映画&音楽愛がグッと深まる! 読書ニガテでもサクっと読めちゃう“イチオシ本”
■「あったらいいな!」が詰まってる
『USムービー・ホットサンド 2010年代アメリカ映画ガイド』(フィルムアート社)
とにかく映画好きには堪らない“あったらいいな”が詰まっているのが『USムービー・ホットサンド 2010年代アメリカ映画ガイド』(フィルムアート社)。こちらも2010年代を振り返る内容ですが、可愛らしいイラストや、「そんな角度から!」と感動を覚えるようなユニークで楽しい企画で、映画を紹介しています。
映画から見るアメリカの高校生の1年の過ごし方や、犯罪者(を演じた俳優)名鑑、2010年代の開拓・新鋭・巨匠監督など、“おいしい具”たちが、これでもかとサンドされています。『グリーンブック』や『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』など旅する映画では、アメリカをどう横断したか地図付きで解説するなんて、すごい力量です。
こんな根気のいる仕事が、何ページにもわたって繰り広げられるのが本書。新しい作品に出会うのはもちろん、過去に見たはずの作品まで見返したくなる映画への愛がぎゅぎゅぎゅっと詰まった一冊です。
■何年も大切に保管したくなる一冊
『“I HOPE THAT PEOPLE WILL FEEL UNSETTLED.”(みんなが不安になってくれるといいな)』(映画パンフは宇宙だ(PATU BigBang!))
黒く怪しげで、知らない人から見れば“アブナイ本”にも見える『“I HOPE THAT PEOPLE WILL FEEL UNSETTLED.”(みんなが不安になってくれるといいな)』(映画パンフは宇宙だ(PATU BigBang!))。これは、『へレディタリー/継承』や『ミッドサマー』で知られるアリ・アスター監督の過去の短編を徹底解説した冊子です。
実は、彼の過去の短編は、Vimeoで無料公開されており、誰でも見ることが可能。しかし、日本語字幕がないため、英語が苦手な人は、100%楽しむことができません。
そこで役立つのが本書。短編8本分のあらすじと、聴き起こしの脚本が、英語と日本語の両方で書かれ、さらに精神科医の斎藤学氏や、非建築家・美術家・ドラァグクイーンのヴィヴィアン佐藤氏らによるコラムも掲載されています。
作ったのは、映画パンフレット好きが集まり、魅力を紹介する自主団体「映画パンフは宇宙だ」ともあり、フォントやレイアウト、紙の質までこだわりを感じるオシャレなデザインなのも特徴です。その出来には、アスター本人も「丁寧な作り込みと、上品なスタイルにはたいへん感動しました」と絶賛するほど。内容はもちろん、作り手のこだわりまで感じられ、何年も大切に保管したい仕上がりです。