、成功談だけでなく、実際に動かしてみないと見えにくいリアルな悩みや葛藤も含めて、ラフに語り合う場として企画された。

【写真】『浅草九劇界隈』ついに始動! 「俳優個人企画界隈」舞台での様子

 この流れを生みだす一つのきっかけとなったのは、2026年7月24日の俳優・川合凜による下記のXへの投稿だった。


川合凜Xより

 この投稿を見たローソンチケットの白川が浅草九劇に働きかけ、呼応した浅草九劇が実現に向けて動いたという経緯がある。急ピッチで進められたイベントであったが、計7名の登壇者と、約20名の観客が集い、約3時間にも及ぶ密度の濃いトークイベントとなった。

 この日、登壇者が集まったのは本番開始の約1時間ほど前。自己紹介や軽い段取り確認を終えて楽屋に入ると、さっそく俳優たちの話がはじまった。最近見た演劇の話や、月にどのくらい観劇しているか、自分で企画をやるようになってから観劇の仕方が変わってきたこと、それは例えば「自分の公演だったらこうしてるな」を考えながら見てしまう、などなど。より一層話題が広がりそうなタイミングで、イベント開始時間を迎えた。




 舞台上にはケータリングスペースがあり、登壇者はそこから飲み物を飲みながら語り、観客も浅草九劇に併設されたカフェ桟敷のドリンクを飲みながら聞くという、ラフな空気感でイベントは進んでいった。

 まずは登壇者と、それぞれが個人企画を始めたきっかけを紹介していく。


川合凜(川合凜企画ギギ)

 川合凜「大好きな俳優が演劇をやめてしまうことを知り、『最後にどうしても一緒に演劇をやりたい』という一心から急ピッチで準備を進め、1回限りの公演として凜×天歩企画『キキ』を上演しました。その後、川合凜企画ギギを立ち上げる直接のきっかけになったのは、端栞里と高熱『アタラント号・サマーベッド・浮遊』の観劇です。客席で強烈に刺激を受け、『私もやらなきゃ!』と突き動かされました。さらに、劇中で繰り返される『生きてる』という言葉に触れるなかで、『もし自分が作品をつくるなら、生きていることがめちゃくちゃかっこいいと思えるようなテーマでやりたい』と構想が膨らみました。文化を横断することを大切にしながら、その座組でしかできない総力戦をやりたいと思っています」


阿久津京介(もあダむ)

 阿久津京介「俳優として創作を続ける中で、現場においての演出家の言葉選びや演出の仕方など、その過程で疑問を抱くことが多くなって。作品に対しても、『どうしたら面白くなるだろう』と自然と考えるようになっていきました。それを身近な演出家に相談したら『どんだけ大変か知らないからそう言えるんだ。じゃあ自分でやってみろ』と言われたのが本当の最初です。そんなわけで、脚本も演出も、誰かにお願いすると結局同じことになってしまう気がしたので、良くても悪くても全部自分のせいにできるよう、自分が全責任を負える場所として『もあダむ』を作りました」


後関貴大(ゴセキカク)

 後関貴大「僕は阿久津さんとは真逆で、完全に『無責任』から始まっています。2022年、Twitter(現X)のスペースで深夜1時頃に同年代の脚本・演出家と話していて『みんな本どうやって書いてんの?』と聞いたら盛り上がってしまって。朝5時にはグループLINEができていて『王子小劇場でカラオケの作品をやろう』とノリで決まりました。1回限りの期間限定ユニットのつもりだったんですが、終わった後に僕だけやる気が湧いてきて、『ゴセキカク』の名前を引き継いで自身のユニットとして2回目、3回目と続けることになりました。『自分が役者として出演するなら、こういう作品に出たいと思える本を書く』という姿勢を軸に劇作・演出を行っています」


佐久間麻由(爍綽と/スリーピルバーグス/ソックとバスキン)

 佐久間麻由「2022年12月に、あさくさ劇亭という40人ほどのキャパの劇場で劇団『アンパサンド』を観て、開始10秒でその面白さに衝撃を受けたのが『爍綽と』の始まりです。感動のあまり、終演後に物販で上演台本を買い、帰りの電車で読んで、その日のうちに知人を通じて紹介いただいて、『一緒に何かやらせてもらえませんか?』とご相談しました。『こんなすばらしい劇作家さんに出会えたのに、何もしないのはおかしい!!』という猛烈な興奮だけで走り出して。当時、ExcelもWordも触ったことがない状態から手探りでスタートしました」

 佐久間「公演に参加していただいた方には、『爍綽と』を経ることで、その人の居る現在地からこの先向かいたい方向にちょっとでも行けるきっかけになったらいいなと思ってます。 アフタートークや広報を頑張るのもそんな想いからです」


長井健一(宝宝/すごい生命力)

 長井健一「シンプルに『一人芝居をやってみたい』という思いがありました。自身のゲイであるというアイデンティティと、パートナーとの関係をアウティングせずに紹介したいと考え、フィクションとして昇華させた一人芝居『おい!サイコーに愛なんだが涙』が原点です。そこから『演劇が存在することが社会や観客にとって良いことになってほしい』という思いで、育児支援やアクセシビリティをテーマにした宝宝を継続しています。また、宝宝の1回目が終わった後に、『暇だな』と感じたことから、友人と『安くて早くて面白い、日高屋のような演劇』を目指す『すごい生命力』も立ち上げました」


福原冠(範宙遊泳/さんぴん/無題の稽古会)

 福原冠「さんぴんは、三重県文化会館での滞在制作中、劇場の事業担当の方に『東京の作品を地方でやるだけじゃなくて、この劇場から生まれる企画があったら面白いと思う』と生意気にも問いかけたのがきっかけです。『じゃあ企画を持って来い』と言われ、そこではじめて真剣に考えました。『自分は俳優だから俳優から始まる企画とは何だろうと。そこで思い至ったのは俳優とは誰かの感情やメッセージを誰かに届ける媒介者だということでした。普段は劇作家の言葉を届けるけれど、膨大な感情を抱きながら生きているのは一般の方々だって同じ、人生そのものが物語だ』と気づき、ちょうど祖母の葬儀で自分の知らない祖母の一面を知った驚きとも重なって、その土地に生きる人へのインタビューを通して、土地の景色や人を浮かび上がらせたいと思いました。東京での試演会を観た仙台の劇場関係者や三重大学の教授からも声がかかり、ユニットとして予想を超えて継続・発展していきました」

 福原「無題の稽古場は、俳優として出演がない時期、アルバイトでハンバーガーを焼き続ける日々の中で『一体俺は何者なんだろう』『今日1日自分は俳優だったと言えるだろうか』と強い不安や虚無感を抱いていたことがきっかけです。自分のことを振り返ると、本番のパフォーマンスはもちろんのこと、『稽古をしている時間そのもの』が非常に好きであることに気づきました。そこで『本番を目指さなくても、ただ稽古をすること自体を楽しんでもいいのではないか』と考え、仲間と集まって純粋に稽古を行う会をスタートさせました」


内藤ゆき(内藤ゆき企画/阿佐ヶ谷スパイダース)

 内藤ゆき「最初から個人企画をやろうという強い野望があったわけではありませんでした。東葛スポーツの金山寿甲さんが開催した『企画書を作成するワークショップ』に参加したことが始まりです。『金山さんと話してみたい』という動機で参加したものの、企画を出さなくてはいけなくなり、焦って『炊飯器でお米を炊いて、炊けたら終わる演劇』を提出しました。『生活の中で炊飯器を見るたびに自分のことを思い出してもらえたら面白いのではないか』という発想でした。1回きりのつもりで自分のヘビーな人生をぶつけたら好評をいただき、2回目では、母親・家族関係という新たな問題に向き合うことになりました」

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【公演概要】

浅草九劇界隈#0「俳優個人企画界隈」
浅草九劇界隈#0「俳優個人企画界隈」チラシ

浅草九劇界隈#0「俳優個人企画界隈」

【日程】
9月22日15:00 (開場14:30)

【会場】
浅草九劇

【出演】
川合凜(川合凜企画ギギ):ファシリテーター/言い出しっぺ
阿久津京介(もあダむ)
後関貴大(ゴセキカク)
佐久間麻由(爍綽と/スリーピルバーグス/ソックとバスキン)
内藤ゆき(内藤ゆき企画/阿佐ヶ谷スパイダース)
長井健一(宝宝/すごい生命力)
福原冠(範宙遊泳/さんぴん/無題の稽古会) 
ほか ※登壇者は順次発表予定

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