『silent』想は“泣くみたいに笑う人” 演じる目黒蓮の“目の演技”にも注目
川口春奈×目黒蓮で送る、この冬いちばん泣けるラブストーリー『silent』(フジテレビ系/毎週木曜22時)。12月1日(木)に放送された第8話では、青羽紬(川口春奈)を思うあまりに、身を引こうとする佐倉想(目黒蓮)の葛藤が苦しい回となった。(文=菜本かな) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意ください
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■泣きながら笑う 目黒蓮の名演技
想は、とにかく自己犠牲の精神が強い。思い返せば、高校時代に紬の帰りが遅くなり、幼い光(板垣李光人)を不安にさせた時も、「お姉ちゃん、帰ろうとしたんだけど、俺が引き留めちゃって」と優しいうそをついていた。「弟、大丈夫? 帰ろっか」と言ったのは想で、「いやだ!」と駄々をこねたのは、紬なのに。
彼はきっと、ほかの誰かが不幸になるくらいなら、自分が苦しんだ方がいい…と思ってしまうタイプ。周囲の“重荷”になることへの拒否感が人一倍強いからこそ、紬と一緒にいるのがつらいのだろう。
奈々(夏帆)といる時は、お互いに耳が聴こえないから、二人だけの世界に入ることができた。無理して聴者と関わることもないし、やゆされたとしても慰め合える。しかし、聴者の紬は、本来手話をする必要がない。心ない人からの好奇の目にさらされる必要もない。
想からすれば、それが苦しくて仕方がないのだと思う。だから、迷惑をかけている気になって、「ごめんね、一緒にいるの恥ずかしいよね?」なんて謝ってしまう。紬は、そばにいたいからいるだけなのに。SNS上でも、「紬の気持ちが同情や哀れみじゃなくて、想への好意だって、想だからって気づいてほしいな」「早くありがとうが多くなればいいな」などの声が上がっていた。
また、想は泣くみたいに笑う人だ。優しい人だから、相手を心配させないようにしんどい時も笑ってきたのだろう。バリアフリー字幕のサービスがある映画は、面白いものが少ないと知った時も、紬に「(一緒に観られるものがなくて)ごめんね」と泣きそうに笑って。現在放送中の朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合/毎週月曜〜土曜8時ほか)で、プライドエベレストな青年・柏木弘明を演じている時とは、対照的な雰囲気をまとっている。
想を演じている時の目黒は、心なしかまばたきを増やしているように見える。話している人の手を、目を、じっと見つめて、一生懸命に心を読み取ろうとしているような。だからこそ、彼の“瞳”の奥にある本当の気持ちを、探りたくなるのだ。
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