<アカデミー賞>現代のノマド=遊牧民の生きざまを描く『ノマドランド』が作品賞

日本時間26日、第93回アカデミー賞授賞式がアメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅にて開催され、〈現代のノマド=遊牧民〉として、季節労働の現場を渡り歩く車上生活者の交流を描いたクロエ・ジャオ監督による『ノマドランド』が作品賞に輝いた。アジア人女性監督作が監督賞と作品賞を同時受賞するのは初となる。また、作品賞に女性監督作が輝くのは、キャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』(2009)以来、2回目。
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気鋭のジャーナリスト、ジェシカ・ブルーダーが、数百人のノマドを取材して書き上げたノンフィクション『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』(春秋社刊)を原作に、『ザ・ライダー』で高く評価された新鋭クロエ・ジャオ監督がメガホンを取った。
主演は『スリー・ビルボード』で2度目のオスカーを受賞した女優フランシス・マクドーマンド。ベネチア国際映画祭の金獅子賞と、トロント国際映画祭の観客賞を受賞。ゴールデン・グローブ賞では、作品賞と監督賞を受賞した。
監督兼製作を務めたクロエは、今回監督賞に続く作品賞受賞の快挙。クロエは、「プロデューサーのピーター・スピアーズ、モリー・アッシャー、ダン・ジャンヴィー、そしてフランシス・マクドーマンドを代表し、アカデミーに御礼を申し上げます。そして、他のノミニーたちにも感謝します。多くの人たちのおかげで、この作品はできました。サーチライト・ピクチャーズ、素晴らしい本を書いてくれたジェシカ・ブルーダー(原作者)、撮影のジョシュア・ジェームズ・リチャーズ、(本人役で登場したノマドの)リンダ・メイ、スワンキー、ボブ・ウェルズ、そしてノマドのコミュニティ。私たちが出会ったすべての方に感謝します。忍耐強さ、希望、真実の優しさとは何かを見せてくださったみなさま、本当にありがとうございます」と深い感謝を述べた。
続いて主演のフランシスは、「ぜひ大型の映画館で、私たちの映画を観てください。仲間を連れて、隣に人がいる場所で、この映画を観てください」とメッセージを伝えると、「ウルフにこの映画を捧げます」と狼の遠吠えの鳴きマネを豪快に披露し、スピーチを締めくくった。
<第93回アカデミー賞作品賞:候補一覧(★が受賞作品)>
『ファーザー』
『Judas and the Black Messiah(原題)』
『Mank/マンク』
『ミナリ』
★『ノマドランド』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『シカゴ 7 裁判』