映画&音楽愛がグッと深まる! 読書ニガテでもサクっと読めちゃう“イチオシ本”
■怒涛の2010年代を総括!
バカな言い方をすると「頭良くなった〜!」と思えるのが『2010s』(新潮社)。今年の1月に発売された本書は、映画・音楽ジャーナリストの宇野維正氏と、音楽評論家の田中宗一郎が、2010年代のポップカルチャーを総括するという内容です。
『2010s』(新潮社)
先程述べた日本におけるエンターテインメントのガラパゴス化を、憂うようなものではありません。この10年間の音楽や映像作品を、消費するための孤立した商品としてではなく、1つ1つを繋いで線を描き、あらたな視点から見つめるのが本書です。この先のエンターテインメントを考える上で、非常に示唆に富んだ一冊となっています。
もともとB級扱いだったヒーロー映画が市民権を得るまでや、世界と日本における音楽環境のねじれなど、身近にあるポップカルチャーを、ありとあらゆる方面から、つっつきます。初めから読まないとわからない部分もあるものの、マーベル・シネマティック・ユニバース好きならMCUの章から、音楽好きならレディー・ガガやラップミュージックに関する章からと、こちらも自分の好きなカルチャーから掘り下げていける構成となっています。
とはいえ、2020年に入り、いきなり新型コロナウイルス「COVID-19」の流行が起きてしまい、音楽や映画などエンターテインメントを取り巻く状況が、がらりと変わりました。そこから先を知りたい人は、本書とともに、Spotify配信の雑談形式ポッドキャスト「POP LIFE:The Podcast」を聞くことをオススメします。モデルの三原勇希と、田中氏がホストを務める本番組には、宇野氏もたびたびゲスト出演。活字から、耳からと、様々な角度から知識を深めることで、映画や音楽を、単なる娯楽ではなく、芸術や仕事に昇華させることができるはずです。
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