TikTok流行から自殺率増加まで トレンドから読み解く“米ティーンの光と影”

特集・レポート
2020年3月18日 10:00

■自殺率、なぜ増加?

15歳~24歳間の自殺率は過去20年で最高レベル ※画像はイメージ
 『ユーフォリア』やビリー・アイリッシュなど、ときに希死念慮も描くダークなポピュラー・カルチャーが人気を博しているため、アメリカのZ世代は「暗い世代」とも例えられます。このことには、社会が抱える暗い側面も関係しているかもしれません。アメリカにおける15歳~24歳間の自殺率は、過去10年で約50%もの増加を記録しています。その数は、過去20年で最高レベルだとか……。

 ひとつの理由として、ソーシャルメディアのメンタルヘルスへの影響も懸念されているよう。ほかにも、アメリカでは、学校での銃乱射事件など、若者たちを不安につつむ問題がさかんに報道されています。とくに注目が大きいイシューは環境問題。自分たちが大人になるころには世界が滅びてしまう……そんな不安を表明する声もあがっています。ニューヨークやワシントンでは、スウェーデンの活動家グレタ・トゥーンベリのように気候変動ストライキに参加するティーンエイジャーも少なくありません。

ビリー・アイリッシュ「all the good girls go to hell」


 ビーガンであるビリー・アイリッシュもこの問題には熱心に取り組んでいて、カリフォルニアの山火事などをつづった楽曲「all the good girls go to hell」もリリースしています。ミュージック・ビデオは翼のはえたビリーが黒いヘドロにまみれながら苦しそうに歩く内容。これは、タール油の流出によって汚染されてしまった動物たちを表していると推測されています。「スターバックス」が全世界での「プラスチック・ストロー全廃」を決定するなどしているので、日本でも環境問題の意識が上がっていくかもしれません。

■でも、ドラッグ使用率は低下してる

『ユーフォリア/EUPHORIA』より 写真提供:AFLO
 「暗い世代」イメージが強いZ世代を「真面目な世代」とする専門家もいます。The New York Timesによると、今現在のティーンエイジャーは、親世代より飲酒量やハード・ドラッグ使用率、さらには高校中退率と犯罪率も低く、全体的には真面目で慎重な傾向にあるそう。オンライン・ポルノ普及もあってか、ヴァージンの率も上がった結果、社会問題だった早期妊娠も減少。同記事では、自殺率や処方箋薬オーバードーズなど深刻な問題もあるとしつつ「全体的には思春期はかつてないほど安全な環境にある」とつづられています。

 日本から遠く離れたアメリカのティーンエイジャー事情ですが、共感できるところはあったでしょうか。ソーシャルメディアを通して彼らとコミュニケーションするのも面白いかもしれません。

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リル・ナズ・エックス「Old Town Road」
ビリー・アイリッシュ「all the good girls go to hell」

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辰巳JUNK(ライター)

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