『ポケモン』ダンデ役の小野大輔 サトシとの最終決戦は「心も体もクライマックス状態」
■心も体もクライマックス状態になった最終戦
――そして、いよいよ第13話「サトシ対ダンデ! 最強への道!!」ぶりのサトシとのバトルですね。
最初に登場した時ダンデは、ガラル地方のチャンピオンでした。なかなかサトシとバトルするシーンは描かれず、「いつかバトルすることを楽しみにしているよ」という表現でここまで来たので、長く続いていた「いつか」がついにやってきたことに武者震いしましたね。
――ファイナルバトルはどのような展開になるのか気になります!
一言でいえば「完全燃焼」です。全ての手練手管も、これまで培ってきたものも、今出せるものを全部出し切って戦うバトルになります。
――サトシとの掛け合いのシーンはいかがでしたか?
4週間にわたって心も体もクライマックス状態でした。毎回ヘトヘトになって帰りました(笑)。
僕は役の上ではチャンピオンなのですが、演者としてはチャレンジャーです。20年以上サトシを演じている(松本)梨香さんは、演者としての僕から見るとチャンピオンですから。
だからこそ、ずっと意識していたのは勝つことを疑わないことです。毎回アフレコでは「勝ちます」と言って臨んでいました。
――ファイナルならではの特別なディレクションはありましたか?
僕は熱くなると、どんどんヒートアップしていって、声量も表現も大きくなっていく傾向があるんです。でもそれをやりすぎると演技が小さく見えてしまう。「今、必死になりすぎて小さくなっている」「もっと大きく構えて余裕を持って。チャンピオンだから」とよくディレクションをいただきました。
でもそれを今度やってみると「今、挑んでなかったよ」といわれることもあって…余裕を持つと挑む姿勢が抜けがちなんですよね。だから「緊張感を持ちながら余裕も持って」と言われるんです。全部やるのはもちろん大変なのですが、いつも意識して演じていました。
――今回視聴者は、必死なダンデを初めて見ることになると思います。見どころや注目してほしいところがあれば教えてください。
今回のバトルは熱いだけではないんですよね。ポケモンのタイプやわざの相性がテクニカルに組み合わさってきます。僕も演じるにあたって『ポケットモンスター シールド』をプレイしたのですが、本当によくできているなと思いました。
そういうポケモンバトルの面白さが、ちゃんと今回のファイナルバトルに組み込まれています。ダンデもサトシもテクニカルなわざを使ってくるんですよね。力対力みたいなバトルじゃなくて、ちゃんと先を読んで戦術を練るバトル。めちゃくちゃ面白かったです。
――勝敗も気になるところですが、これまでのバトルを振り返るとダンデと戦った相手は、勝っても負けても気持ちよく試合を終えている印象があります。小野さんは、ダンデが勝った瞬間をどのような気持ちで演じられているのでしょうか?
「良いバトルだった」という思いを必ず相手に伝えることを意識しています。でもそれは、相手に気を使っているわけではないんですよ。ダンデも僕も、勝つことを当たり前とは思っていませんから。
演じる上でお守りにしているのが、アントニオ猪木さんが言った「出る前に負ける事考えるバカいるかよ」という言葉です。みんな勝ちたいんです。勝つから楽しいし、負けたとしても勝とうと思って全力で戦ったから、清々しい。だからこそ、また勝ちたいと思って続けられるんですよね。負けるかもしれないと考えないことが、純粋にバトルを楽しむ秘訣(ひけつ)だと思います。