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玉山鉄二、長州・桂小五郎役に“会津人”として複雑…それでも演じる心

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『西郷どん』桂小五郎役の玉山鉄二
『西郷どん』桂小五郎役の玉山鉄二(C)NHK

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玉山鉄二

NHK大河ドラマ

 大河ドラマ『西郷どん』(NHK/毎週日曜20時ほか)で長州藩士・桂小五郎を演じる玉山鉄二。桂は西郷隆盛、大久保利通と共に維新三傑の一人と言われ、薩長同盟でも中心的役割を担う人物。「逃げの小五郎」の異名を持つ変装の達人でもあり、ドラマでは物乞いに変装して賭場に潜り込む姿も描かれた。「すごくクレバーな考え方を持った人」と桂を分析する玉山にとって、この役はどういう存在なのだろうか。共演者のエピソードと共に伺った。

【写真】前を見据える桂小五郎(玉山鉄二)

 「“逃げの小五郎”が町人や太鼓持ちなどの変装で表現されていて、面白い登場の仕方だなと思いました。物乞いの扮装をしたシーンでは岩倉具視(笑福亭鶴瓶)が開いた賭場場に吉之助(鈴木亮平)と大久保(瑛太)が訪ねてきて、その奥に僕が密かにいるという、後に日本を大きく動かす人間たちが“実は集まっていた”という場面に思わず身震いしましたね」

 薩長同盟までの流れを描く上で、薩摩と長州の対立模様は必須。「長州の薩摩に対する思いを表現できるのが僕しかいなかったので、そこはちょっと卑屈さが増してでも強めにやらないといけないなと思いました」と話す玉山だが、その演技に至るまでには、実は複雑な心情が渦巻いていたという。

 「今回、最初に桂小五郎役だと聞いた時は正直『あっ、そっちなんだ』と思ったんです。なぜなら僕は『八重の桜』(2013年放送の大河ドラマ)で会津側(会津藩士・山川浩)を演じていたので」

 『八重の桜』で描かれたのは幕末の戊辰戦争。薩摩藩と長州藩を中心とした明治新政府軍と会津藩ら徳川旧幕府軍との戦いで、主戦場は会津だった。結果は歴史が示す通り、明治新政府軍の勝利。会津の人々は長らく苦境を強いられることになった。

 「長州と会津の間柄はとても複雑で根が深い。今でも会津の方は長州を意識なさっている部分がありますし、もちろん逆もあると思います。朝敵としてすごくつらい思いをしてきたという部分では、どちらもある意味同じ道をたどっているのではないかとも考えられます」と玉山。

 「それでも多分、会津の人たちは、僕が桂で出てきたときに完全に“裏切り者”として見るだろうなとは思って躊躇しました。僕も頭の中の整理が難しいタイプ。今まで自分が積み上げてきた役に対しての責任感を大事にしたい方なので、もしかしたらこの役を僕は断っていたかもしれません」。

 それでも受けた理由は、今作のプロデューサーに以前、玉山が主演を務めた2014年の連続テレビ小説『マッサン』で一緒だったスタッフが関わっているから。

 「今でも街を歩いていたら『マッサンだ!』って言われるくらい、僕の中にも大きく残っている作品。巡り会えたことにとても感謝していますし、今回はその恩返しというか、4年経った僕の成長を見てほしかった。同じスタッフさんの依頼でなければ、桂のことを調べる気にもならなかったと思います」。

 そして「こういうことはきっと僕たち役者の宿命」と語る。「長州側の苦境やそれによる卑屈さや、さまざまなことを成し遂げる部分を、ほかでもない(会津藩士を演じた)僕がちゃんと見せれば見せるほど、きっと『八重の桜』を見てくださっていた方々の心にも、いい意味での“傷”を付け、癒やしにつなげることができるのではないかなと思っています」。

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