広瀬すず、“声フェチ”にも絶賛される女優力「もっとお芝居が楽しく」

昨年、NHK連続テレビ小説『なつぞら』でヒロインを経験したのち、野田秀樹の新作で初舞台を踏むなど、21歳にしてさらに大きな光を放つ存在となった女優・広瀬すず。「体力だけは自信があるんです」とポジティブなオーラを身にまとい、次々と新たなチャレンジを続けている。数々の名監督から愛される彼女。凛(りん)と響きながら、ときに憂いや艶も感じさせる“声”も大きな魅力だ。岩井俊二監督の最新作『ラストレター』も、それが存分に味わえる1作となっている。広瀬を直撃すると「声で表現が変わることを知って、もっとお芝居が楽しくなってきた」と心境を明かした。
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■「いつか出られたらと思っていた」憧れの岩井ワールドに参加
『Love Letter』(1995)や『スワロウテイル』(1996)などで熱い支持を集める岩井監督だが、広瀬も「岩井監督の映画が大好きなんです。完全、ドストライク」と大ファンだったそう。「もっとお芝居をやりたいと思ったり、明日もがんばろうと思わせてくれたりする作品が多くて。繊細な美しさ、儚(はかな)さの中に力強さもあって、ズキュンとくる。唯一無二の世界観」と熱弁。岩井監督が初めて自身の出身地である宮城を舞台にした『ラストレター』に出演が決まり、「いつか出られたらと思っていましたが、まさか本当に叶うなんて」と喜びをあふれさせる。
『ラストレター』は、手紙の行き違いをきっかけに始まった2つの世代の男女の恋愛と、それぞれの心の成長と再生を描く人間ドラマ。広瀬は、神木隆之介演じる鏡史郎が恋する女子高生の未咲と、未咲の面影を残す娘・鮎美の二役にトライした。憧れの岩井監督の現場は「“好きにやってみてください”という感じで。いい意味で、放置される」と楽しそうにニッコリ。「(共演の)森七菜ちゃんと花火をしたり、ご飯を食べたり。いつの間にか本番が始まっていて、本物の会話を捉えていただいたよう。そうやって“本物”が出てくるのが、岩井監督の現場の特徴だと思います」と岩井ワールドの秘密を語る。
初恋をめぐるドラマの鍵となるのが、未咲による卒業式の答辞だ。未咲が体育館で答辞を読み上げるシーンは心を揺さぶる場面となっているが、「とても感情的になってしまって、最初は泣きすぎてしまったんです。監督から“自然に、普通に読んだ方がいい”と言われて、そちらが使われています」という。広瀬のどこか憂いを帯びたような“声”がノスタルジーを引き寄せるようで、その声も、観客を岩井ワールドへと誘う大きな役割を担っている。
■初舞台で声の表現に開眼 “声フェチ”野田秀樹も絶賛
『なつぞら』で共演した草刈正雄が『土曜スタジオパーク』に出演した際、広瀬に対し「声がセクシー」と絶賛するなど、彼女の声のファンを公言する人も多い。しかし、当の本人は「自分の声って、もともとはあまり好きじゃなかったんです」と告白する。「高すぎるなと感じて、ちょっとでも喉がつぶれてハスキーにならないかなと、毎日のように一人でカラオケに行って、4、5時間歌っていたことがあります(笑)。でも周囲からは声を褒めてもらうことも多くて、うれしいですね。声質って、よくも悪くもその人だけのもので、変えることができないものだから」。
昨年、演劇界を代表する鬼才・野田秀樹のもとで挑戦した初舞台『Q:A Night At The Kabuki』では、声の表現の面白さを一層、感じたという。「声で表現に変化をつけていたら、どんどん楽しくなってしまって。野田さんにも“ここの声はこうした方がいい”など、声についてたくさん指導していただきました。声の表現についてインプットできたので、映像のお仕事でもアウトプットしてみたい。早くいろいろやってみたいです! それこそ岩井監督のように淡い世界観を持つ作品では、繊細な声の表現もとても大事になると思います」と前のめりで打ち明けるが、野田からも「声がいい」とお褒めの言葉があったのだとか。
「野田さんは、ご自身でも“声フェチ部長”と言っていて(笑)。野田さんの舞台には、松たか子さんや宮沢りえさん、深津絵里さんなど、声がステキな女優さんが出られていて、周りからも“野田さんの舞台は、声がいい役者さんが多い”と聞きます。そんな野田さんにお声がけいただいて、本当にうれしかったです」。