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『silent』泣かずにはいられないシーン3選

エンタメ

ドラマ『silent』第7話より
ドラマ『silent』第7話より(C)フジテレビ

 「1週お休み!?」と、第7話ラストで告知が入るや思わず悲鳴の飛び交った、ハマる人続出のラブストーリー『silent』(フジテレビ系/毎週木曜22時)。川口春奈主演、目黒蓮共演による、高校時代に出会い、本気で好きになりながらも別れることになったふたりが、再び出会ったことから始まる物語なのだが、毎話、毎話、川口演じる青羽紬と目黒演じる佐倉想の描写に留まらず、周囲のキャラクターの思いも丁寧にすくい取り、観る者の琴線に触れまくっている。そこで、演者の芝居、脚本と演出、スタッフ一丸となって作り上げられた、泣かずにいられないシーンを厳選して振り返りたい。

【写真】泣かずにはいられない『silent』第1話のクライマックスシーン 想(目黒蓮)が紬(川口春奈)に手話で「うるさい」

■まったく同じ言葉でも…「うるさい」が放つ真逆の温度<第1話>

 第1話のはじまりは、高校時代の紬と想の登校シーン。静かで美しい雪の朝だった。想と一緒の紬は、とにかくキラキラしていた。彼女の目に映る世界もキラキラしていたのだろう。「静かだね。雪降ると静かだね」とはしゃぎながら話しかける紬に、「うるさい。青羽の声、うるさい」と想が言う。優しい笑顔を向けながら。紬が「佐倉くん、静かだね!」とさらに大きな声で返す。笑い合うふたり。かけがえのない時間が優しく流れていた。

 だが高校卒業後、聴力を失い始めた想は、一方的に別れを告げる。高校時代のサッカー部の顧問だった古賀(山崎樹範)とは、卒業後もLINEのやりとりが続いていたが、久しぶりの古賀からの「最近どう?」のメッセージに、想は「静かです」と返事を入れるのだった。

 1話ラスト。思わぬ再会に立ち去ろうとする想を追いかけ、「佐倉くん!」と懸命に話す紬に、想は「声で話しかけないで」と涙ながらに手話で思いをぶつける。そして引きとめる紬に放ったのが「うるさい。お前の声、うるさいよ!」の言葉だった。紬は想の耳が聞こえていないこと、自分を拒絶していることを知る。まったく同じ言葉なのに、想の苦しみが爆発した「うるさい」が突き刺さった。

■紬と湊斗、電話での別れ “100均のヘアピン”と“ハンバーグ”<第5話>

 3年前の同窓会で再会した紬と湊斗(鈴鹿央士)。仕事で心身を壊し、食事もままならなかった紬を湊斗が救い、やがてふたりは恋人同士になった。しかし、紬と想の再会に、紬、想、そしてふたり一緒の姿を見つめることが大好きだった湊斗は別れを決めた。湊斗の決断を受け入れた紬は、湊斗の家から自分の荷物を引き上げたが、ほどなく、湊斗から白いフワフワの付いた「髪留めを忘れてる」と電話が入る。

 ハンバーグを作っていたため、スマホをスピーカー状態にして話す紬の様子を、画面はとらえ続ける。湊斗の反応は「うん」を重ねる“声”のみだ。やっと湊斗が映ると、湊斗の頬にも涙が伝っていた。このシーンは別撮りではなく、川口と鈴鹿が実際にスマホ越しに演技をしたという。

 実は白いフワフワの付いた“100均のヘアピン”は、ふたりにとって思い出のアイテムであり、そのことをすっと伝える展開が切なさをダメ押しする。さらに5話のラスト。想と食事に行くことになった紬は、「何食べたい?」と聞かれ、「ハンバーグ以外」と答えるのだが、紬は、これから何度想と食事を重ねても、きっと“ハンバーグ”を選ぶことはない。それは湊斗との特別で大切な思い出の料理だから。

■決して叶わぬ夢 ショーウィンドウの青いハンドバッグ<第6話>

 紬と離れてからの8年間、想はずっと孤独だったわけではない。聴力を失っていく彼の不安や苦しみを聞き、明るく寄り添ってきたのが、生まれつきのろう者・奈々(夏帆)だった。奈々は、想と会うときに、リュックサックの背のチャックを閉め忘れたふりをする。最初に想が閉め直してくれたときの優しさに、何度でも触れたいから。奈々は、想が唯一ふたりきりで会う大事な友達だけれど、“友達”でしかない。それでもよかったはずだった。想が紬と再会するまでは。

 あるとき、奈々は夢を見る。ショーウィンドウに飾られていた、かわいらしい青いハンドバッグを片手に、想とスマホで話しながら落ち合う。音はないが、ふたりが楽しく声でおしゃべりしているのが伝わってくる。そして奈々と想は手をつなぐ。

 本作では、これまで幾度も“手をつなぐ”シーンが、恋人たちの日常として登場してきた。手話には片手手話もあるが(中途失聴者の想にはできない模様)、奈々は、憧れのハンドバッグを持ちながら、大好きな想と手をつなぎたかった。スマホで想の声を聞くことも、ハンドバッグを片手に想と手をつないでおしゃべりすることも、奈々には決して叶わぬ夢だ。想にとっての“大切な恋人”になることも。第6話もラストが刺さる。かかってくることなどないはずだった、想からの音声通話の着信に、スマホを耳にあてる奈々の姿に涙腺崩壊。

 いずれも丁寧な積み重ねがあるからこそ伝わってくるシーンばかりであり、作り手側の思いが体の奥深くまで入ってくる。(文:望月ふみ)

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