『恋あた』は“男性陣の動揺”を楽しむドラマ!? 中村倫也&仲野太賀の繊細な演技に釘付け

特集・レポート
2020年10月28日 15:00

■注目すべきは“男性陣の動揺”?

 先程、“声色が少し溶ける”と書いたが、実はこのドラマ、恋の矢印が複数あるゆえか、“男性陣の動揺”も魅力の1つなのではないかと思える。

樹木には、余裕しゃくしゃくな浅羽 (C)TBS
 例えば、浅羽が樹木と話す時は、常に自信に満ち溢れていて、また余裕もある。第1話、第2話と連続して、樹木がピンチのときに寄り添ってくれる浅羽は、ラブストーリーの王道なヒーロー像と言えるだろう。

 しかし、これだけで終わらないのが『恋あた』。浅羽と北川が二人きりになった際、北川がいきなり浅羽の手を握るシーンがあった。その時の浅羽は、鳩が豆鉄砲を食ったような表情に一転し、キョロキョロと目が泳ぎ、明らかな動揺を見せる。「もう何も感じないね」。あまりにも強気な北川に、浅羽は返す言葉すら出てこない。

 全体的にポジティブで明るい本作の中に、ブレンドされる浅羽と北川のムーディーな関係は、スイーツをグッと大人の味に変える数滴の洋酒のよう。謎多き社長の顔と、北川にタジタジなプライベートの顔。この繊細な演じ分けには、中村の手腕を感じずにはいられない。

■新谷の切ない恋にも心打たれる

共に作業をする新谷&樹木 (C)TBS
 それから、中村のみならず、仲野の細かな仕草にも釘付けにさせられる。仲野演じる新谷は、第1話から、樹木への気持ちが透けて見える、感情丸出しの男だ。しかも、樹木は新谷には、スキンシップ多めで接してくるのもあり、新谷の心も樹木でいっぱい。樹木は、第2話で、酔っ払って、タクシーの中で、新谷の上に乗るという大胆な行動にも出る。もちろん樹木にはアプローチの気はなく、同情すら覚えるほど彼女の行動は、かなり“あざとい”。

あと一歩のところで、いつも樹木に届かない (C)TBS
 しかし、この男の運命なのか、あと一歩のところで、いつも樹木に届かない。樹木がケガをしたシーンでは北川に先を越され、樹木が工房で眠ってしまった時は、毛布を取りに行くも、タッチの差で浅羽がジャケットを肩にかけていた。選考に通らず、公園で泣いていた樹木を先に見つけたのも浅羽。そのたびに新谷は、スッと感情をなくしたような顔になる。

 仲野といえば、現在放送中のドラマ『あのコの夢を見たんです。』(テレビ東京系)では、南海キャンディーズの山里亮太のクセのある妄想を再現し、『今日から俺は!!』シリーズでは、三橋貴志(賀来賢人)にハメられる今井勝俊を演じるなど、これまで、一言では語れない難しい背景を持ったキャラクターやハイテンションな役柄を務めることが多かったように思う。そんな彼が、今回の真っ直ぐなラブストーリーに挑む姿は、非常に新鮮で、樹木と二人きりで作業を挑む場面では、思わずドキドキするような“二枚目”の一面も見せる。

コメディ要素も魅力 (C)TBS
 徹底的なリサーチの上で作られた丁寧な脚本や、自己肯定力の低い樹木が社会に認められていくさま、コンビニの愉快な仲間たちによるコメディ要素など、本作には様々な魅力があるが、実は脇役である男性陣の恋模様も、縁の下の力持ちとなっているのではないだろうか。

 さて、第3話の予告編では、「お待たせしました。恋の四角関係、始まります」と楽しみなワードが出現。商品化を目指し、社内の絆は深まりそうな雰囲気だが、恋の糸は複雑に絡み合う予感でいっぱい。メインストーリーはもちろん、浅羽と新谷の心の揺らぎも楽しみの1つになりそうだ。

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