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主演ロマコメが異例のヒット! 今最も注目すべき俳優、グレン・パウエルの魅力に迫る 【ハリウッド最前線「第4回」】

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『トップガン マーヴェリック』でハングマンを演じたグレン・パウエル(2024年撮影)
『トップガン マーヴェリック』でハングマンを演じたグレン・パウエル(2024年撮影) (C)AFLO

 米ロサンゼルスを拠点に様々なメディアで活動している映画ジャーナリスト・猿渡由紀さんの連載がクランクイン!でスタート。第4回は、映画『トップガン マーヴェリック』でハングマンを演じ日本でも人気急上昇中のグレン・パウエルにフォーカスしたコラムをお届けします。

■ 乗り気ではなかったハングマン役で大ブレイク!

 『トップガン マーヴェリック』(2022)でハングマンを演じたグレン・パウエルが、勢いに乗っている。

 今月日本公開される主演映画『恋するプリテンダー』(2023)は、すでに全世界で2億ドル以上を売り上げた大ヒット作。この成功は、大きく儲からないからと決めつけ、近年ロマンチックコメディを敬遠してきたハリウッドのメジャースタジオを驚かせることになった。

 来月アメリカで配信開始されるリチャード・リンクレイター監督の『Hit Man』(2023/日本は劇場公開の予定)では、主演のほか、脚本、プロデューサーも兼任。こちらは昨年のヴェネツィア映画祭でお披露目された話題作だ。さらに夏には超大作『ツイスターズ』(2024)が控える。現在は、マーガレット・クアリー、エド・ハリスと共演するスリラー映画『Huntington』、Netflixのコメディ映画『Most Dangerous Game』が製作準備段階と、35歳の彼は、今、大忙しだ。

(C)AFLO
 テキサス州オースティン生まれ。映画デビューは、彼が10代だった頃にオースティンで撮影されたロバート・ロドリゲス監督の『スパイ・キッズ3‐D:ゲームオーバー』(2003)。その少し後には、テキサスでもロケを行ったデンゼル・ワシントン監督作『グレート・ディベーター 栄光の教室』(2007/日本劇場未公開)に小さな役で出演した。

 本格的に俳優を目指すべくロサンゼルスに引っ越してからは、アクション映画『エクスペンダブルズ3 ワールド・ミッション』(2014)、リンクレイター監督の『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(2016)、アカデミー賞に3部門で候補入りした『ドリーム』(2016)などに出演。2018年には、『セットアップ:ウソつきは恋のはじまり』、『ガーンジー島の読書会の秘密』の2本でロマンチックコメディに挑戦した。前者は主演、後者は助演だ。

 そんなふうに着実にキャリアを積んできた彼に大ブレイクを与えたのは、言うまでもなく『トップガン マーヴェリック』のハングマン役。だが、意外にも、パウエルはこの役に飛び付いていない。ルースター役でオーディションを受けていた彼は、狙っていた役を逃したことに落ち込み、ハングマン役をオファーされてもしばらく悩んだのだ。その段階でハングマンのキャラクターがきちんと確立していなかったことも躊躇した理由だったが、トム・クルーズは「これから一緒にこのキャラクターを作っていくんだよ」と説明。また、「僕はあなたのようなキャリアを築きたいんです」と言うパウエルに、自分はいつも作品の質で選んできたのだとも言って説得したという。

 実際、クルーズの言葉通り『トップガン マーヴェリック』もすばらしい映画になった。映画が完成した後の筆者とのインタビューで、パウエルは、「こんなに良い映画になったなんて。あの時、出演を断っていたら、相当後悔しただろう」と語っている。

(左から)グレン・パウエル、母のシンディー・パウエル、父のグレン・パウエル・シニア(2024年撮影) (C)AFLO
 ところでパウエルは両親と非常に仲が良く、出演作のプレミアや取材にもたびたび連れてくる。プレミアはともかく、取材に両親を連れてくるスターは珍しい。ロンドンで行われた『ガーンジー島の読書会の秘密』の取材でも、彼らは一緒に部屋に入ってきたが、インタビューの途中でその人たちが両親なのだとわかるまで、筆者はパブリシスト(広報担当者)か配給会社のスタッフかと思っていた。サンディエゴでの『トップガン マーヴェリック』の取材でまたパウエルに会った時には、筆者が「前回はご両親にもお会いしましたね」と言うと、「今日もここにいるよ」と言い、「パパ!ママ!ロンドンで会った人が来ているよ」と叫んで、お父様がわざわざ挨拶に出てきてくださった。ご両親は『トップガン マーヴェリック』のバーのシーンにエキストラとして出演もしている。

(左から)グレン・パウエル、シドニー・スウィーニー(2023年撮影) (C)AFLO
 結婚歴はなし。2019年からモデルのジジ・パリスと交際し、レッドカーペットも一緒に歩いていたが、2023年に破局した。原因は、仕事で遠距離の状態が続きすぎること。何度か別れては復活するというのを繰り返した挙句、『恋するプリテンダー』のロケ地オーストラリアをパリスが訪ねて行った際に、もう無理だとお互い納得して決断したらしい。『恋するプリテンダー』のお相手役シドニー・スウィーニーとの相性が抜群なことから、彼女が原因かとの憶測も出たが、スウィーニーにはジョナサン・ダヴィーノという実業家の婚約者がいる。ただし、パウエルとスウィーニーが仲良しなのは事実で、ふたりはまた一緒に出演できる作品を探していると公言している。

猿渡由紀(L.A.在住映画ジャーナリスト)プロフィール
神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「週刊SPA!」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイ、ニューズウィーク日本版などのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

文:猿渡由紀

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