関係者が語る『ツイステ』アニメ化と世界展開の裏側 大切にしたのは「日本らしさ」
2020年に配信を開始した大ヒットスマートフォン向けゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』のアニメーション化プロジェクトとして、『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』が、10月29日から「ディズニープラス」で独占配信されている。今回シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」の配信開始を記念し、ウォルト・ディズニー・ジャパンで日本発のオリジナル作品を手掛けるエグゼクティブ・ディレクター、ローカル・コンテンツ担当の成田岳と、 国内で多彩なゲームを打ち出すディレクター、ゲームスのガド菜々が、日本発の人気ゲームがアニメーション化され世界中にファンを広げるシリーズ展開への取り組みや、ディズニーにおける日本のローカルコンテンツ戦略について語った。
【写真】“真紅の暴君”リドルの孤独と苦悩を映し出す アニメ『ツイステ』本PV
■『ツイステ』誕生の裏にあった挑戦と出会い
「『ツイステ』は、ディズニーとしてこれまでにない新しい挑戦の積み重ねにより誕生した企画でした」とガドは語る。
ディズニーのゲーム部門では、ファンが求めるものや喜んでくれることを常に探求し、『キングダム ハーツ』シリーズや『LINE:ディズニー ツムツム』など、日本の優秀なクリエイター陣とのタッグにより、日本ならではのコンテンツ制作に挑戦し続けてきた。
ディズニーらしさと日本らしさを融合させたこれらの作品は、長く愛され続けるフランチャイズへと成長し、今もなおファン層の拡大を見せている。ガドは『ツイステ』を、その最たるものであると語る。
「日本的な表現を活かしつつも、新たなターゲット層、特に女性の琴線に触れるようなジャンルのゲームをつくることはディズニーとして初めての試みでしたし、どうやったらディズニーらしさが出せるかということに常に心を砕いてきました。『ツイステ』では、その領域を熟知するアニプレックスと、元々ディズニーのファンでいらした漫画家の枢やな先生とのパートナーシップにより、それぞれの強みが活かされた素晴らしいコンテンツが完成しました」
アニメ『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」 (C)2025 DISNEY ENTERPRISES, INC. ディズニープラスで独占配信中
こうして開発された本作の内容は、異世界の魔法士養成学校を舞台に、ディズニー作品に登場するヴィランズ<悪役たち>にインスパイアされたキャラクターたちが活躍するというもの。ディズニーだからこそ実現できた設定に日本的なアニメーションスタイルを融合した、全く新しい世界観は熱烈なファンを生み、今回のアニメーション化にも大きな注目が集まっている。
■ディズニーならではのタッチポイントの提供
ディズニーの中心概念である世界最高水準の優れた物語を世界中の人々に届けること、すなわちストーリーテリングへの取り組みは、不朽のグローバルフランチャイズの数々を生み出してきた。
映画で体験した物語の世界観を日常でも楽しめるグッズや書籍、さらなる感動を味わえるコンサート、パークでの体験など、ファンの生活のなかのさまざまなタッチポイントで体験や商品を提供し、人々を魅力的な物語の世界へと誘う。これを“ディズニーのエコシステム”と呼び、グローバルで同じ戦略を掲げている。
『ツイステ』においても、ゲームの物語を起点に、コミカライズやライブイベント、ディズニーアーティストによる描き下ろしアートの商品化など、ディズニーにしかできないタッチポイントの提供を通じて、物語の世界を体験できる機会をファンにさまざまな形で提供してきた。
満を持して実現した今回のアニメーション化プロジェクトでは、この熱気が世界のファンにも届けられるべく、ディズニープラスによる独占配信を通じて、150以上の国と地域へ約30言語で届けられている。
ガド菜々(ウォルト・ディズニー・ジャパン ディレクター、ゲームス) (C)Disney
ガドは、アニメーションという新たなタッチポイントの登場が、原作ゲームにもたらすシナジーについて次のように語る。
「すでにゲームファンでいてくださっている皆様には、アニメーションならではの表現を通してゲーム内では体験できなかったダイナミックな作品世界を改めて新鮮な気持ちで追体験してもらうことで、『ツイステ』をますます好きになっていただきたいです。一方で、ディズニー・ファンやアニメ好きの方たちには、アニメーションでツイステの魅力に触れた時に『ゲームもやってみようかな』と思っていただけるような、そうしたディズニーならではのエコシステムの循環が期待できると思っています」
■日本発のグローバルフランチャイズ戦略の原点は「ローカル発想」
こうしたグローバル展開でこそ鍵となるのは、ローカルに根ざした作品づくりであると成田は話す。
「私たちは、作品を通じて視聴者にスペシャルな体験をしてもらいたいという強い思いを持って作品づくりに努めていますが、世界基準に当てはめて考えるのではなく、日本独自の価値観や表現方法など、私たちが真に面白いと思っていることを突き詰めていけば世界でも必ず受け入れられるし、面白いと思ってもらえる作品が届けられると思っています。今回のアニメーション化では、日本発世界水準の優れた物語をさらに多くの方に届けたいという強い思いが結実した結果です」
成田岳(ウォルト・ディズニー・ジャパン エグゼクティブ・ディレクター、ローカル・コンテンツ担当) (C)Disney
『ツイステ』で描かれている世界観は日本人ならではの感性やオリジナリティが光っていると成田。
「ヴィランズをテーマとした時、一般的な発想であればヴィランズたちが主役の物語が生まれると思いますが、『ツイステ』では、インスパイア元の物語を“ツイステッド”した全くの別世界が展開されています。国境や時代を超えて共感できるディズニーの普遍的な物語をベースに、ローカル発想を取り入れた新しい世界が国内外の多様なファンが楽しめるかたちで提供できるのも、100年以上の歴史と共に新しい挑戦を続けてきたディズニーだからできることだと思います」
日本独自の発想を活かし挑戦していく柔軟性や、日本のローカルコミュニティとの緊密なパートナーシップにより、ファンが求め、世界に通用する物語を提供し続ける。こうしたローカルに根ざした作品づくりも、ディズニーならではのグローバルフランチャイズ戦略の重要な鍵になる。
■「ディズニーならでは」への終わりなき挑戦
現在こうしたローカルコンテンツの世界配信を着々と進めている「ディズニープラス」では、日本のアニメを重要なカテゴリーとして位置付けている、と成田は続ける。
「ディズニーは100年の歴史を持つアニメーションカンパニーですが、日本のアニメはディズニープラスにおけるコアな戦略の一つです。『ツイステ』のような自社の大ヒットゲームを日本発のアニメーション作品として世界へ届けることができるのは、まさにディズニーならではの強さだと思っています。今回のアニメーション化で、ディズニーの比類なきストーリーテリングと日本のアニメーションが掛け合わさった時、世界中の皆さんをどのような冒険に連れて行けるのか…考えるだけでワクワクしますし、その役割を担えることが嬉しいです」
今後も日本ならではの発想に根ざしたディズニーのローカルコンテンツのグローバル展開に向けた挑戦は、ゲームやアニメーションにとどまらず、映画やドラマ、バラエティ番組などといった様々な領域で、長期的かつ多角的に続いていき、アジア発のフランチャイズ展開を長期的に進めていくとのこと。
『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』を巡る作品展開は、こうした流れの中にあり、一種のマイルストーン的存在となっていくことだろう。
アニメ『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』は、10月29日から毎週水曜日に1話ずつ「ディズニープラス」で独占配信(全8話)。

