白石和彌監督「とにかく凄まじいものを見た」 命を奪った側×奪われた側の緊迫感に満ちた対話を収録『対峙』本予告
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銃乱射事件の被害者家族と加害者家族による緊迫の対話を描く映画『対峙』より、冒頭に白石和彌監督によるコメントを収録した日本版予告編が解禁された。
【動画】映画『対峙』日本版予告編
高校銃乱射事件でともに息子を失った被害者と加害者の両親の再会を描いた本作は、ほぼ全編にわたって主要キャスト4人よる密室の会話劇というチャレンジングな設定ながら、英国アカデミー賞をはじめ各国の映画賞81部門でノミネート、釜山国際映画祭フラッシュフォワード部門観客賞をはじめ各国の映画賞43部門で受賞。Rotten Tomatoesでは、批評家95%・観客90%FRESH(1月11日時点)という最高級の評価を獲得している。
米国のある高校で生徒による銃乱射事件が発生し、多くの同級生が死亡。犯人の少年もそのまま校内で自ら命を絶った。それから6年、事件で息子を殺された“被害者”の両親と、事件を起こした“加害者”の両親が、セラピストの勧めで対面することになる―。
監督を務めるのは、映画『キャビン』やテレビシリーズ『ドールハウス』などで知られる俳優出身のフラン・クランツ。初監督・初脚本作品とは思えない緻密な脚本と演出により、密室4人の限られた設定ながら、どんなスリラーにも勝る衝撃的なほどの緊迫感に満ちた物語に仕上げている。
今回、苛立ちと慟哭の対話の様子を捉えた日本版予告編が解禁された。映像は、加害者の母親リンダ(アン・ダウド)が、今にも泣き出しそうな表情で「私は人殺しを育てた」と告げる場面から幕を開ける。カウンセラーの仲介により対面を果たし、ぎこちなく会話を始めた4人だったが、被害者の父親ジェイ(ジェイソン・アイザックス)は怒りを爆発させ、加害者の父親リチャード(リード・バーニー)は息子の苦しみを淡々と語るなど、緊迫の対話が繰り広げられる。
映画本編全体の約7割を占める4人による対話のシーンの中に、回想シーンなどの映画的手法は一切ない。監督・脚本のフランによると、この人生をかけた会話の全てがスクリーン上にリアルタイムで展開していく構成にしたかったという。命を奪った側と奪われた側という立場に留まらず、それぞれの想いや事件が人生に与えた影響をも感じさせる臨場感あふれる映像となっている。
また、予告編の冒頭では、本作を絶賛する白石和彌監督による「とにかく凄まじいものを見た。多くの悲しみと憎悪の溢れる世の中に、静かな光を差し込む映画です」とのコメントが紹介されている。
映画『対峙』は、2月10日より全国公開。