逢坂良太、アフレコに「正解はない」 時代・読者層に合わせて表現に変化も
――本作ではフェイトの相棒とも呼べる剣、グリード(関智一)が登場します。グリードは読心スキルを持っており、剣でありながらフェイトと会話することができますよね。
逢坂:グリードは人じゃない物体なので、絵的には表情が分からないんです。それゆえに、演じる関さんの表現で彼の見え方も変わります。逆にいえば、自由に表現ができるキャラクターでもあるということ。僕は台本のセリフをストレートに受け取って表現しがちなのですが、関さんはわりと独特な表現の仕方でセリフをしゃべるんです。そのセリフを受けての掛け合いがすごく楽しくて。「いま、芝居しているな」って感じるんです。毎週のアフレコが楽しみで仕方ありません。
グリード(関智一) (C)一色一凛/マイクロマガジン社/暴食のベルセルク製作委員会
――掛け合ってみて改めて感じる関さんのお芝居の魅力は?
逢坂:関さんは、今まで培ってきた経験があるからこそ出せる表現をされているんですよね。役者としてすごく勉強になります。
――逢坂さんも声優としてキャリアを積んできていますが、まだまだ現場で学ぶことはたくさんある。
逢坂:そりゃ、もう! 恐らく関さんでも毎日勉強だと思っていらっしゃるんじゃないかな。いろいろな方が言っていますが、この業界って正解はないんです。アフレコでOKが出たからと言って、それが正解だったとは言えないんですよ。もちろん正解に近いものではあると思いますが、10人中10人が正解と思うとは限らないじゃないですか。誰もが完璧だと思うことって、なかなかないと思います。それはお芝居でも、アニメの作り方においても。
――時代が進むと、視聴者層も変化していきます。それに伴って、正解に近い表現の仕方も変わるものなのでしょうか。
逢坂:セリフ回し的なものが変わってきたように感じていますね。以前は基本的に絵と会話劇で表現していましたが、最近はモノローグなどで世界観の説明をすることが増えた気がします。これは、視聴者の方があまり考えなくてもどんな世界なのかつかめるようにするためかもしれません。ただ、説明セリフが入り過ぎるとテンポが悪くなる恐れがあるんですよね。良かれと思ってやったことが、むしろ世界観を壊しかねない。
――なるほど。
逢坂:本作では説明セリフが多くはないので、視聴者の方がすんなり世界観に溶け込めるような気がしますね。