『恋あた』注目すべきは“四人の視線” 中村倫也×石橋静河のシーンが切なく映るワケ

特集・レポート
2020年11月10日 18:00

■積み重ねが生きる浅羽と新谷のシーン

 この各シーンでの小さな積み重ねが、ここぞというシーンで、心が張り裂けけそうな哀愁を生む。里保の作り笑いに気づいた浅羽は、彼女を追いかけ、後ろから静かに里保の背中をじっと見つめた。「びっくりした〜」と振り返った里保の目を見て、浅羽はまっすぐこう言った。「笑わなくていい。無理して笑うな」。里保が最も欲していた言葉だ。

サビと同時に現れた浅羽 (C)TBS
 「じゃあなんて呼べばいい?」「北川さんでしょ」。第2話でそう言われていたのに、浅羽は、心の隙間を埋めるかのごとく、「里保」と名前呼びもする。これまで、緊張や気まずさから、なんとなく入っていた体中の力が抜け、ずっと交わらなかった二人の視線と心が、ここでようやく重なった。浅羽が「silent」のサビと同時に現れる“ズルい演出”には、多くの視聴者が心を奪われたことだろう。二人が抱き合うことに“正しさ”があるからこそ、居合わせた樹木の疎外感も増す。

樹木&新谷も視線に特徴が (C)TBS
 さらに、視線を使った演出はこれだけではない。樹木と新谷のすれ違いも、視線を使って巧みに表現されている。コンビニの仲間たちと新谷で焼きそばパーティーをした際、樹木と新谷は買い出しにでかけた。横断歩道で横並びに立ち止まって話すも、樹木をよく見る新谷に対して、樹木はほとんど道路の方を向いて話す。好き避けや視界に入れたくないほどの嫌悪感とはまた違い、樹木の中に「新谷を見つめたい」という気持ちがないのを、悲しいかな感じてしまうシーンだった。

浅羽を見つめる樹木 (C)TBS
 樹木と新谷は目を合わせないというわけではない。「リラックシュ~」発売を迎え、樹木と新谷がエゴサーチする場面は、顔を合わせ、「二人で作った最初の1個は忘れない」という熱い想いを語り合う。でも一瞬だけ、樹木が、浅羽に渡す紙袋を見るショットが挟まれる。たとえ新谷といても、樹木が求めるのは浅羽の影。われわれ視聴者は、この一方通行を知るからこそ、浅羽に会いに行く樹木を見送る新谷の瞳に、心を痛めるのだ。

■「直視できない」第4話へ

 繊細な視線の演出が光った第3話。偶然か、公式サイトの第4話のあらすじには、浅羽と里保の一件を見てしまった樹木は、社長室に呼び出されるも「浅羽を"直視できない”」と記されている。第4話で四人はどんな景色を見るのだろうか。この先の展開からも、目が離せない。

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