『KOC』新王者サルゴリラ 40年来の親友“2匹の魚”が泳ぎ続けたコント道
“コント日本一”を決める闘い『キングオブコント2023』(TBS系)が、10月21日に放送され、10組のコント師がしのぎを削った。審査員を苦悶させる接戦の末、新チャンピオンの栄光を勝ち取ったのは2016年結成のコンビ・サルゴリラ。フレッシュとはいえない2人の優勝までの道のりは、決して平たんではなかった。
【動画】パンサー向井、盟友・サルゴリラの優勝に男泣き
■同期には人気者 つかみかけたスターへの道
坊主で小太りのツッコミ・赤羽健壱と、あまり特徴のない中年男性のボケ・児玉智洋。『キングオブコント2023』では、1本目に風変わりなマジシャンのコント、2本目にはなんでも“魚”に例える野球部の監督のコントで笑いを取り、歴代最高得点となる合計964点を獲得。優勝という“魚”を見事手にした。
赤羽と児玉は幼稚園時代からの友達同士。サルゴリラ自体は結成7年だが、彼らは東京NSC(吉本興業のお笑い養成所)9期生で、同級生にはライスやしずる、ハリセンボンなど、ショーレースチャンピオンやお茶の間の人気者がそろう。芸歴は20年を超える立派なベテランだ。
彼らはずっと2人だったわけではない。NSCで出会った松橋周太呂と、トリオ「ジューシーズ」として2015年まで活動していた。当時からのお笑いファンの中には、サルゴリラ優勝後にSNSでパンサーの向井慧やジャングルポケットの太田博久が涙を流しながらその勝利を喜ぶ姿にもらい泣きした人も少なくないのでは。ジューシーズはトリオ時代、この2組と共に『333 トリオさん』(テレビ朝日系)という番組に5年間出演。若いファンから人気を集めていた。
■仲間の脱退に改名…それでも愛され続ける圧倒的な実力
その後2015年に松橋が脱退。ちなみに松橋は、日本テレビ系にて放送されていた『得する人損する人』の“家事えもん”としてその姿を知る人も多い。元相方の悲願達成に、X(旧ツイッター)で「心底嬉しいのでだまさんけんさん! 本当におめでとう! 人生で笑わせてもらった回数1位の2人です」と祝福を贈った。
パンサー向井と新王者との関係はトリオ時代だけではない。芥川賞作家でもあるピース又吉直樹と、向井・児玉はかつて同居していたことを明かしており、いまでも3人でラジオ番組『又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間』(NHKラジオ第1/毎週月曜21時50分)に出演。コンビを越えて息の合ったトークを展開していると評判だ。
そんな芸人仲間に愛され続けている実力者・サルゴリラのネタは、吉本興業の劇場で観ることができる。また、しずる、ライス、作家の中村元樹と組んでいる演劇ユニット「メトロンズ」の評価も高く、来年1月24日から開催が決定している次回公演『寝てるやつがいる』は、サルゴリラの優勝に後押しされすでに完売。過去公演は公式YouTubeでチェックできる。
紆余曲折を経て、決してあきらめずにコントに向き合い続けた2匹の“魚”、サルゴリラ。40代半ばの2人が、これから王者としてどんな泳ぎを見せてくれるのか、ますます目が離せない。