浅草九劇の新企画『浅草九劇界隈』#0レポート ギギ・川合凜、もあダむ・阿久津京介らが語る“俳優個人企画”のリアル
イベント内では、企画を成立させるためのお金の話にもなった。
後関「僕は最初の公演で目玉が飛び出るような大赤字を出しました。赤字額を見て愕然として、当時のメンバーで割り勘して補填しました。それ以降はやりたい表現から逆算して、予算や規模に合ったブラックボックスの劇場やギャラリーを選ぶようにしています」
佐久間「最初は予算書の書き方もまったく分からない状態でした。企画にもよりますが、チケット料金をできる限り抑えたいという思いが強いので、今でも自分で出来ることは出来る限り何でもやるようにしています」
長井「助成金を申請して予算を組みますが、助成金の制度上、黒字になるなら助成は不要とされるジレンマもあります。基本的に主宰自身のギャラは出ないのが現実です」
佐久間「うん。だから、声を大にして言っておきたい。ぜひ物販をお買い求めいただきたいです !」
長井「そうですね、それはかなり大きいです」
阿久津「グッズの売り上げは予算書の段階で計上してませんからね。上振れることができる」
客席からの質問コーナーでは、「自分も個人企画でやりたいことがあるかもしれない」という観客から、「企画を立ち上げようと思った頃の自分に対してアドバイスするなら何か」という質問が投げかけられた。
「経験者や先輩に『知らないので教えてください』と素直に相談することは大切。それも、1人ではなく何人かの団体主宰者に聞いて相場やノウハウを学ぶのが良いと思う」「まずは小屋を押さえて逃げ場をなくすこと。主催者1人だと逃げようと思えばいくらでも逃げられる。覚悟を決めること」「周りに言いふらすこと。宣言すること」「自分の火種(アイデア)を『それ面白いじゃん!』と言ってくれる最初の仲間と、迷った時に客観的に叱ってくれる存在がいる三角形の関係を作ること」「もしかしたら自分を否定したくなる時もあるかもしれないですが、場を作ることの素晴らしさだけは、肯定してあげてほしい。演劇を見て救われる人と、演劇をやって救われる人がいて、そういう場を作っていることの素晴らしさは掛け替えないので」というアドバイスが送られた。
劇場選びについての質問に対しては、都内のいくつかの比較的安く借りられるスペース(水性、イズモギャラリー、Paperback studioなど)の情報が共有されたほか、劇場側が主催する公募企画(浅草九劇のBoost projectなど)やフェスに、積極的に営業・応募して参加する手法も提案されていた。
最後に7人の今後の予定や展望が語られ、3時間のトークイベントは終演となった。
イベントが終わった直後に、言い出しっぺでもある川合に、どのような会だったかを振り返ってもらった。
川合「わざわざ個人企画をやろうとする人たちだからこそのまっすぐな熱意を感じられて、すごい熱い会になりました。個人企画と言っても、本当に“それぞれすぎ”ますよね。それぞれの軸でやっていることを、頑張って突き詰めていくしかない。それと今ちょうどみんなと、この時間で仲間になれた気がするっていう話をしていたんです。繋がることができた。ひとつの『界隈』を作るのに成功したかもしれません」
浅草九劇界隈というイベントは、回数を重ねていくことで、間違いなく「浅草九劇」を中心とした界隈を生み出す重要な動きのひとつとなるだろう。(取材・文:成島秀和)
【公演概要】
浅草九劇界隈#0「俳優個人企画界隈」
9月22日15:00 (開場14:30)
【会場】
浅草九劇
【出演】
川合凜(川合凜企画ギギ):ファシリテーター/言い出しっぺ
阿久津京介(もあダむ)
後関貴大(ゴセキカク)
佐久間麻由(爍綽と/スリーピルバーグス/ソックとバスキン)
内藤ゆき(内藤ゆき企画/阿佐ヶ谷スパイダース)
長井健一(宝宝/すごい生命力)
福原冠(範宙遊泳/さんぴん/無題の稽古会)
ほか ※登壇者は順次発表予定