「これは間違いなく死の映画」親子3代の物語『はだかのゆめ』黒沢清監督のコメント到着
甫木元空監督の映画『はだかのゆめ』が、第35回東京国際映画祭Nippon Cinema Now部門に正式出品されることが決定し、本ポスタービジュアルと、黒沢清監督からのコメント入り予告編が公開された。
【動画】息子を思う母、母を思う息子、そして祖父――『はだかのゆめ』予告編
本作の舞台は四国山脈に囲まれた高知県。四万十川のほとりに暮らす一家、息子のノロ、母、祖父の親子3代にわたる時間と、その時間の境界線を飛び越えた触れ合いの、そしてそれでも触れることのできない残酷な距離の物語を描く。
5年ほど前より自身のルーツのある高知県に移住した甫木元監督。そこで祖父と、闘病中の母と共に暮らす中で、何気ない二人の言葉を書き留めたものを恩師である青山真治監督に送るという作業を繰り返していた。当初は小説としてまとめていたその文章から、自分の中で残ったものを再抽出し、シナリオ化したものが本作の始まりだった。
主人公ノロを演じるのは青木柚。そして甫木元監督が黒沢清監督の『大いなる幻影』のたたずまいを意識して本作への出演をオファーしたという唯野未歩子が、ノロの母役を務めている。
劇中で謎めいた酔っぱらいの”おんちゃん”を演じるのは、ミュージシャンの前野健太。また、甫木元監督の実の祖父が”じい”役として出演。脚本にも実際に祖父から聞いたという話がちりばめられており、この物語に欠かせない存在感を放っている。
撮影は2021年10月に行われた。
本ポスタービジュアルは、部屋の中で机に向かうノロの場面写真を使用。「いつか夢にくらい顔をだしてくれたら」というコピーが添えられている。
予告編は、3月に亡くなった青山真治監督から、かつて甫木元監督に贈られた言葉「日本映画に現れた、甫木元空という『最後の映画作家』」と、黒沢清監督から新たに届いた「突如ぷわーんと走ってくる列車に戦慄する。唯野未歩子がサラッと口にする言葉がものすごい。ホラーではないが、これは間違いなく死の映画だ」とのコメントから始まる。ノロの「生きてるものが死んでいて、死んでるものが生きてるような」という印象的なセリフとともに、日々の営みを切り取っている。
映画『はだかのゆめ』は、11月25日より全国順次公開。