TikTok流行から自殺率増加まで トレンドから読み解く“米ティーンの光と影”
世界中にポピュラー・カルチャーを発信するアメリカ合衆国。その人気を最前線で支えるティーンエイジャーたちには、今、いったいどんなものが人気なのでしょうか? 今回は、おもに1990年代半ばから2000年代生まれを指す「Z世代」をベースに、彼らに支持される陽気なアプリやダークなカルチャー、その背景を考察したいと思います。(文=辰巳JUNK)
【写真】米ティーンのカリスマといえば?
■TikTok流行!スターが続々登場
TikTokのイメージ
アメリカのティーンのあいだで人気のアプリはTikTok! 日本でもおなじみですが、ショート・ビデオ特化ということで、Instagramよりもアクティブでユーモア重視なコミュニティになっています。
スターになるTikTokユーザーも続々出てきています。たとえば、2019年12月当時、同サービスで750万人ものフォロワーを抱えていたノエン・ユーバンクスは、フランスのラグジュアリー・ブランド「Celine」のキャンペーンに起用されました。さらに、無名ラッパーだったリル・ナズ・エックスによる楽曲「Old Town Road」は、TikTokバイラルをきっかけに大人気となり、数々の歴代記録を塗り替える年間最大ヒットに輝いています。
■一方でダークなコンテンツも人気
陽気でユーモアラスなTikTokスターが輝く一方、アメリカのZ世代のあいだでは、ダークなコンテンツも人気に。たとえば、『スパイダーマン』シリーズでおなじみの女優ゼンデイヤや主演したティーン・ドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』では、マッチング・アプリによる危ない出逢いや、ソーシャルメディアでのバッシング、プライベート写真流出などの問題がダークに描かれています。現実世界でも同様の危険に晒されるアメリカのZ世代のあいだでは、限られた人々のあいだでのみ交流する「ダーク・ソーシャル」なメッセンジャーや「Whisper」などの匿名アプリがトレンドのよう。
ビッグサイズを着こなすビリー・アイリッシュ (C)AFLO
2001年生まれにしてグラミー賞を征したティーン歌手ビリー・アイリッシュも、ダークな作風で共感を集めるカリスマ的存在になっています。たとえば、トレードマークとなっているビッグサイズなファッション・スタイルは「他人から体型についてとやかく言われないため」の防御壁でもあるそう。容姿批判コメントも少なくないInstagramなどで写真をアップする際、真似しやすいクールなライフハックかもしれません。
次ページ:若者の自殺率は過去20年で最高レベル